NEC、デジタル産業革命の進展を加速させる新プラットフォーム「SX-Aurora TSUBASA」を発売
~AI・ビッグデータ解析領域への利用も拡大~
2017年10月25日
日本電気株式会社
NECは、処理性能と拡張性を大幅に強化し、HPC領域の科学技術計算に加え、AI・ビッグデータ解析、資源探査、画像解析、セキュリティなどの新しい領域にも活用可能な新プラットフォーム「SX-Aurora TSUBASA(エスエックス・オーロラ・ツバサ)」を、日本国内および海外向けに販売開始します。
新製品は、最先端LSIテクノロジーに加え、NEC独自の高密度実装技術や高効率冷却技術などで開発されたカード型の「ベクトルエンジン(以下、VE)」を搭載しました。
VEをカード型とし、x86サーバーへの搭載を可能とした新アーキテクチャの採用により、ベクトル演算に加えx86で行うスカラ演算の両ニーズに対応しました。さらに、VEの搭載数によりエッジ用からデータセンター用まで幅広いラインアップを揃え、計算能力ニーズに応じた選択を可能としました。
なお、従来機種「SX-ACE」と比較し、性能あたり(注1)の消費電力を5分の1に、また設置面積を10分の1に低減しました。
NECは「社会ソリューション事業」に注力しており、世界最高レベルの技術を駆使したプラットフォーム製品を提供することで、安全・安心・効率・公平で豊かな社会の実現に貢献していきます。
■SX-Aurora TSUBASA (エッジ用)
■SX-Aurora TSUBASA (オンサイト用)
■SX-Aurora TSUBASA (データセンター用)
背景
昨今、IoTの爆発的普及に伴い、世界規模で扱われるデータ量は2年毎に倍増しています(注2)。また、それら大量のデータはより高度なAI処理を要求するケースも増えていくことが見込まれるなど、大量データを高速かつ高度に処理することが求められています。これらニーズに対し、従来ではスーパーコンピュータに代表されるHPC(High Performance Computing)機器での処理が一般的でしたが、システム規模も大きく利用価格も高額となるため、利用ユーザは一部の省庁・研究機関・大手企業などに限定されていました。ただし、今後これらの処理ニーズは、企業における設計・開発、地方自治体での災害対策予測、また農業や漁業の収穫・漁獲予測、店舗販売の売り上げ予測など、幅広い業態業種に拡大することが見込まれています。
このような状況下、NECは高性能と導入しやすさの両立を目指してベクトル型新プラットフォーム「SX-Aurora TSUBASA」を新たに開発し、コア当たりのアプリケーション性能を世界最速レベルとすることと、ベクトルプロセッサをカード型化することで、幅広いお客様に利用できる高速・高性能なシステムを提供します。
製品名、搭載VE数、価格、提供時期、販売目標
製品名 | 搭載 VE数 |
最小構成価格(注3) (税込) |
提供予定時期 |
---|---|---|---|
SX-Aurora TSUBASA (エッジ用、オンサイト用) |
1~8 | 170万円~ | 2018年 2月以降 |
SX-Aurora TSUBASA (データセンター用) |
64 | 1億2千万円~ | 2018年 7~9月 |
- 販売目標:今後3年間で1,000億円を計画
特長
1.世界一のコア性能を実現したベクトルプロセッサをカード型VEに搭載
新開発したカード型VEに搭載されるベクトルプロセッサは、世界初のメモリ搭載構造(注4)を採用し、「SX-ACE」の単一コア性能をさらに約5倍高速化させ、世界一の単一コア性能(注5)307ギガフロップス(GFLOPS:1秒間に10億回の浮動小数点演算性能)、および世界一の単一コアメモリ帯域(注6)150ギガバイト/秒を実現した高性能コアを8コア採用し、2.45テラフロップスの演算性能と1.2テラバイト/秒のメモリ帯域を実現します。これにより、多数のプロセッサが必要と言われるスカラ型並列コンピュータと比較して、少ないプロセッサ数でも、複雑な科学技術計算において高い性能が得られ、並列プログラミングの負担も軽減されます。
2.オープン環境との融合でより使いやすく。利用範囲拡大へ
