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AWSの大阪リージョンを利用したHAクラスター構築~マルチリージョンでハイブリッドディスク型HAクラスター~

CLUSTERPRO オフィシャルブログ ~クラブロ~

はじめに

Amazon Web Services(以降、AWS)の東京リージョンと大阪リージョンを利用して、マルチリージョンでハイブリッドディスク型HAクラスター構築を試してみました。

マルチリージョンのHAクラスターシステムは、リージョンレベルで影響が発生するような障害や災害が発生した際にも別のリージョンに業務をフェールオーバーして継続可能となるため、高い可用性や業務継続性が必要とされるシステムにおいて検討対象となります。

またハイブリッドディスク型クラスターはCLUSTERPROの共有ディスク型クラスターとミラーディスク型クラスターを組み合わせた構成です。共有ディスク上のパーティションをミラーリングすることによって、共有ディスク装置の障害に対しても業務継続を可能とします。リージョン間でミラーリングすることにより、災害対策(DR/ディザスタリカバリ)としても利用できます。

今回は、以前のブログでご紹介した「東京リージョンと大阪リージョンを利用したマルチリージョンクラスターの構築」、「東京リージョンにおける共有ディスク型のHAクラスターの構築」の各構成を組み合わせて、東京リージョンと大阪リージョンでハイブリッドディスク型のHAクラスターを構築します。

この記事の内容

1. ハイブリッドディスク型HAクラスターとは

ハイブリッドディスク型クラスターは、共有ディスク型とミラーディスク型を組み合わせた、遠隔クラスターに最適な構成です。メインサイトでは共有ディスク型クラスターのように振る舞うため、メインサイト内の局所的な障害(アプリケーション障害/IaaS障害等)はサイト内でフェールオーバーすることで業務継続が可能です。
一方、サイト間ではCLUSTERPROのミラーリング機能により共有ディスクのデータをミラーリング可能なため、メインサイトの全てのサーバーがダウンしたときにバックアップサイトにフェールオーバーすることで最新データをもとに業務の継続が可能です。また、バックアップサイトは、メインサイトと同様に共有ディスク型クラスター構成をとることも、共有ディスクを使用せずにサーバー1台の構成で、内蔵ディスクへミラーリングする構成をとることも可能です。

2. ハイブリッドディスク型HAクラスター構成

今回は、東京リージョンと大阪リージョンで「ハイブリッドディスク型HAクラスター」を構築します。
構築するHAクラスターの構成図は以下の通りです。

今回は、東京リージョンと大阪リージョンにHAクラスターを構築するインスタンス(server01、server02、server03)を配置します。
また、クライアント用のインスタンスは簡略化のため東京リージョンに作成します。

東京リージョンで2ノード構成の共有ディスク型のHAクラスターを構築し、共有ディスクの業務データを大阪リージョンのディスク(EBS)にミラーリングします。 

HAクラスターを構築するインスタンスは異なるリージョンに配置するため、VPC ピアリングを使用して、東京リージョンのVPCと大阪リージョンのVPC間を接続することで通信可能にします。

接続先切り替えには、Route 53のプライベートホストゾーンと連携して仮想ホスト名による接続先切り替えを実現します。
HAクラスターを構成するインスタンスはプライベートサブネットに配置しますが、AWS CLIを利用したRoute 53の制御時にエンドポイントと通信する必要があるため、それぞれのリージョンにパブリックサブネットを作成し、インターネットゲートウェイとNATインスタンスを追加しています。

3. HAクラスター構築手順

CLUSTERPROを使用したハイブリッドディスク型のHAクラスターを構築します。

3.1 AWS環境の設定

AWS環境における事前準備を実施します。

3.1.1 VPC、サブネットの作成

VPCやサブネットなどを作成します。CIDRやサブネットアドレスなどは以下の通りです。

VPC

併せてインターネットゲートウェイも作成しておきます。
ルートテーブルやセキュリティグループについては後述します。

東京リージョン (ap-northeast-1)

