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「変化を受け入れ、価値を生み出せ」 NECコーポレートSVP、クリス・ジャクソンの助言

人間の心理は安心や安定を求め、変化を避けがちです。ところがテクノロジーの急速な発展やそれに伴う経済や社会の変化は大きく、ペースも早まっています。変化の波に翻弄されるのか、それとも波に乗って高みを目指すのか。キャリアを通して多くの「変化」に触れてきたNECヨーロッパならびにNECコーポレーション・オブ・アメリカの社長兼CEO、さらにNECのコーポレートSenior Vice President(SVP)を兼務するクリス・ジャクソンに、グローバルから見たNECグループの変化を聞きました。

NECグループは2025中期経営計画において、戦略面も文化面も従来のそれから大きく変化させています。「定期的に変化を経験することは、あらゆる企業にとって良いことだ。物事を新鮮にさせる」。このジャクソンの考えは『安定な企業は不安定で、不安定な企業は安定であると心得よ』との、中興の祖として第二の創業期を率いた小林宏治が遺した言葉にも通じます。次の成長に向けた『第三の創業期』にあるNECグループにとってもまた、変化は必然です。

糧になった「大きな変化と挑戦」

ジャクソンは2008年にNECヨーロッパに入社し、各国をまたぐチームのマネジメントを任されました。それ以前の約10年は、日本の電機メーカーの英国法人で同様の仕事に従事。「個人的にも変化が好きだった」という彼は、業績不振からの脱却に向けて転換期を迎えていた当時のNECグループに加わりました。以後、困難な状況を乗り越えるための会社の変化に触れながらキャリアを歩みます。その中で彼自身も大きな変化に身を置き、そこから多くの学びを得ることになりました。

大きな変化とは2020年4月、COVID-19が世界に急速な変化を強いる中でのNECヨーロッパ社長兼CEOへの就任でした。「これまでのキャリアで経験した最大の変化と挑戦だった」と振り返る当時は、ビジネスの先行きが見通せないだけでなく社内外とのコミュニケーションすら難しい状況。フランス向けの対策がドイツに通用するとも限らず、彼は各拠点の仲間たちと調整しつつアプローチを柔軟に変えて対処しました。複数地域の人々とつながることで、同僚や顧客のニーズを理解するなど「リーダーとしてもチームとしても、多くを学んだ」と話します。

「うまくいっている時よりも困難な時の方が多くを学べる」。いまこう考える通り、変化を強いられた中で得た学びは彼にとって貴重な財産となりました。2023年4月にNECコーポレーション・オブ・アメリカの社長兼CEOも同時に務めることとなり、より多様な地域の事業を管理するうえでコロナ禍での経験は拠り所となっています。

収益は価値提供の証拠

欧州と米国という異なる市場を率いる重要で複雑なミッション。2つの地域には共通するビジネスも全く異なるビジネスも数多くあります。「新興企業に老舗企業。黒字のビジネスがあれば赤字のビジネスもある。そうであっても、それぞれの事業が利益を上げられるようにし、現在進行中の中期経営計画の達成に貢献することが最終的なゴールだ」と話します。

収益性。これはNECの変化を象徴する1つの要素であり、『短期利益の最適化、長期利益の最大化』『利益と価値のサイクルを回す』ことがグループ内で改めて啓蒙されています。「利益を上げているということは、お客様に付加価値を届けられている証明だ」と話すジャクソン。逆に利益を上げられず、収益性を維持できなければ「価値を生み出すための投資はできず、私たちは社会に付加価値を届けることはできない」と話します。この言葉の背景には、かつてのNECグループが売り上げの拡大を最優先し、収益性を後回しにしてしまったことへの反省があります。

私たちの掲げるPurpose(存在意義)は「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指す」。全ての活動は社会に価値を提供するためのものであり、利益の追求は価値提供機会の追求であるとのマインドセットが重要です。そのために進行中の中期経営計画では戦略面だけでなく文化の側面からも会社を変化させているのです。

変化がなければ125年の歴史はない

「純粋に、人材こそが最大の資産だと信じている」。NECグループが価値を生み出す力の源泉はテクノロジーですが、これは人でなければ生み出せないもの。昨今よく言われるように、イノベーションを生み出すための一番の近道は組織の多様性です。様々なスキル、国籍、バックグラウンド、考えを持つ人たち。「多様性のあるチームならば、より良い意思決定ができる可能性が高まり、グローバルに成功するチャンスが生まれる」とジャクソンは考えます。

人材の確保や維持のためにもNECグループは変化を始めています。その一例がここ数年、各国地域にいる有望な人材がグローバルな役割を担えるような登用を増やしていること。ジャクソン自身も、欧米の事業を管理しながらNEC本社でもSVPという責任ある役職を担うようになりました。森田隆之CEOをはじめとする本社の経営トップ層がグローバル社員に考えを直接伝える機会が増えていることについても触れ、「会社の方向性やビジョンが見えると、自分の役割が明確になりエンゲージメントが高まることにつながる」と評価します。

ジャクソンはNECグループを「社会に大きな価値をもたらすことのできる、テクノロジーとソリューションからなる幅広いポートフォリオを持つ企業だ」と評するとともに「創業から125年、同じ会社であり続けたから成功したわけではない」と分析します。裏返せば、積極的に変化できる組織でなければ、あっという間に時代に取り残されてしまうということ。そして、変化に取り組むNECグループの仲間たちにこう語りかけます。「変化は組織のためになり、従業員のためになる。だからこそ私は、同僚たちに変化に加わり、貢献し、受け入れることを勧めていく」と。