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NEC、地域の力で社内DX高速化 北海道や九州のパートナーとリモート拠点
2023年8月3日

DX(デジタル・トランスフォーメーション)の必要性が増し、DX人材の育成も急務となっています。リモートワークと出社を組み合わせたハイブリッドワークなど人の働き方が変わる中で、NECでは地域人材活用に着目。スマートシティ化や、地域から社会の活性化への貢献も目指して、この度、北は北海道から南は九州まで、4か所に「リモートDXセンター」を開設しました。力を合わせるのは地域に拠点を置くパートナー企業です。この取り組み、地域のDX人材育成、ひいては日本全体のDX力の向上につなげることも狙いです。
リモートDXセンター、列島各地の4拠点でついにキックオフ
NECは、「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を発揮できる持続可能な社会の実現を目指す」というPurposeの実現に向けた2025中期経営計画で「社内のDX」、「お客様のDX」、「社会のDX」を中核に設定しています。その社内DXの推進を起点に発足したのがリモートDXセンターです。
「自らをNECのゼロ番目のクライアント「クライアントゼロ」として実験台となって進め、蓄積した活きたノウハウをお客様に提供する。これを高速に進めるためには、クイックに、アジャイルに、常に変化に対応していく仕組みを実現しなくてはいけません。そのためにはNEC社内の力だけでは足りず、異業種、パートナー企業、アカデミアなど多様な方々との協業が必要であり、パートナー企業との協業は、その中でも大変重要だと考えています」
7月14日、NECのリモートDXセンターのキックオフ会議で、NEC執行役 Corporate EVP兼CIO兼CISOの小玉浩は、こう力を込めました。会議には、札幌、仙台、鹿児島、宮崎でリモートDXセンターの拠点を構えるパートナー企業からも参加。いよいよこの4拠点から参加する100人近くのメンバーが、NECの社内DXに取り組みます。また世界のリソースを活用し、今の開発スピードを2倍にする開発体制にもチャレンジしています。


北海道から九州までの「地域」の力を活かす。NECの「社内DX」に、「パートナー企業」にもNECと一体となって同じ目的を共有し参加していただく。一時的なプロジェクトではなく常駐する形で行うこと。これらがリモートDXセンターの特長であり、NECが社内DXを超高速化するための体制づくりへの本気度を示しています。
社内DXでは大小230のプロジェクトがあり、営業、人事などの領域での業務改革、サイバーセキュリティの高度化、コラボレーションツールの導入など領域や規模は多岐に渡ります。超高速の社内DXを進めるために、2022年10月には社内DX開発センターが発足し、約80人体制で開発ルールや基盤環境を急ピッチで進めています。次に打った一手が、リモートDX開発センターです。
パートナー企業と仮想コーポレート組織をめざす
地域に着眼した背景には、コロナ禍で、リモートワークやハイブリッドワークが拡大するなど働き方の変化がありました。またDX人材の獲得競争が激しくなり、地域に目を向けることで幅広い優秀な人材を集めるという狙いもあります。今回のリモートDXセンターで100人規模のメンバーが常駐体制をとることで、地域のDX人材育成につなげることも視野にいれています。
人材育成とDX加速のために発足したリモートDXセンターは、パートナー企業と同じ方向を向いて取り組むことが重要なポイントになります。
「私たちNECグループと目的を共有し、共にDXに取り組んでもらうための組織であること。準備段階において、最もエネルギーを注いたポイントであり、最も大きなチャレンジだと思います」。リモートDXセンターの構築をリードする楠見晃はそう話します。「委託や受託という一方向ではなく、一緒に課題感を吸収して、理解して、解決策の提案もする協働の関係を目指す。仮想コーポレートIT組織』の位置づけでもあります」


社内DX開発センターでは圧倒的なスピード感をもって行う小規模プロジェクト、リモートDXセンターでは開発規模が大きく、かつ中長期的なプロジェクトを担当してもらう想定です。仕事の中身も、プロジェクト単位の一時的な仕事にとどまらず、開発のほかにも定常的に行う保守や運用も視野に入れています。
地域のDX人材育成、地域創生にもつなげる狙い
パートナー企業の一社で、宮崎の拠点からリモートDXセンターに参画するイー・アンド・エム株式会社の矢野剛士第1開発本部長代理は「大規模、かつ新しいことに触れられる。ありがたい機会だと思った」と話します。
矢野さん自身はNECとのパートナーシップに20年以上かかわってきたものの、特定の業務の仕事がほとんどでした。基幹系を扱い「NECの一員」としての参加に期待を膨らませます。また、プロジェクト終了時にメンバーも解散となる案件単位ではなく、長期的に取り組むことで「これまで以上に人材育成に力を入れることができる」と話します。
イー・アンド・エムは社内でも有志のDXタスクフォースをつくるなど、人材育成に前向きな会社です。「だからこそパートナーとしての期待も大きい」とNECの楠見は話します。
キックオフのあいさつの最後に、小玉は改めて力を込めました。「私たちは、自らのDXの先に、常にお客様のDX、社会のDXを見ています。日本の経済を活性化するために東京だけでなく、地域の優秀な人材の力を引き出さないといけない。もっともっと地域のリソースをいかすスキームを一緒につくってきましょう」