  • VPC(VPC ID:vpc-1111aaaa)
  • CIDR:10.0.0.0/16
  • Subnets
  • Subnet-A1 (Public) :10.0.10.0/24
  • Subnet-A2 (Private):10.0.110.0/24
  • Internet Gateway

大阪リージョン (ap-northeast-3)

  • VPC(VPC ID:vpc-2222bbbb)
  • CIDR:10.1.0.0/16
  • Subnets
  • Subnet-B1 (Public) :10.1.10.0/24
  • Subnet-B2 (Private):10.1.110.0/24
  • Internet Gateway

3.1.2 VPC ピアリング接続の作成

東京リージョンと大阪リージョンのVPC間を接続するためVPC ピアリング接続を作成します。

東京リージョンでVPC ピアリング接続を作成し、リクエスタに東京リージョンのVPC、アクセプタに大阪リージョンのVPCを選択します。

  • VPC (リクエスタ):vpc-1111aaaa ←東京リージョンのVPC ID
  • VPC (アクセプタ):vpc-2222bbbb ←大阪リージョンのVPC ID

3.1.3 ルートテーブルの作成

各VPCにおいてルートテーブルを必要に応じて作成します。

■ 東京リージョン (ap-northeast-1)

Subnet-A1 (Public) 用ルートテーブル

送信先 ターゲット 備考
0.0.0.0/0 Internet Gateway Internet通信用
10.0.0.0/16 local VPC内通信用
10.1.0.0/16 pcx-1234abcd
(VPC ピアリング接続のID)
VPC(大阪リージョン)との通信用

Subnet-A2 (Private) 用ルートテーブル

送信先 ターゲット 備考
0.0.0.0/0 NATインスタンスのENI ID Internet通信用
(NATインスタンス作成後に設定)
10.0.0.0/16 local VPC内通信用
10.1.0.0/16 pcx-1234abcd
(VPC ピアリング接続のID)
VPC(大阪リージョン)との通信用

■ 大阪リージョン (ap-northeast-3)

Subnet-B1 (Public) 用ルートテーブル

送信先 ターゲット 備考
0.0.0.0/0 Internet Gateway Internet通信用
10.1.0.0/16 local VPC内通信用
10.0.0.0/16 pcx-1234abcd
(VPC ピアリング接続のID)
VPC(東京リージョン)との通信用

Subnet-B2 (Private) 用ルートテーブル

送信先 ターゲット 備考
0.0.0.0/0 NATインスタンスのENI ID Internet通信用
(NATインスタンス作成後に設定)
10.1.0.0/16 local VPC内通信用
10.0.0.0/16 pcx-1234abcd
(VPC ピアリング接続のID)
VPC(東京リージョン)との通信用

3.1.4 セキュリティグループの作成

各VPCにおいてセキュリティグループを必要に応じて作成します。
セキュリティグループは、システムのポリシーに応じて適切に設定してください。

3.1.5 Amazon Route 53の設定

DNS名制御によるHAクラスターを実現するため、Amazon Route 53を設定します。
プライベートホストゾーンを作成し、ホストゾーンに関連付けるVPCに東京リージョンのVPCと大阪リージョンのVPCをそれぞれ指定します。

  • Domain Name:cluster.local
  • Hosted Zone ID:123456789abcde
  • Domain Name:Type:Private Hosted Zone for Amazon VPC
  • Domain Name:Associated VPCs:vpc-1111aaaa、vpc-2222bbbb

3.1.6 EC2インスタンスの作成

東京リージョンのSubnet-A2 (Private)に2台、大阪リージョンのSubnet-B2 (Private)に1台、HAクラスター用インスタンスを作成します。
ハイブリッドディスクリソースに使用するEBSは、「3.1.7 EBSの作成」で別途作成するため、この時点ではEBSを追加しません。

また、東京リージョンのSubnet-A1 (Public)にクライアント用インスタンスとNATインスタンス、大阪リージョンのSubnet-B1 (Public)にNATインスタンスを作成します。

