Japan
サイト内の現在位置
地方自治体の窓口DXが「日本の元気につながる」 福島県南相馬市から全国の自治体に拡大へ
2025年2月13日

全国の市区町村の4割超にあたる744の自治体が2050年までに“消滅可能性”がある──。2024年、民間組織「人口戦略会議」が発表した分析です。人口減は地方自治体にとって重要課題で、職員の人手不足や財政難といった行政の喫緊の課題とも連動しています。そんな限られたリソースの中で住民サービスの質を向上させるためのカギが、「DX」(デジタル・トランスフォーメーション)。今回、NECと一緒に自治体窓口DXに取り組む福島県南相馬市は、東日本大震災以降、復興業務対応や加速する人口減に向き合っています。そんな南相馬市だからこそ自治体DXの先駆者になれる。NECと取り組む自治体窓口DXの挑戦が全国へ広がっています。
東日本大震災からの復興業務 住民&職員の負担軽減のカギはDXにあり
2011年3月11日の東日本大震災の発生から10年以上。南相馬市は津波や東京電力福島第一原子力発電所事故などの大きな被害を受け、復興の取り組みは今も続いています。
自治体業務においても復興関連の申請が増加。通常の手続きに慣れない復興関連の申請が加わったことで、職員にとって住民にとっても負担が増しています。そこで検討が始まったのがDX化の一環としてデジタル技術を活用した新しい窓口のサービスです。「職員と住民の負担を少しでも減らしかったんです」と語るのはこの取り組みを南相馬市側から支える復興企画部デジタル推進課長の清信一芳さんです。
窓口DXの先行事例には「窓口がシンプル化してもバックヤードでの職員の業務が減らない」という声がある一方で「バックヤードの業務を減らそうとすると高額の改修費用がかかる」といった悩みもあり、負担軽減とコスト抑制の両立が課題としてありました。課題解決への光明となったのが、NECの「窓口DXSaaS」です。「このサービスが窓口DX推進への背中を押してくれた」と清信さんは振り返ります。


「書かない」「待たない」「回らない」 NECのノウハウでスピード導入が実現
南相馬市が2024年3月に導入したサービスの正式名称は「NECスマート行政窓口ソリューション 窓口DXSaaS」。役所の窓口に来た住民は申請書を手書きする必要がなく、職員との口頭でのやりとりと署名で申請が完了し、手続き時間も短縮されます。キャッチコピーは「書かない」「待たない」「回らない」窓口サービス。住民サービスの向上だけでなく、記入ミスの確認などの必要がなくなるなど職員の業務効率化にもつながっています。「今後も理想の窓口について議論をしながら一緒に取り組んでほしい」と南相馬市の清信さんはNECへの期待を語ります。
住民の生活に直結する窓口業務と言うシンプルかつ重要なインフラ機能のDX化を進めることができたのは、NECならではの土台があったからです。
今回、開発を始めてからサービス導入までにかかった期間はわずか3か月。これを実現するために「サービスの開発と導入を並行して行いました」と打ち明けるのはNEC社会公共インテグレーション統括部新規事業創出グループの倉光一宏です。「他ベンダーとのシステム連携や予期せぬ障害などを乗り越えられたのは、NECが長年にわたって行政システムの構築に携わって積み重ねた信頼とノウハウがあるから」といいます。南相馬市との協議を重ねながら、システムの構築から職員のサポートまでNECがサポートしたからこそ、3か月でのスピード導入が実現しました。

サービス導入1年で手続き時間が半減 全国へ展開「日本の元気のために」
導入からおよそ1年。住民・職員それぞれの窓口での手続き時間は従来の半分まで短縮されるなど効果は着実に出ています。
実際に手続きをした住民に聞いてみると「これまで書いていた申請書類の手間がないのはかなり楽」といい、ほかの住民からも「便利になった」などと好意的なコメントが複数寄せられています。政府共通のクラウドサービスを活用した「窓口DXSaaS」として福島県内では初、東北では二例目という全国でも先駆け的な存在の南相馬市には、見学に来る自治体も後を絶たないといいます。
NECが提供する窓口DXSaaSは現在15自治体に導入されており、問い合わせも数十自治体にのぼります。実際に使ってみた職員の意見をもとに画面操作を使いやすくするなど2024年度だけでも4回のアップデートを実施。国のシステムも含めた全体的な窓口業務最適化も視野にいれており、今後も追加サービスを拡充していきます。
「地方自治体の業務が効率化されて住民のサービスも向上され、地方がどんどん元気になっていく。そうすれば日本全体がもっと元気になっていく」。倉光はNECの窓口DXSaaSの意義をこう語ります。倉光の描く未来図はNECのPurpose(存在意義)、「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現」にもつながります。「日本を元気にするために」NECグループは挑み続けます。