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第8回 契約期間2 -労務・人事管理コラム

講師

第8回 契約期間2 (2011年8月23日公開)
講師:神谷喜代子(有限責任監査法人 トーマツ
プロフィール

これらを踏まえて検討されるのは、契約締結時(締結事由・更新回数・利用可能期間)、契約期間中(均等待遇・正社員への転換)、契約終了時(契約終了手当)におけるルールの必要性及びそのルールの内容ですが、ポイントは次の通りです。

有期労働契約の締結及び終了など

私個人としては、今回の検討課題の中で契約締結時の規制がなされた場合が最も企業経営にインパクトがあると考えています。

もし、有期労働契約者の利用可能な事由が限定されたり、事由が限定されなくても更新回数や利用可能期間に制限がかかれば、恒常的に有期契約労働者を活用することが困難になります。
そうなると、正社員がその業務を担当しなければならなくなるわけですが、そもそも正社員の賃金水準では経営的に困難であるため有期契約労働者を活用していたとすれば、コスト面で経営に与えるインパクトは非常に大きくなります。

これを回避するため、正社員の中に、現状の正社員と異なる労働条件(賃金水準)を設定することが考えられます。これを分かりやすく言うと正社員の中に2種類の異なる労働条件(賃金水準)が存在するということです。

しかし、この場合であっても、同一賃金同一労働のトラブルリスク(※)を回避したり、同じ正社員という身分でありながら労働条件(賃金水準)が異なる事に対して納得感を得て働くモチベーションを維持するなど、新たな課題に対応する必要があります。

  • 現行の日本の法律では、同一労働・同一賃金は明文化されていませんが、一般職と総合職で労働条件の違いがあった一昔前と同じように、賃金水準が異なることに対するトラブルが生じる可能性があると考えています。

また、将来の雇用調整に備えて有期契約労働者を活用している場合、利用可能な事由に該当しなかったり、制限された利用可能期間内で本当に終らせられるのかが不明だとすれば、やはり正社員として雇用せざるを得なくなります。
そうなると、将来の雇用調整が容易に出来なくなるため、自社で行う業務を取捨選択する必要が生じます。
つまり、その業務をどこで・誰がやるのかについて抜本的な見直しが必要になるということです。

現在分科会で審議されている課題は、その全てにおいて労使の意見の隔たりが大きく、落とし所が全く見えませんが、仮に労働者保護を強化する(=規制強化)内容の結論が出た場合は、コストアップやマーケットへの柔軟な対応が難しくなる可能性があります。

円高・高い法人税率・貿易自由化の遅れ・CO2削減・電力不足(電力コスト上昇)等、ただでさえ経営を取巻く環境は厳しさを増していますが、これに労働規制強化という新たな課題が加わることになる可能性があり、少なくとも現在議論されている内容が実現した場合に備え、今から検討を始めておいても良いのではないでしょうか。

当該記事は執筆者の私見であり、有限責任監査法人トーマツの公式見解ではございません。

トーマツグループは日本におけるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド(英国の法令に基づく保証有限責任会社)のメンバーファームおよびそれらの関係会社(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング株式会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー株式会社および税理士法人トーマツを含む)の総称です。トーマツグループは日本で最大級のビジネスプロフェッショナルグループのひとつであり、各社がそれぞれの適用法令に従い、監査、税務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー等を提供しています。また、国内約40都市に約6,400名の専門家(公認会計士、税理士、コンサルタントなど)を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細はトーマツグループWebサイト(www.tohmatsu.com)をご覧ください。
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本資料は皆様への情報提供として一般的な情報を掲載するのみであり、その性質上、特定の個人や事業体に具体的に適用される個別の事情に対応するものではありません。また、本資料の作成または発行後に、関連する制度その他の適用の前提となる状況について、変動を生じる可能性もあります。個別の事案に適用するためには、当該時点で有効とされる内容により結論等を異にする可能性があることをご留意いただき、本資料の記載のみに依拠して意思決定・行動をされることなく、適用に関する具体的事案をもとに適切な専門家にご相談ください。
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