3.1.7 EBSの作成

ハイブリッドディスクリソースに使用するEBSを作成します。
東京リージョンでマルチアタッチを有効化したEBS(以降、共有ディスク用EBSと表記)を作成します。

  • 1.AWS マネジメントコンソール(以降、マネジメントコンソール)の Elastic Block Store -> ボリューム のメニューから[ボリュームの作成]を選択します。
  • 2.ボリュームのタイプからio2を選択し、ボリュームサイズやIOPSに希望する値を設定します。
  • 3.Multi-AttachのEnableチェックボックスにチェックを入れてボリュームを作成します。

大阪リージョンでEBSを作成します。今回の構成では大阪リージョンのEBSはMulti-AttachをEnableにする必要はありません。
大阪リージョンのEBSは要件に合わせて、ボリュームのタイプ、ボリュームのサイズ、IOPSを設定ください。EBS作成後、大阪リージョンのHAクラスター用インスタンスにアタッチします。

3.2 ハイブリッドディスク型HAクラスターの構築(Windows)

ハイブリッドディスク型HAクラスターを構築します。
今回の検証ではCLUSTERPRO X 4.3 for Windows (内部Ver. 12.30)を利用しています。

CLUSTERPROの構成は以下の通りです。
CLUSTERPROのフェールオーバーグループには「AWS DNS リソース」、「ハイブリッドディスクリソース」の2つを登録します。

  • CLUSTERPRO

  • サーバー
  • server01
  • server02
  • server03
  • サーバグループ
  • svg01(server01、server02)
  • svg02(server03)
  • フェールオーバーグループ (failover)
  • AWS DNS リソース
  • ハイブリッドディスクリソース
  • モニタリソース
  • AWS DNS 監視リソース
  • ハイブリッドディスク監視リソース
  • ハイブリッドディスクTUR監視リソース
  • ユーザ空間監視リソース
  • -ハートビートリソース
  • カーネルモードLANハートビートリソース
  • ネットワークパーティション解決リソース
  • DISKネットワークパーティション解決リソース(server01、server02 で利用)
  • HTTPネットワークパーティション解決リソース

AWS DNSリソースには、以下を設定します。

パラメータ 設定値
ホストゾーン 123456789abcde
「3.1.5 Amazon Route 53の設定」で設定したホストゾーンID
リソースレコードセット名 sample.cluster.local

ハイブリッドディスクリソースには、以下を設定します。

パラメータ 設定値
データパーティションのドライブ文字 F:\
クラスタパーティションのドライブ文字 E:\

DISKネットワークパーティション解決リソースには、以下を設定します。

パラメータ 設定値
ドライブ文字 D:\

3.2.1 ハイブリッドディスク用EBSの設定(Windows)

ハイブリッドディスクリソースで利用するために東京リージョンの共有ディスク用EBSにパーティションを作成します。注意事項等の詳細は後述するインストール&設定ガイドを参照ください。

東京リージョンの共有ディスク用EBSには、ディスクハートビート用のパーティション、ハイブリッドディスクリソース用のクラスタパーティション/データパーティションを作成します。
今回は以下の手順で作成します。EBSのアタッチ/デタッチはマネジメントコンソールから実施します。

  • 1.server01に 3.1.7 で作成した共有ディスク用EBSをアタッチします。
  • 2.server01のOS上で、ディスクの管理などから共有ディスク用EBSのディスク上にディスクハートビート用のパーティション(D:)を作成します。この時フォーマットは必要ありません。
  • 3.server01のOS上で、共有ディスク用EBSのディスク上にクラスタパーティション(E:)を作成します。この時フォーマットは必要ありません。
  • 4.server01のOS上で、共有ディスク用EBSのディスク上にデータパーティション(F:)を作成し、NTFSでフォーマットします。
  • 5.server01から共有ディスク用EBSをデタッチします。
  • 6.server02に共有ディスク用EBSをアタッチします。
  • 7.server02のOS上で、ディスクの管理などから共有ディスク用EBSのドライブレターがserver01上で確認したドライブレターと一致していることを確認します。異なる場合はドライブレターが一致するように設定します。
  • 8.server02から共有ディスク用EBSをデタッチします。

