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挑戦できる会社であるために
「役員が新入社員から学ぶ」研修に見るNECの挑戦
「普通とは逆です、役員がみなさんにメンタリングされます」。広いガラス張りの会議室で、呼び掛ける声が響きます。NEC本社(東京都港区)で行われた、とある研修の一コマ。今年4月に入社したばかりの新入社員と役員がカラフルなおそろいのTシャツを着て議論を交わし、リードするのは新入社員の方です。なんだか面白いことができるNEC、そんな研修の狙いのキーワードは「挑戦」と「企業変革」です。
「課題は若手にあるのではなく、私たちの側にある」
研修が行われたのは2024年7月、NEC本社4階の共用スペースにある会議室。リバースメンタリングとは、若手社員と先輩社員が立場を逆転し(=リバース)、若手社員がメンターとして、メンティーである先輩社員に助言を行うもので、若手の意欲や役員の新たな気付きを引き出す手法として、近年注目を浴びています。今回の「リバースメンタリング研修」は多様な次世代人材の育成と社会実装を手がける教育テクノロジー企業ライフイズテックの協力のもと、NEC向けのプログラムとして実施。NECでは初めて行われ、海外を担当する日本国籍以外の役員も含む経営層・マネジメント層35人と、希望者の中から選ばれた新入社員35人が参加。4~5人のチームにわかれ、新入社員がメンターとしてリードしながら1時間半でのアプリケーション開発に挑戦しました。
「課題は若手にあるんじゃない、私たち会社の側にある」として、研修を採り入れた背景を話すのは、カルチャー変革エバンジェリストの森田健です。「ほかの会社と同様に、NECでも若手の離職率やエンゲージメント率が課題としてあるのは事実」とした上で、意欲を持った若手が挑戦できる場があることをわかりやすい形で示したかったといいます。
もうひとつの狙いは、役員など経営・マネジメント層のマインドセットの変革です。若手の発想や知見に触れて新たな気付きを得たり、年齢にとらわれず挑戦する機会を作る仕組みづくりを考えたり。会社の方針決定に影響力をもつ層が変われば、企業文化そのもの変革にもつなげることができる。この企画の先にはそんな大きな目標も見据えていました。
「学ぶ機会」の充実 ジョブ型時代に「選ばれる会社」になるために
NECがグローバルカンパニーとして成長し続けるためには、社員一人ひとりの力が最大限に発揮されることが必要です。これまで人事制度や働き方の改革を進めてきたことに加え、2024年4月からは「ジョブ型人材マネジメント」を本格導入し、社員一人ひとりがプロフェッショナルとして活躍できる環境整備を進めています。
こうした人事制度の転換期にあたり、NECも、新入社員だけでなく全社員を対象とした「学ぶ機会」や「挑戦する機会」の充実に力を入れています。最近の取り組みの例としては、人材育成を管轄するL&D(ラーニング&ディベロップメント)統括部で2024年2月から、共通のプラットフォームに様々なソースから提供される研修や学ぶ機会の情報を集約し、全社員にとって情報のとりこぼしがないように工夫しています。
新卒採用の時点でも、NECはジョブ型を取り入れ始めています。L&D統括部の河野実穂によると、最近の新入社員の傾向として「ジョブ型の影響もあり、スキルアップの意欲が強く、自分の価値を上げる場として会社を活用しようとする人が増えている印象があります」といいます。今回のリバースメンタリング研修も、定員35人をはるかに上回る応募がありました。
実際に、7月に行われた研修の場では「挑戦する場」を存分に活かす新入社員と、役員など経営・マネジメント層の間に、期待を超える化学反応が生まれています。
「入社すぐでこんな機会があるなんて」「壁を全く感じなかった」
「入社して3~4か月の新卒入社の社員が、こんな風に上層部の人と話ができる機会があるなんて」「歴史の長い大企業だけど、本気で変革しているんだと思いました」。研修への驚きを口にしたのは営業職として入社した新入社員。「営業にはベテランのお客様からも課題をきく力が必要。今後に活かしていきたい」と意気込みました。そうして新入社員が役員たちをリードして作りあげたアプリは「社内メンバーの隙間時間を公開して仕事を依頼」、「リアルで会ったメンバーをコレクション」といったユニークな仕上がりになりました。
別の社員からは「いろんなアイデアが浮かぶ中、会社として大事にしていることは何なのかを立ち返るいい機会になった」という声も。NECが掲げるPurpose(存在意義)「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現」の大切さを認識する場にもなりました。
刺激を受けたのは役員も同じです。「年齢や立場の壁をまったく感じなかった。普段の仕事でも壁はなくしていきたい」「デジタルツールを使いこなす新入社員のデジタルリテラシーの高さに驚いた」「若い人が想像以上にインタラクティブ(対話型)で嬉しかった」という驚きと発見の声が多く、「(さまざまな役員と接することで)若手に会社の中で活躍できる可能性を見せられる」という手ごたえも感じていました。
この研修自体は、あくまで一つのきっかけにすぎません。研修以外でも、CEOや経営幹部層と若手社員の対話会など様々なコミュニケーションや学びの機会は今後も充実させていきます。未来を創る世代から「選ばれる」ために、NECは挑戦を続け、変革を続けていきます。