新製品では、x86ホストサーバ(OS:Linux)とカード化されたVEが連動して動作する新しいアーキテクチャを採用し、スカラー(x86)向けアプリケーションはホストサーバ側で稼動させ、ベクトル性能が高いアプリケーションはVEで稼動させるなど、より多くのアプリケーションが利用可能なハイブリッド環境を提供します。VEの性能を引き出すためのソフトウェア環境としては、従来のSXシリーズ同様にNEC独自のベクトルコンパイラ、分散並列化ソフト「NEC MPI(エムピーアイ)」、分散・並列ファイルシステム「NEC Scalable Technology FileSystem:ScaTeFS」(スケートエフエス)」、ジョブスケジューラ「NEC Network Queuing System V:NQSV(エヌキューエスブイ)」などのソフトウェアを提供し、高度なアプリケーション開発と安定したシステム運用を支援します。
3.タワー型から大規模システムまで柔軟なシステム構築が可能に
新製品では、VEをカード化したことにより、エッジ用(VE数:1)、オンサイト用(VE数:2、4、8)、データセンター用(VE数:64)まで、幅広い筐体サイズへの対応が可能となり、計算能力ニーズに応じた選択を可能としました。これにより、従来の大規模データ解析を行っているユーザに加え、AIやビッグデータ解析を行う企業や研究所の研究者・開発担当者なども、高性能ベクトルマシンを利用することができるようになりました。(注7)
なお、1ラックあたりでは最大156テラフロップスのラック演算性能、および76.8テラバイト/秒のメモリ帯域を実現しています。ラックの接続数には制限がなく、お客様の利用環境に合わせた大規模なシステムを構築することが可能です。
なおNECは、「SX-Aurora TSUBASA」を下記2展示会に出展します。
- (1)NECグループが開催する「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2017」(会期:11/9(木)~11/10(金)、会場:東京国際フォーラム(東京都千代田区))「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2017」について
https://uf-iexpo.nec/ - (2)世界最大のスーパーコンピュータ国際会議/展示会「SC17」(会期:2017年11月13日~16日、米国コロラド州デンバー)
新製品の詳細につきましては、別紙をご参照ください。
NECグループは、安全・安心・効率・公平という社会価値を創造する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進しています。当社は、先進ICTや知見を融合し、人々がより明るく豊かに生きる、効率的で洗練された社会を実現していきます。
【別紙】 「 SX -Aurora TSUBASA 」の主な仕様
以上
- (注1)同一演算性能を実現するラック構成において
- (注2)IDC[The Digital Universe of Opportunities]をもとにしたNEC推測
- (注3)最小機器構成例
- エッジ用:ハードウェアとソフトウェア環境
- データセンター用:ハートウェアとソフトウェア環境
- (注4)プロセッサ内に広帯域幅メモリを6枚搭載した構造において(2017年10月25日時点、NEC調べ)
- (注5)2017年10月25日時点、NEC調べ
- (注6)2017年10月25日時点、NEC調べ
- (注7)2017年7月23日 NEC、ベクトル型コンピュータに適した機械学習向けデータ処理技術を開発
http://jpn.nec.com/press/201707/20170703_02.html
- ※SX-Aurora TSUBASA、SX-ACEは、日本および米国における日本電気株式会社の商標または登録商標です。
- ※"Linux"はLinus Torvaldsの日本および その他の国における登録商標または商標です。
参考
- ベクトル型演算:
ベクトルプロセッサという科学技術計算向きの高速プロセッサにより、一つのベクトル命令で配列要素を一括処理することにより大規模・複雑な計算を高速処理する演算方式。気象、航空宇宙、環境、流体解析、物性計算などに適している。 - スカラ型演算
汎用的なプロセッサ(x86など)を多数並列接続することで高速処理を実現する演算方式。遺伝子解析など多数の業務の同時処理や粒子計算など並列化が容易な計算に適している。
SX-Aurora TSUBASAについて
本件に関するお客様からのお問い合わせ先
グローバルプラットフォーム本部
TEL:044-455-8630
E-Mail:info@hpc.jp.nec.com
NECは、社会ソリューション事業を推進する
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