【参考】
  • Windows > CLUSTERPRO X 4.3 > Windows > インストール&設定ガイド

  • 2. システム構成を決定する
  • 2.6 ハードウェア構成後の設定
  • 2.6.1 共有ディスクを設定する(共有ディスク使用時は必須)

次に、ハイブリッドディスクリソースで利用するために大阪リージョンのEBSにパーティションを作成します。注意事項等の詳細は後述するインストール&設定ガイドを参照ください。

大阪リージョンのEBSには、クラスタパーティションとデータパーティションを作成します。パーティションのドライブ文字とパーティションサイズは、東京リージョンの共有ディスク用EBSと一致するように作成します。

  • 1.server03のOS上で、ディスクの管理などからEBSのディスク上にクラスタパーティション(E:)を作成します。
  • 2.server03のOS上で、EBSのディスク上にデータパーティション(F:)を作成し、NTFSでフォーマットします。

【参考】
  • Windows > CLUSTERPRO X 4.3 > Windows > インストール&設定ガイド

  • 2. システム構成を決定する
  • 2.6 ハードウェア構成後の設定
  • 2.6.2 ミラー用パーティションを設定する(ミラーディスク使用時は必須)

3.2.2 CLUSTERPRO のインストール(Windows)

CLUSTERPROのインストールを以下の手順で行います。

  • 1.server01に共有ディスク用EBSをアタッチします。
  • 2.server01のOS上でCLUSTERPROをインストールします。インストール時、共有ディスクのフィルタリング設定画面では共有ディスク用EBSのアダプタを選択してフィルタリングを設定します。また必要に応じてライセンスを登録します。
  • 3.server01のOSシャットダウン後、server01から共有ディスク用EBSをデタッチします。
  • 4.server02に共有ディスク用EBSをアタッチします。
  • 5.server02のOS上でCLUSTERPROをインストールします。インストール時、共有ディスクのフィルタリング設定画面では共有ディスク用EBSのアダプタを選択してフィルタリングを設定します。また必要に応じてライセンスを登録します。
  • 6.server02のOSを再起動します。
  • 7.server01に共有ディスク用EBSをアタッチし、EC2を起動します。
  • 8.server03のOS上でCLUSTERPROをインストールします。
    また必要に応じてライセンスを登録します。

  • server03のCLUSTERPROインストール時に、共有ディスクのフィルタリング設定画面ではフィルタリングを設定しません。

【参考】
  • Windows > CLUSTERPRO X 4.3 > Windows > インストール&設定ガイド

  • 4. CLUSTERPRO をインストールする
  • 4.2 CLUSTERPRO Server のインストール
  • 4.2.1 CLUSTERPRO Server を新規にインストールするには

3.2.3 CLUSTERPROによるHAクラスターの構築(Windows)

Webブラウザからserver01に接続し、Cluster WebUIの設定画面からクラスタ作成を行います。
クラスタ構成情報を作成し、設定を反映します。

以下、ハイブリッドディスク型HAクラスターの構築手順のポイントを記載します。
構築手順の詳細は、構築ガイドを参照ください。

  • サーバーの追加
    サーバの[基本設定]で、HAクラスターを構築するサーバーを追加します。

  • サーバグループの設定
    [サーバグループの設定]で、サーバーグループを2つ作成します。
    1つ目のサーバーグループ(svg01)に東京リージョンのサーバー(server01、server02)を追加します。
    2つ目のサーバーグループ(svg02)に大阪リージョンのサーバー(server03)を追加します。

  • ディスクNP解決リソースの設定
    [NP解決]の設定でDISK方式を追加し、server01、server02にディスクハートビート用に作成したドライブ(Dドライブ)を選択します、server03の入力欄は空欄にします。

