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変わり続けることを、変えない。 森田CEO、NECグループ125年の決意
2024年7月、NECグループは創立125周年を迎えました。お客様・パートナー・株主・社員やそのご家族と、全てのステークホルダーの皆様と積み重ねた歴史です。私たちはこの先も皆様と歩み、社会になくてはならない企業であり続けます。そのためにも「変わり続けることを、変えない」。NEC社長兼CEOの森田隆之が明日への決意をお伝えします。
時代ごとの先進技術を駆使
おかげさまでNECグループは節目の年を迎えることができました。ともに歴史を築いてきた全てのステークホルダーの皆様に感謝申し上げます。
1899年にその歩みを始めて以来、時代ごとの先進テクノロジーを駆使し、自ら変化しながら新しい価値を社会に届けてきました。いま得意とする分野は顔認証を始めとする生体認証、自社開発の生成AI「cotomi(コトミ)」を含むAI、サイバーセキュリティ、海底から宇宙にまで及ぶ通信ネットワークなどがあります。これらにグローバルパートナー企業の技術もかけあわせ、お客様や社会のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進しています。
歴史を振り返ると、いつの時代も私たちのテクノロジーの核には通信技術がありました。一方で企業としての姿はいつの時代も異なります。変わり続けたからこそ今があり、その企業姿勢はこれからも変わることはありません。
創業時は日本初の外資企業とのジョイントベンチャーでした。通信機器の輸入から始まり、電話機など様々な機器を自社生産するようになります。創業者の岩垂邦彦は誰もが知る発明王であるトーマス・エジソンに認められ、彼のもとで汗を流した人物。「ベタープロダクツ・ベターサービス」の精神のもと、近代日本の発展に通信分野から貢献しました。
ICT(Information and Communication Technology)企業となった第二の創業期の始まりは1977年。中興の祖と称される小林宏治(当時会長)が「コンピュータとコミュニケーション(C&C)が融合する時代になる」とのコンセプトを世界に打ち出しました。インターネットがない当時としては奇抜な発想でした。C&Cの世界を実現するため、関連する様々な領域に事業を拡大。パソコン、半導体、携帯電話などで世界のICTの発展に貢献しました。
C&Cが当たり前となり、デジタルテクノロジーが社会に欠かせなくなっている今、NECグループはその姿を大きく変えています。前述の通り、様々な先進技術や人材によって、お客様や社会のDXを加速する会社です。以前のようにメーカーやシステムのインテグレーターといった単純な括りでは語れない、社会価値創造型の企業となったことが、いま第三の創業期である理由です。
経営危機で気づいたこと
変化のきっかけは2000年代後半、第二期の終盤に経験した経営危機。私たちは過去の成功体験や縦割り組織の旧弊にとらわれ、かつてのように時代に先駆けた変化ができなくなっていました。時を同じくしてビジネス環境も大きく変わります。ネット時代のビジネスモデルの変化、モノづくりのトレンドや企業の勢力図の変化、国際情勢の変化。数々の事業環境の変化の波にさらされ、業績が悪化。事業整理を余儀なくされました。
2012年、私を含む当時の経営陣は「自分たちは社会にとって必要なのか」との問いを重ねました。そして生まれたのがPurpose(存在意義)です。「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指します」との言葉が紡がれました。2013年、Purposeを核にプロダクト型から価値創造型の企業に変革すると社会に約束しました。ここから、Purposeをただの言葉で終わらせない旅が続いています。
Purpose実現のために組織の形を変え、有望な事業分野への投資を加速し、データドリブン経営に取り組み、社外の人材を多く迎え入れて多様性を拡充し、社内カルチャーを変え、先進デジタル技術によるDXを進めました。10年以上にわたる変革によってNECグループは最高益を生み、健全な財務基盤をもつ企業になりました。
ビジネスモデルの変革を導く「BluStellar」
身に着けた様々なテクノロジーを、私たちはまず11万人からなる自社の変革に徹底的に使います。失敗も含めた知見や経験を蓄積し、増幅し、それをお客様や社会に提供する。自社をゼロ番目の顧客と位置付ける「クライアントゼロ」の考え方です。これを通じて、NECグループには企業変革のノウハウ、人材、そしてテクノロジーが次々に蓄積されてきました。
長年培った知見や変革を通じて身に付けたもの。これらをお客様に提供する価値創造モデルの総称が「BluStellar」です。これは単一の商品名ではありません。経営アジェンダ、それを支えるテクノロジー、組織・人材──これら3つからなる、お客様のDXすなわち企業変革の道標になるものです。企業変革はあらゆる部分に変化を促す、実現への道のりが長いもの。それを知っているからこそ、企業変革の旅を進むお客様をBluStellarによって導くことができるのです。
「事業は生き物であり変化するもの。企業に永続する『最適な状態』などありはしない」。私は社員に対し、こう語りかけてきました。変化は進化の原動力です。NECグループが歴史を刻み続けられてきたのも、変化したからこそ。実際、変革がBluStellarを生み、ビジネスをけん引するエンジンになっていきます。もちろん今後も、BluStellarも私たちも進化し続けます。
NECグループのカルチャーに再び芽生えた「変わり続ける」意識。私はこれを育み、11万人の社員が生み出す力にしていきます。125周年を迎えた私たちは、変わり続けることを、変えません。それが5年、10年と未来を創り続けていくことにつながると確信しています。
これからのNECグループにご期待ください。
取締役 代表執行役社長 兼 CEO
森田隆之