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中途採用は今年度600人、5年で10倍増 NEC本気の企業変革、ジョブ型も加速

NECの中途採用(以下、キャリア採用)が、ここ数年で急拡大しています。2022年度は600人を計画しており、2023年度の新卒採用と1:1の比率にまでなりました。キャリア採用の強化は、結果としてNECが進めるジョブ型人材マネジメントの加速にもつながります。多様な人材が活躍する企業への変革を目指す、NECの取り組みをご紹介します。

「生まれ変わらなければならない」

今から5年前。2017年度のNECのキャリア採用は55人でした。同じ2017年度に採用活動した2018年4月入社の新卒採用460人と比べても、1割程度です。これ以前の時期をひも解いてみても、NECの採用は新卒の割合が圧倒的に多く、キャリア採用の人材はごく少数派でした。

 2022年度のキャリア採用の計画は600人。この5年間で、なぜここまで拡大したのでしょうか。変化の出発点には、「このままではいけない」という企業変革への思いがありました。キャリア採用の拡大の道のりをたどりつつ、振り返ってみます

 NECはリーマン・ショックや東日本大震災でのダメージからの業績回復を描いていたものの成長軌道に乗れず、2016年に発表した中期経営計画は、わずか1年後に撤回。新たにカルチャー変革の目標を立て、2018年に中期経営計画を出し直しました。

 「実行力の改革が急務でした」。現在、人材戦略の最高責任者を務める松倉肇CHROは、当時をこう振り返ります。この頃松倉は子会社社長からNECCSO(最高戦略責任者)になったばかりでした。

「当時のNECは資本市場からの信頼が下がっており、役員から社員まで少し自信を失っている状態でした。ただ『NECが再度成長するには生まれ変わらなければならない』という危機感は高かったと思います。変えなければならないのは『戦略』というよりも、『実行力』だという答えに行きつきました。そのためには人材の確保です。新分野の成長にも、カルチャーを変えるにも、触媒となるドライバーが欠かせない。そのきっかけとしてまず外部から人材を招き始めました」

 2019年度には、キャリア採用が268人に拡大。この段階ではまず、部門やチームのけん引役として、事業をつくったり組織をつくったりするためのトップマネジメント層の採用が目立っていました。執行役員や本部長クラスでも外部からの登用が相次いでいます。

 また、2019年には、キャリア採用の業務を担うための専門チーム「タレント・アクイジション」が発足し、組織としても、採用体制を強化しました。

目標を達成するには人・組織づくりから

体制強化でキャリア採用はいっそうのアクセルを踏み、2020年度は382人、2021年度には619人にのぼりました。

 この頃になると、組織のトップマネジメント層だけではなく、年代も職種も大きく広がってきました。組織をつくりかえていくため、現場に近い層でも即戦力を求めるようになってきたのです。また、キャリア採用の人材と一緒に働くことへの慣れも、じわじわと拡大してきました。「NECで長くやってきた人材にも『変わらなければ』の思いはあった。彼らの挑戦する気持ちもキャリア採用のひとたちが触媒になって火がつきました」(松倉CHRO

 2021年度のキャリア採用実績を年代別にみると20代が2割、30代4割、40代3割となっています。50代以上も一定数おり、幅広い年代から採用していることがわかります。職種別には営業職が最も多いですが、システムエンジニアや事業開発・企画、経営・財務やコンサルタントも多く、あらゆる職種での採用実績があります。

 そもそも、組織としての年間の目標の立て方も変わってきました。これまでは、売上・利益などの数値目標はあったものの、組織体制や人材については、戦略や数値目標とは別の話と考える人も多く、組織・人材の結びつきは強くありませんでした。しかし、目標を達成するにはまず人から。どんな人材をどれだけ獲得するかも、チームの目標を立てる際に必須となりました。

「ジョブ型」拡大、全社員を対象に

キャリア採用の強化は、特定のポジション、ジョブに適した人材を募集して適時に採用するため、まさにジョブ型採用そのものと言えます。

 欧米諸国で主流となっている一人一人が専門性をもって働くジョブ型人材マネジメントは、日本でも当たり前の姿になっていくと考えられていますが、NECも例外ではありません。2023年度には全社員に対してジョブ型人材マネジメント導入をめざしています。採用計画は、この目標を踏まえたものです。「ジョブ型人材マネジメントは、ある種のバズワードとして広がっていますが、NECは流行りに乗ってやろうとしているのではなく、NECがグローバルカンパニーとして成長するために必要な重要施策として考えています」と松倉CHRO

 全社員を対象にジョブ型マネジメントに移行するために、それぞれの仕事の目的や内容、範囲、必要な能力などを再整理することが重要で、それを「ジョブディスクリプション(職務記述書)」として充実をはかっています。ジョブタイプとグレードのマトリックスでジョブ体系をどう再編成するか検討しているところです。

 また、社員が自ら希望して、ポジションに応募するNEC Growth Careersという社内人材公募制度もあります。これは、プラットフォーム上に社員個人の「職務経歴」と組織が募集する「募集ポジション」を公開し、社内のジョブをマッチングする仕組み。社員が自ら自分のキャリアや成長に必要なジョブを考え行動するという意味では、ジョブ型人材マネジメントの重要な施策の1つの柱となります。

 新卒向けの採用でも、学歴別初任給ではなく担う役割に応じた報酬水準で処遇する「新卒ジョブ型採用」という制度を2020年採用から導入しています

「人材が最大のアセット」「選ばれる会社へ」挑戦続く

NEC20215月に発表した2025中期経営計画では、「人・カルチャーの変革」を重要テーマに掲げ、インクルージョン&ダイバーシティを推進しています。キャリア採用の増加も、ジョブ型人材マネジメントの拡大も、多様な人材が活躍する企業となるための手段の一つです。

 NECは人材戦略方針として、「挑戦する人の、NEC。」を掲げ、企業変革に取り組んできました。松倉CHROは、「キャリア採用で入る人材が入社動機として『NECが変わろうとしている姿に魅力を感じた』と言ってくれます。NECに長年在籍してきたメンバーも変革のアクセルを踏んできました。エンゲージメントスコアも向上し、一定の成果は感じています」

 その一方で「2018年に掲げた人事改革・カルチャー変革の目標に対しては、まだ4合目」と言います。「NECはようやく普通の企業になれた。2025年に世界で存在感のあるグローバルテクノロジー企業になるためには、もっと変革のスピードを上げる必要がある」

 「ジョブを明確にして成長に必要な人材を確保するジョブ型人材マネジメントは、NECが世界の成長領域の事業で戦うためには必須です。これが、キャリア採用の増加にもつながっています。

 一方で、会社目線だけでなく、社員の側からみてもジョブを明確に定義することには大きな意義があります。自分がどう組織に貢献するか、どう成長していくかが、具体的にイメージできる。キャリア形成を上司とも相談しやすくなるはずです」

 松倉CHROはこう繰り返します。「人材こそが最大のアセット(資産)ですから」。

 NECの2025中計に掲げた「NEC Wayの下に多様な人材が集い」「イノベーションを加速する会社」「Employee Choice - 選ばれる会社」となるために、あと6合。挑戦が続きます。

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