  • フェールオーバーグループの作成
    [グループの定義]画面で[サーバグループ設定を使用する]のチェックボックスをオンにします。

  •  [起動可能サーバ]の設定で、[利用可能なサーバグループ]リストから[svg01]、[svg02]の順で[起動可能なサーバグループ]に追加します。

  • ハイブリッドディスクリソースを追加
    ハイブリッドディスクリソースの[詳細]画面で、[データパーティションのドライブ文字]ボックスにミラーリングするデータパーティションのドライブ文字(F:)を入力し、[クラスタパーティションのドライブ文字]ボックスにクラスタパーティションのドライブ文字(E:)を入力します。 [情報取得]をクリックし、各サーバーのデータパーティション、クラスタパーティションのGUID情報を取得します。

ハイブリッドディスク型のHAクラスターの構築手順の詳細は、インストール&設定ガイドを参照ください。

【参考】
  • Windows > CLUSTERPRO X 4.3 > Windows > インストール&設定ガイド

  • 6. クラスタ構成情報を作成する
  • 6.4 クラスタ構成情報の作成手順
  • 6.4.1 クラスタの作成
  • クラスタを追加する
  • サーバを追加する
  • サーバグループを作成する
  • ネットワーク構成を設定する
  • ネットワークパーティション解決処理を設定する
  • 6.4.2.フェイルオーバグループの作成
  • フェイルオーバグループを追加する
  • グループリソース(ハイブリッドディスクリソース)を追加する

AWS DNS リソースの設定手順の詳細は、AWS向けHAクラスタ構築ガイドを参照ください。

【参考】
  • Windows > クラウド > Amazon Web Services > HAクラスタ構築ガイド

3.3 ハイブリッドディスク型HAクラスターの構築(Linux)

ハイブリッドディスク型HAクラスターを構築します。
今回の検証ではCLUSTERPRO X 4.3 for Linux (内部バージョン:4.3.0-1)を利用しています。

CLUSTERPROの構成は以下の通りです。
CLUSTERPROのフェールオーバーグループには「AWS DNSリソース」、「ハイブリッドディスクリソース」の2つを登録します。

  • CLUSTERPRO

  • サーバー
  • server01
  • server02
  • server03
  • サーバグループ
  • svg01(server01、server02)
  • svg02(server03)
  • フェールオーバーグループ (failover)
  • AWS DNSリソース
  • ハイブリッドディスクリソース
  • モニタリソース
  • AWS DNSモニタリソース
  • ハイブリッドディスクコネクトモニタリソース
  • ハイブリッドディスクモニタリソース
  • ユーザ空間モニタリソース
  • -ハートビートリソース
  • カーネルモードLANハートビートリソース
  • ディスクハートビートリソース
  • ネットワークパーティション解決リソース
  • HTTPネットワークパーティション解決リソース

AWS DNSリソースには以下を設定します。

パラメータ 設定値
ホストゾーン 123456789abcde
「3.1.5 Amazon Route 53の設定」で設定したホストゾーンID
リソースレコードセット名 sample.cluster.local

ハイブリッドディスクリソースには、以下を設定します。

パラメータ 設定値
マウントポイント /mnt/hd1
データパーティションデバイス名 /dev/nvme1n1p2
クラスタパーティションデバイス名 /dev/nvme1n1p1
ファイルシステム xfs

ディスクハートビートリソースには、以下を設定します。

パラメータ 設定値
ディスクデバイス /dev/nvme1n1p3

3.3.1 ハイブリッドディスク用EBSの準備(Linux)

ハイブリッドディスクリソースで利用するために東京リージョンのEBS上にパーティションを作成します。注意事項等の詳細は後述するインストール&設定ガイドを参照ください。

東京リージョンの共有ディスク用EBSには、ディスクハートビート用のパーティション、ハイブリッドディスクリソース用のクラスタパーティション/データパーティションを作成します。
今回は以下の手順で作成します。EBSのアタッチ/デタッチはマネジメントコンソールから実施します。

