製造 製造現場の課題を解決し、世界に誇れる「日本のものづくり」の成長を止めない
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製造現場の課題を解決し、世界に誇れる
「日本のものづくり」の成長を止めない

画像:陸川 翔太

陸川 翔太

2019年NEC入社。開梱ロボットソリューションの開発・導入を担当。2021年よりNECマルチロボットコントローラの製品開発・導入を担当し、現在に至る。

画像:石原 正也

石原 正也

2020年NEC入社。製造向けSEとしてNECマルチロボットコントローラの開発・導入を担当し、現在に至る。

製造業は日本全体GDPの約2割を占めており、日本を支える基幹産業の一つです。そんな日本が誇る「ものづくり」が、近年は人材不足・技術継承や原材料価格の高騰などさまざまな課題を抱え、国際競争力の低下が懸念されています。

そこでNECはデジタルの力を駆使し、製造業を支援。デジタルでヒト・モノ・社会をつなぎ、より豊かで暮らしやすいサステナブルな社会の実現を目指しています。 「社会を止めない。暮らしを止めない。製造を止めない。」このメッセージに託された思いとはなんなのか。製造ソリューション事業部門 スマートインダストリー統括部の陸川 翔太(りくかわ しょうた)と、石原 正也(いしはら まさや)が語ります。

人材不足・国際競争力の低下、製造業界の課題を解決すべくDXを推進

製造業の支援を通じて、「社会を止めない。暮らしを止めない。」ことに、NECはどのように貢献をしていますか。

陸川:NECの製造ソリューション事業部門は「デジタルで世界をコネクトし、製造業とともにリアルな世界の価値を高める」というビジョンをかかげ、デジタルの力で日本のものづくりを支え、事業継続に貢献することを目指しています。言い換えると「日本のものづくりを止めない」ということです。

具体的にはどういうことでしょうか。

石原:まずお客さまの事業を止めないということ。工場の生産ラインのデジタル化や、効率的なシステムの導入など、ものづくりのDXをはかることで、製造の現場が止まるリスクを最小限に抑えます。さらには、「日本のものづくりの成長を止めない」ことも目指しています。企業の生産性を向上し、競争力を強化することで、世界に誇れる日本のものづくりをより発展させていきたいです。

陸川 翔太・石原 正也 インタビュー画像01

日本の製造業には、現在どのような課題がありますか。

石原:一つは、生産年齢人口(社会を担う中核であるとされる、15歳以上65歳未満の人口)の減少。少子高齢化により、製造業の担い手不足が深刻化しています。もう一つが国際競争力の低下。その要因の一つとも言えるのが、OT(Operational Technology)領域と、IT(Information Technology)領域の連携不足です。

OTとはなんでしょうか。

石原:社会インフラや工場などの設備を制御するシステムのことです。従来、OTは外部のネットワークと接続することなく独立で稼働していましたが、近年は業務効率化や生産性向上の観点から、インターネットや情報系システムなど、IT技術との接続が進んでいます。
欧米企業などが高度なIT・OT連携を進める一方、日本企業はどちらかに偏る傾向にあります。この連携不足が製造現場のデジタル化の遅れを招き、結果として国際競争力を弱めることにもつながりました。

陸川:現在NECとしても、強みとしているIT領域の技術や知見を生かして、IT・OT連携という新たな領域に挑戦しているところです。その一環として生まれたソリューションが「NECマルチロボットコントローラ」です。

自動搬送ロボットと制御システムの導入で、搬送効率が30%アップ

「NECマルチロボットコントローラ(以下、MRC)」とは、どういったソリューションでしょうか。また、開発の背景もお聞かせください。

石原:まず背景から説明させていただくと、人手不足の影響を受け、現在、製造の現場ではDXによる業務効率化がはかられています。その鍵となるのが「搬送業務」の自動化です。「搬送」は、人間の頭脳による難しい判断を必要としない「ノンコア業務」でありながら、製造業務全体の25%を占め、かつコストが高いとも言われており、優先的に効率化すべき業務ととらえられています。搬送業務の自動化により、生産性の向上や、運用コストの大幅な削減が期待できることから、製造業界では自動搬送ロボットの導入が積極的に行われています。

