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NEC 車いすテニスマスターズ2025

No Borders for Dreams Vol.3

30年の歴史を重ねて初のアジア開催

No Borders for Dreams 国枝慎吾×NECが見つける挑戦のかたち

NECは、「誰もが夢を抱き、挑戦できる社会」の実現を目指し、30年以上にわたり、車いすテニスを応援してきました。
「No Borders for Dreams」シリーズでは、国枝慎吾さんとともに、車いすテニスの魅力や挑戦する人々を紹介。挑戦の物語を通じて、誰もが“自分の夢に一歩踏み出す”きっかけを届けていきます。

シリーズVol.3では、NECマスターズ史上初めてアジア(中国・湖州市)で開催された「NEC車いすテニスシングルスマスターズ2025」(NEC Wheelchair Singles Masters 2025)を現地で観戦したNECグループ社員の視点から、大会の意義と現場で体感した競技の魅力をお届けします。

NECマスターズ2025の大会風景映像。
中国・湖州の赤土コートで躍動する選手たちと舞台裏をまとめました。

世界トップ8が競う年間王者決定戦

「NEC車いすテニスシングルスマスターズ」は、その年の世界ランキング上位8選手が集結し、年間王者を決める車いすテニスのシーズン最終戦です。国際テニス連盟(ITF)が主催し、1994年の創設以来、男子・女子・クアード(四肢障がい)の各カテゴリーで世界ランキング上位8名のみが出場します。

車いすテニス選手にとって、この大会はパラリンピックやグランドスラムと並ぶ特別な舞台であり、出場権を獲得する難しさはそれ以上とも言われています。すべての試合がトップ選手同士の対戦となるため、常に緊張感のある展開が繰り広げられ、観客にとっても見ごたえのある大会です。

2012年から14年まで同大会3連覇の経験を持つ国枝慎吾さんはこう振り返ります。
「初出場の際は、『自分がここに来たんだ』という実感と誇りを強く感じました。一方で、相手は全員が優勝候補。初戦から決勝まで、一瞬たりとも気を抜くことができない大会だとも実感しました。その一方で、会場の雰囲気や運営のクオリティも含め、『世界最高峰の舞台で戦っている』という高揚感があり、ここで勝ち続ける選手になりたいと強く思ったことを今でも覚えています」

NECは、オランダでの初開催から30年以上にわたり本大会を支え続けてきたグローバルパートナーです。競技用車いすの寄贈や普及活動、国際大会運営の安定的な支援などを通じて、単なるスポンサーの枠を超え、車いすテニスの発展を長年にわたり牽引してきました。こうした継続的な取り組みは、車いすテニスが世界的なスポーツとして認知され、選手たちが国や地域を越えて活躍の場を広げていくための確かな土台となっています。
そしてこの大会は、NECのPurposeに根ざした「誰もが挑戦できる社会を応援し、共に未来を創る文化」を象徴する取り組みとして、社内外にその姿勢を発信し続けています。

世界の頂点を競う舞台がアジアへ 中国開催の意味

これまで欧米の数カ国を巡ってきた同大会は、2025年、11月10日(月)から11月16日(日)まで、中国・浙江省湖州市で開催されました。アジアで初めてNECマスターズが開催されたことは、車いすテニスの国際的な進化を象徴するとともに、アジアで夢を追う機会を創出する画期的な出来事であり、パラスポーツの普及という点でも重要な意味を持っています。

国枝慎吾さんも、今回の中国開催について、大きな転換点になったと語っています。
「世界最高峰の大会がアジアで開催されることには、大きな意味があると思います。テニス界の構造上、ツアーの中心はどうしても欧米になりがちですが、車いすテニスでは現在、日本と中国の選手たちが着実に力をつけています。なかでも中国の女子選手は、この数年で一気に世界のトップレベルへと飛躍してきました。今回の中国開催は、そうした流れや勢いを反映したものだと感じています。世界最高峰の大会が自国で開催されることは、育成やモチベーションの面で大きな力になります。中国という大国が、今後車いすテニス界でどのような役割を果たしていくのか。競技のさらなるグローバル化という意味でも、今回の開催は、車いすテニスの未来にとって重要な一歩だと思います」

会場にはNEC中国の社員も家族とともに足を運び、現地で大会を観戦しました。
「中国で初開催された記念すべき大会に参加できて光栄でした。選手のひたむきな挑戦に胸を打たれ、子どもにとっても多くを学ぶ貴重な機会になりました。本大会を支え、理念を行動で示しているNECは、社員として誇りに思います」(Yang Chunxue)

現地で見た決勝戦 トップアスリートの技術と覚悟

大会のクライマックスとなる決勝戦では、車いすテニスならではの高度な技術と戦術が凝縮された試合が展開されました。

NEC中国勤務のPang Tingtingは、決勝戦を家族で観戦し、その迫力に圧倒されたといいます。
「決勝戦では、女子は上地結衣選手(日本)と李曉輝選手(中国)、男子は小田凱人選手(日本)とアルフィー・ヒューエット選手(英国)が対戦しました。パラアスリートたちは、車いすを身体の一部のように自在に操り、加速、停止、方向転換を瞬時に判断しながらプレーを展開します。特に、サーブ前に相手の動きを読み、次の一手を素早く決める場面や、デュースが続く緊迫したポイントでは、最後まであきらめない集中力と戦術眼が強く印象に残りました」

また、試合の合間に選手たちが水分や栄養をこまめに補給する姿や、長時間にわたる試合を戦い抜く姿勢からは、競技としての厳しさと同時に、日常にも通じる学びを感じたとも語ります。
国枝慎吾さんはこれまで、マスターズを「その年を勝ち抜いた選手だけが集う場所」であると同時に、次の世代へと競技をつないでいく象徴的な舞台だと語ってきました。トップ選手たちの真剣勝負を目にすることが、若い選手やこれから競技に触れる人たちにとって、新たな目標や挑戦へのきっかけになる。NECマスターズは、現在の到達点であると同時に、次の世代へと続く道筋を示す大会でもあるのです。

NECマスターズが描く“挑戦”がつなぐ未来

NECマスターズは、トップアスリートたちの競技の場であると同時に、人と人、世代と世代をつなぐ場でもあります。中国開催となった2025年大会では、現地で観戦した社員やその家族にとっても、挑戦し続ける選手の姿は、スポーツ競技を超えて学びや勇気をもたらすものとなりました。
NECは、競技の黎明期から車いすテニスを支え続けてきた歴史を持ち、その歩みを「誇りに思う」と本大会開催に寄せて社長兼CEOの森田隆之も語っています。国籍や性別、障がいの有無を超えて、誰もが夢を描き、挑戦できる環境をつくること。それは大会をサポートする意義であり、NECが描く豊かな未来そのものです。