  • 1.server01とserver02に 3.1.7 で作成した共有ディスク用EBSをアタッチします。
  • 2.server01のOS上で、fdiskやpartedコマンドなどを利用して共有ディスク用EBSのディスク上にクラスタパーティション(/dev/nvme1n1p1)を作成します。この時ファイルシステムの作成は必要ありません。
  • 3.server01のOS上で、共有ディスク用EBSのディスク上にデータパーティション(/dev/nvme1n1p2)を作成します。また、パーティションに対してファイルシステム(xfs)を作成します。
  • 4.server01のOS上で、EBSのディスク上にディスクハートビート用のパーティション(/dev/nvme1n1p3)を作成します。この時ファイルシステムの作成は必要ありません。
  • 5.server01のOS上で、マウントポイント(/mnt/hd1)を作成します。
  • 6.server02のOS上で、fdiskやpartedコマンドなどを利用してEBSのパーティション情報がserver01と一致していることを確認します。
  • 7.server02のOS上で、マウントポイント(/mnt/hd1)を作成します。

【参考】
  • Linux > CLUSTERPRO X 4.3 > Linux > インストール&設定ガイド

  • 2. システム構成を決定する
  • 2.8 ハードウェア構成後の設定
  • 2.8.2 ハイブリッドディスクリソース用の共有ディスクを設定する(Replicator DR使用時は必須)

次に、ハイブリッドディスクとして利用するために大阪リージョンのEBS上にパーティションを作成します。注意事項等の詳細は後述するインストール&設定ガイドを参照ください。

大阪リージョンのEBSには、クラスタパーティションとデータパーティションを作成します。パーティションのデバイス名とパーティションサイズは、東京リージョンの共有ディスク用EBSと一致するように作成します。

  • 1.server03のOS上で、fdiskやpartedコマンドなどを利用してEBSのディスク上にクラスタパーティション(/dev/nvme1n1p1)を作成します。この時ファイルシステムの作成は必要ありません。
  • 2.server03のOS上で、EBSのディスク上にデータパーティション(/dev/nvme1n1p2)を作成します。また、パーティションに対してファイルシステム(xfs)を作成します。
  • 3.server03のOS上で、マウントポイント(/mnt/hd1)を作成します。

【参考】
  • Linux > CLUSTERPRO X 4.3 > Linux > インストール&設定ガイド

  • 2. システム構成を決定する
  • 2.8 ハードウェア構成後の設定
  • 2.8.3 ハイブリッドディスクリソース用のパーティションを設定する(Replicator DR使用時は必須)

3.3.2 CLUSTERPROのインストール(Linux)

CLUSTERPROのインストールを以下の手順で行います。

  • 1.server01のOS上でCLUSTERPROをインストールし、必要に応じてライセンスを登録した後にOSを再起動します。
  • 2.server02のOS上でCLUSTERPROをインストールし、必要に応じてライセンスを登録した後にOSを再起動します。
  • 3.server03のOS上でCLUSTERPROをインストールし、必要に応じてライセンスを登録した後にOSを再起動します。

【参考】
  • Linux > CLUSTERPRO X 4.3 > Linux > インストール&設定ガイド

  • 4. CLUSTERPRO をインストールする
  • 4.2 CLUSTERPRO Server のセットアップ

3.3.3 CLUSTERPROによるHAクラスターの構築(Linux)

Webブラウザからserver01に接続し、Cluster WebUIの設定画面からクラスタ作成を行います。
クラスタ構成情報を作成し、設定を反映します。

以下、ハイブリッドディスク型HAクラスターの構築手順のポイントを記載します。
構築手順の詳細は、構築ガイドを参照ください。

  • サーバーの追加
    [サーバの基本設定]で、HAクラスターを構築するサーバーを追加します。

  • サーバグループの設定
    [サーバグループの設定]で、サーバーグループを2つ作成します。
    1つ目のサーバーグループ(svg01)に東京リージョンのサーバー(server01、server02)を追加します。
    2つ目のサーバーグループ(svg02)に大阪リージョンのサーバー(server03)を追加します。

