宇宙 衛星が私たちの日常を守る。宇宙から社会と暮らしを止めないという挑戦
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衛星が私たちの日常を守る。 宇宙から社会と暮らしを止めないという挑戦

画像:エアロスペース事業部門 大野 翔平

エアロスペース事業部門大野 翔平

2015年入社。衛星SARインフラモニタリング事業を担当。衛星SARデータの開発・解析業務、顧客提案、マーケティング、委託研究、宇宙利用ビジネス拡大のためのプラットフォームサービス化の企画・開発などに従事。

1970年2月に打ち上げられた、日本初の人工衛星「おおすみ」がNECによって開発・製造されたということをご存知でしょうか。日本における宇宙開発のリーディングカンパニーとして常に先頭を走ってきたNECは現在、培ってきた宇宙に関する知見や先端技術を駆使して、宇宙から私たちの生活を見守り、安心を届けるという取り組みを行っています。

「社会を止めない。暮らしを止めない。宇宙から。」果たしてそのメッセージには、どのような思いが込められているのでしょうか。エアロスペース事業部門の大野 翔平(おおの しょうへい)が、宇宙利用ビジネスにかける思いを語ります。

地表面のミリ単位の変化を追う衛星SARが私たちの社会基盤を守る

NECが宇宙ビジネスではなく、宇宙「利用」ビジネスという名称を用いている理由はなんでしょうか。

従来のNECの宇宙ビジネスは、例えば人工衛星でしたら、人工衛星を製造して、JAXAなどに納めれば、そこで終わりでした。しかし近年では、衛星の運用や、衛星で観測したデータを活用してサービスを提供するなど、人工衛星を利用したビジネスの市場が広がっています。そういったビジネス領域に参入していきたいという思いを込めて、「宇宙利用ビジネス」という言葉を使っています。

画像:エアロスペース事業部門 大野 翔平 インタビュー画像01

宇宙利用ビジネスにおいて、社会や暮らしを止めないということは具体的にどういうことなのでしょうか。

NECでは人工衛星を活用することで、まさに宇宙からみなさまの生活を見守り、安全安心な社会を実現するサービスを提供していけるよう、挑戦を続けています。

例えば、日本ではいま大きな社会課題となっているのがインフラの老朽化です。高度経済成長期に整備されたインフラは、今後20年で、建設後50年以上経過する施設の割合が増え、急速な老朽化が進むと言われています。一方で、インフラ管理に必要となる人手も少子高齢化によって不足しているというのが実情です。

そこで大きな力となるのが、私たちが活用を進めている衛星SARという技術です。SAR(Synthetic Aperture Radar)とは衛星や航空機などから地表面の様子を観察する技術の一種です。SARは光学センサと違って電波を用いて観測するため、天候や昼夜を問わず、地表の微小な変化を追うことができるという強みがあります。また衛星SARでは、広範囲で観測できる、周期的にデータを蓄積できる、という特性もあります。

衛星SARが取得したデータを活用することで、現地に人が行くことなく、優先して対応すべき橋や道路などのインフラを洗い出し、崩落などの事故を未然に防ぐことが可能です。

衛星SARを活用したNECの宇宙ソリューションにはどのようなものがありますか。

先ほどご説明したインフラの維持管理のほか、防災減災の分野でも事業を展開しています。まずインフラの維持管理ですが、SARは地表面の変化をミリ単位で追うことができるため、例えばビルが傾いていないか、地盤沈下が起きていないかなど、インフラの状況を把握することが可能となります。

もう一つ防災減災という点では、SARは災害状況を把握する場面でも活躍します。SARは天候に関係なく地表面の変化を観測できるので、例えば台風が来たときなどに、どこか冠水している場所がないかなど、被災状況を迅速に把握することができます。また、崖崩れのリスクが懸念される地域で、SARで崖の動きを観測して災害に備えるといったように、予防保全的な活用も可能です。

NECの衛星SARの強みはなんでしょうか。

SARを搭載したASNARO-2という衛星を保有していますので、自社で衛星の開発・製造、運用、衛星データの販売、解析をワンストップサービスとして展開できることが強みです。自社衛星に加えて、ときには海外の商用衛星も組み合わせることで、お客さまのニーズに合わせたフレキシブルなソリューションを提供しています。

宇宙利用を促進し、社会課題の解決へとつなげていきたい

大野さんが宇宙の世界を志したきっかけはなんだったのでしょうか。

中高生の頃から海外ドラマや映画が好きでよく見ていたのですが、とあるスパイ映画の中で、衛星データから犯人を追跡するという描写がありました。衛星からこんな細かな地上の情報を得られるんだと驚いただけでなく、これは犯人を追うだけでなく、別の使い方もできるのではないかと大きな可能性を感じました。大学では合成開口レーダー(SAR)について研究し、就職先も、衛星の製造とデータの解析を行っている企業を志望しました。

画像:エアロスペース事業部門 大野 翔平 インタビュー画像02

最終的に、NECに入社した決め手はなんでしたか。

研究室にいた身から社会人になるにあたって、技術だけでなく「事業」もやっていきたい、かつその事業を通じて暮らしの身近な部分に貢献していきたいという思いがありました。NECは当時、航空機SARを用いた防災関連の事業を行っていましたので、自分の考えに合致するところがあると思い、入社を決めました。

チームメンバーも同じような思いで働いている方が多いのでしょうか。

はい。エアロスペース事業部門では国家安全保障領域に関する事業で培った技術を非防衛・民間の領域にスピンオフさせていこうという動きもあり、私の所属するチームは新事業の位置付けとなります。それゆえに、チームメンバーの経歴も宇宙に限らず元SE、元営業など、多種多様で、年齢幅も広いですが、共通するのは「宇宙事業をやりたい」という思い。そして、私と同じように「技術だけでなく事業をやっていきたい」「事業として宇宙をもっと人々の身近なものにしていきたい」というモチベーションをもって取り組んでいる方が多いですね。衛星SARもまだまだ世間的にはニッチな技術ですので、もっと多くの人に知っていただきたい。そのためにも我々は、お客さまのニーズに即した価値を創造していかなければなりません。

宇宙が私たちの生活にとって有益なものであるという認識が広まり、宇宙利用が進んでいけば、社会課題の解決にもつながっていくかもしれませんね。

最近では、お客さまからの衛星データに対する期待や関心も徐々に高まってきている印象で、「衛星データを使ってこんなことはできない?」と逆にご提案や相談をいただくこともあります。実際、今後世界的に衛星の数が増えて、機能・性能が向上していくと、衛星を使って環境保全の観点から地球環境を観測したり、石油タンクの貯蔵量を観測して石油価格の予測に役立てたりと、衛星データの活用可能性も大きく広がっていくものと思われます。より多くの人が衛星データを用いたサービスを気軽に受けられるよう、衛星利活用プラットフォームの構築をはじめ、これからも宇宙から社会や暮らしを止めないために挑戦し続けたいと思います。

宇宙をもっと身近に。宇宙から衛星が見守ってくれるから安心だと思ってもらえるような社会を実現するために、宇宙から「社会を止めない。暮らしを止めない。」。NECは宇宙利用ビジネスの可能性にチャレンジを続けていきます。

画像:エアロスペース事業部門 大野 翔平 インタビュー画像03

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