陸川:今後、自動搬送ロボットの導入が進むにあたって、同じ製造現場で複数のメーカーやタイプの異なるロボットが混在するケースも増えてきます。そこでNECが開発したのが、MRCという制御システムです。「マルチロボットコントローラ」という名の通り、異なるタイプの自動搬送ロボットを一括して制御することが可能になります。

石原:MRCの主な特徴は三つです。まず、複数タイプの自動搬送ロボットが制御可能であること。従来、ロボットごとにシステムが乱立し管理が煩雑となっていたのを、一元管理できるようすることで業務効率化を促進します。二つ目が、最適経路生成という機能です。MRCが現場状況に適応し、ロボットに最適な走行経路をリアルタイムで計算してくれるので、目的地を指定するだけで、ロボット同士や障害物への衝突を防ぎ、安全に荷物を搬送してくれます。三つ目は業務システムとの連動です。上位システム向けAPIを提供しているので、お客さまの既存のシステムや、生産設備などと連動して運用することができます。

※ソフトウェアやプログラム、Webサービスの間をつなぐインターフェースのこと

陸川 翔太・石原 正也 インタビュー画像02

MRCに関してお二人はどういった業務を担当されていますか。

陸川:私と石原、ともにMRCの開発・導入を担当しています。実際の導入事例としてご紹介したいのが、2023年8月にNECプラットフォームズ掛川事業所で本稼働を開始した「スマートファクトリー」です。

石原:NECには「クライアントゼロ」という考え方があります。これは、NEC自身をゼロ番目のクライアントとして、最先端のテクノロジーを実践する取り組みです。まずは自社で実践し社内変革を推進することで、活きた経験やノウハウをお客さまへ提供することができます。

今回のスマートファクトリーも、まさにクライアントゼロの一環で、さまざまな先端技術を導入しました。その試みの一つがMRCを活用した自動搬送ロボットの運用です。

NECプラットフォームズ掛川事業所へのMRC導入で、思い出深い出来事はありますか。

陸川:私は自動搬送ロボットの効率的な搬送の実現や、新機能の強化を担当しました。開発設計に4カ月、現場導入に3カ月、特に最後の2カ月は製造ラインに張り付きで作業をするほどでしたが、なんとか安定稼働にまで持っていくことができてホッとしました。導入後の成果として、掛川事業場全体で生産効率30%向上に寄与しています。

石原:クライアントゼロの取り組みとして、今回私は、Visual SLAMという技術の導入も担当しました。Visual SLAMとは、ロボットに取り付けたカメラの映像データから位置や姿勢を推定し、周囲の環境を三次元で把握する技術で、ドローンの制御などにも用いられています。この技術を自動搬送ロボットにも実装しようと試みたのですが、NECでもまだ製品化されていない技術でしたので苦労は絶えませんでした。しかし研究所のメンバーと一緒に調整を重ね、3カ月目でようやく安定化に成功。このときは、本当にうれしかったです。

陸川:今回の取り組みは社内でも表彰を受け、本当に苦労が報われた思いでした。

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チャレンジ精神を大切に、日本のものづくりを止めない挑戦を続けていく

お二人が所属されているチームの雰囲気について教えていただけますか。

陸川:チームの雰囲気はとても協力的で、優しい方が多いですね。困りごとには積極的に相談に乗ってくれますし、自分の専門分野ではないことも一緒に考えてくれて、本当に頼もしく感じています。

石原:私は入社前に、NECの会社説明会に参加したことがあり、そこには現在所属しているスマートインダストリー統括部のメンバーもいました。実際に話をしてみて感じたのは本当に人柄がいいなということ。学生相手だから特別優しかったのかなと思いましたが、入社したらもっと優しかったので驚きました。

陸川:僕らのような4〜5年目の社員にも、一つの工場のシステム導入を任せてくれる器の大きさも魅力です。周りのメンバーに支えられながら、安心して若手がチャレンジできる環境だと思います。これからもチーム全体でチャレンジ精神を大切にしながら、お客さまの事業を止めない、ひいては日本のものづくりの成長を止めないよう、挑戦を続けていきたいと思います。

デジタルの力で製造プロセス全体の生産性向上や、業務最適化をはかることで、「社会を止めない。暮らしを止めない。製造を止めない。」NECはこれからも、持続可能な未来の製造業、日本のものづくりに貢献していきます。

陸川 翔太・石原 正也 インタビュー画像03

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