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グランドスラム観戦記

No Borders for Dreams Vol.2

NECグループ社員が現地で感じた“挑戦”と“包摂”

No Borders for Dreams 国枝慎吾×NECが見つける挑戦のかたち

NECは、「誰もが夢を抱き、挑戦できる社会」の実現を目指し、30年以上にわたり、 車いすテニスを応援してきました。
「No Borders for Dreams」シリーズでは、車いすテニス界のレジェンド 国枝慎吾さんとともに、車いすテニスの魅力や挑戦する人々を紹介。挑戦の物語を通じて、誰もが“自分の夢に一歩踏み出す”きっかけを届けていきます。

シリーズVol.2では、プロテニスのグランドスラム(四大大会)の中のウィンブルドン選手権(The Championships, Wimbledon)と全仏オープン(Roland-Garros)のNECグループ社員による観戦記をお届けします。

グランドスラムの中の“車いすテニス”

プロテニス選手にとって、グランドスラム(全豪・全仏・ウィンブルドン・全米)はまさに“夢の舞台”です。最も歴史あるウィンブルドンが始まったのは1877年で、当初は男子シングルスのみでした。車いすテニスは、長い年月を経て2002年全豪オープンで初めて併催され、2016年にはウィンブルドンで男女シングルスがスタート。現在では4大会すべてで男女シングルス・ダブルスが開催されています。

同じ会場、同じ時間に、世界のトップ選手たちが車いすを操りながら繰り広げるプレーは、その実力と存在感を世界のテニスファン、そして社会に力強く示すものとなりました。

その実現の背景には、選手や関係者の粘り強い働きかけと“挑戦”があります。大会側に環境整備を求め、観客やメディアに魅力を伝え、コート移動の負担や練習時間の確保といった課題を一つずつ乗り越えることで、平等な競技環境が形づくられてきました。

車いすテニスのグランドスラムには、テレビだけでは伝わらない熱気があります。この観戦記では、NECグループ社員が現地で感じたその空気をお届けします。

ウィンブルドン2025~聖地で感じた選手の挑戦

アイルランドで育ったエリザベスにとって、ウィンブルドンは幼いころから「夏のハイライト」として心に根づいていた特別な場所だといいます。2025年7月、NECヨーロッパで働くエリザベス・ブラウン、エドワード・バンブリー、川辺愛の3人は、世界中の人々から“テニスの聖地”と称されるウィンブルドンを訪れました。

グランドスラムで唯一のグラスコートで開催されるウィンブルドン。芝の上で躍動する選手たちの姿から、3人はさまざまな感動を受け取りました。


「目の前で選手たちの不屈の精神と才能を見ることで、一人ひとりがどれほどの挑戦を積み重ねてここまで来たのかが伝わってきました。本当に胸が熱くなりました」(エリザベス)

「今年も訪れることができ、心から喜んでいます。大会が車いすテニスを積極的にサポートする姿勢と、NECが「NEC Way」の“Encourage Openness. Stimulate the Growth of All(組織はオープン、全員が成長できるように )”で示す、誰もが活躍できる社会をつくろうという思いには通じる部分が多いと感じました」(エドワード)

「初めて車いすテニスを観戦したとき、選手たちの運動能力とひたむきな姿に心を打たれました。それ以来、会場に足を運ぶたびに、競技のレベルの高さも熱気も変わらず、毎回新たな刺激を受けています」(川辺)
川辺は、ウィンブルドンが単なるテニスの試合以上の体験を提供する場所だと語ります。コート見学やピクニックを楽しみ、会場全体の雰囲気に浸れることも魅力だといいます。

芝の香り、選手たちの挑戦、会場の熱気。そのすべてが、ウィンブルドンが“特別な舞台”と呼ばれる理由を物語っていました。

ローラン・ギャロス~赤土が引き出す別の迫力

NECフランスの社員たちは、ローラン・ギャロス(全仏オープン)で車いすテニスを観戦しました。芝のウィンブルドンとは対照的に、赤土のクレーコートが舞台。ボールが弾む独特のリズムと観客の熱い声援が重なり、エネルギッシュな空気に満ちていたといいます。

観戦した社員の1人はこう語ります。
「選手たちが滑らかな機動性でコートを自在に動きながら、正確なショットと高度な戦術を発揮する姿に強くひきつけられました。揺るぎない忍耐力と気概がプレーに宿っていて、感情の深さを感じました。単なるスポーツを超えて、人の身体能力への見方を変え、アスリートの強さと揺るがない精神力を感じさせてくれる競技だと思いました」

また、競技の過酷さに触れる社員もいました。
「車いすテニスはもともと身体的に厳しいスポーツですが、車いすで行うことで難易度はまったく新しいレベルになります。選手たちのモチベーションと精神的な強さは本当に目を見張るもので、心から勇気づけられました」

ローラン・ギャロスは観客との距離が近く、土の匂いや熱気がダイレクトに伝わる会場。同じ車いすテニスでも、ウィンブルドンとは違った魅力と迫力が感じられる場となりました。

グランドスラムで実感「NECグループの挑戦と成長を生む力」

2つのグランドスラムで選手たちの挑戦に触れたことで、観戦した社員たちはNECが30年以上にわたり車いすテニスを支援してきた意味をあらためて実感したといいます。

「競技の水準や興奮が訪れるたびに期待を超えてくる。このスポーツの素晴らしさをもっと多くの人に知ってほしい」という声もあれば、「まだ十分に取り上げられていない競技に、NECグループとして関わり続けていることが誇らしい」「アクセシビリティを広げ、才能ある選手の挑戦を後押しする活動に携われることが励みになる」と語る社員もいました。

車いすテニスを支える取り組みは、社員の心に誇りが生まれ、自らも挑戦しようとするマインドが共感として広がっていることが、社員の言葉からも伝わってきます。私たちは、こうした連鎖を大切にし、その価値を社会へと広げていきます。

国枝慎吾さんに聞いた「心が動く瞬間」

選手として、観客の声援が向上心に火をつけ、観客として、迫力あるプレーに圧倒される。車いすテニスには、そんなふうに心を動かす力があるといいます。

――現役時代、観客の声援が力になり、試合展開や気持ちが大きく変わった瞬間はありましたか。印象に残っている場面やエピソードは?

2006年、私が初めてウィンブルドンに出場したときのことです。当時はダブルスのみのイベントでしたが、決勝戦では観客席が満員(おそらく2000人収容コート)になるほど。それまではガラガラのコートでしかプレーしたことがなく感激したのを覚えています。そのまま優勝することになるのですが、マッチポイントが近づくにつれ、もう少しここでプレーしていたいと思ったほどです。その後は、日本でも満員のお客さんの前でプレーしたい、というのが1つの目標になりました。そのためにも、お客さんに楽しんでもらえるようなレベルの高いプレーをしなくちゃという気持ちは、私の競技人生を支える芯になりました。

――車いすテニスを“観戦する”魅力は何だと思いますか。一般の観客が車いすテニスのコートにも足を運びたくなるような、観戦の楽しみ方や見どころを教えてください。

車いすテニスの魅力はテニスとしても楽しめるし、別競技としての側面もあることです。テニスをご存じの方であれば、サーブやフォアハンド、バックハンドといった技術、戦術はテニスとしての要素をそのままに感じられます。また別競技と表現したのは、フットワークが車いすを操作して行う「チェアワーク」になることで、細かい操作技術も求められます。通常のテニス以上に盛り上がるポイントは、追いつけないだろうと思ったボールに追いつく瞬間かもしれません。ぜひ生観戦でその迫力をお楽しみ下さい。