  • ディスクハートビートリソースの設定
    [インタコネクト]の種別にDISKを選択し、server01、server02にディスクハートビート用に作成したパーティション(/dev/nvme1n1p3)を選択します、server03の入力欄は空欄にします。

  • フェールオーバーグループの作成
    [グループの定義]画面で[サーバグループ設定を使用する]のチェックボックスをオンにします。

  •  [起動可能サーバ]の設定で、[利用可能なサーバグループ]リストから[svg01]、[svg02]の順で[起動可能なサーバグループ]に追加します。

  • ハイブリッドディスクリソースを追加
    ハイブリッドディスクリソースの[詳細]画面で、[ミラーパーティションデバイス名]ボックスでミラーパーティションデバイス名(/dev/NMP1)を選択します。マウントポイント(/mnt/hd1)、データパーティションデバイス名(dev/nvme1n1p2)、クラスタパーティションデバイス名(dev/nvme1n1p1)をそれぞれのボックスに入力します。[ファイルシステム]ボックスでデータパーティションで作成したファイルシステム(xfs)を選択します。

ハイブリッドディスク型のHAクラスターの構築手順の詳細は、インストール&設定ガイドを参照ください。

【参考】
  • Linux > CLUSTERPRO X 4.3 > Linux > インストール&設定ガイド

  • 6. クラスタ構成情報を作成する
  • 6.10 3ノードクラスタ(ハイブリット方式)構成情報の作成手順
  • 6.10.1 クラスタの作成
  • クラスタを追加する
  • サーバを追加する
  • サーバグループを作成する
  • ネットワーク構成を設定する
  • ネットワークパーティション解決処理を設定する
  • 6.10.2.フェイルオーバグループの作成
  • フェイルオーバグループを追加する
  • グループリソース(ハイブリッドディスクリソース)を追加する

AWS DNS リソースの設定手順の詳細は、AWS向けHAクラスタ構築ガイドを参照ください。

【参考】
  • Linux > クラウド > Amazon Web Services > HAクラスタ構築ガイド

4. 動作確認

クライアントマシンから、仮想ホスト名(sample.cluster.local)を使用して、東京リージョンのEC2インスタンス(server01、server02)、大阪リージョンのEC2インスタンス(server03)にアクセスできること、また、データの引継ぎが行えていることを確認します。

  • 1.server01でフェールオーバーグループを起動します。
  • 2.クライアントマシンから、RDPやSSH等を用いて仮想ホスト名(sample.cluster.local)にアクセスし、server01に接続できることを確認します。(hostnameコマンドなどで、server01に接続できていることを確認します)
    また、server01上で切替パーティション(Windowsの場合はF:\、Linuxの場合は/mnt/hd1)にアクセスできることを確認します。
  • 3.server01で切り替えパーティション配下にtest.txtを作成します。
  • 4.Cluster WebUIから、フェールオーバーグループをserver01からserver02にフェールオーバーさせます。
  • 5.クライアントマシンから、仮想ホスト名(sample.cluster.local)にアクセスし、server02に接続できることを確認します。また、server02上で切替パーティション配下のtest.txtが参照/更新できることを確認します。
  • 6.Cluster WebUIから、フェールオーバーグループをserver02からserver03にフェールオーバーさせます。
  • 7.クライアントマシンから、仮想ホスト名(sample.cluster.local)にアクセスし、server03に接続できることを確認します。また、server03上で切替パーティション配下のtest.txtが参照/更新できることを確認します。

以上で接続先の切り替え、データの引継ぎが行えることを確認できました。

まとめ

今回は東京リージョンと大阪リージョンを使用した、ハイブリッドディスク型のマルチリージョンHAクラスターを構築しました。
日本国内のリージョンを利用したマルチリージョンHAクラスターの一例として是非ご検討ください。
今後も東京リージョンと大阪リージョンを連携したHAクラスターをご紹介していきたいと思います。

本記事の構成をご検討の際は、CLUSTERPROのpopup試用版を用いて検証した後、ご提案・構築ください。

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