2015年11月11日
日本電気株式会社

背景

現在、救急医療における現場と病院のコミュニケーション手段は、電話や救急無線を使った音声通話が主体となっています。
緊急時では、受け入れる病院側で、患者の容態をより速くかつ正確に把握し、いち早く適切な受け入れ体制を整える必要がありますが、音声のみでは伝達できる情報量に限界があるため、映像による情報伝達のニーズが高まっています。
また通信環境が厳しい状況では、時間あたりに送信できるデータ量に限りがありますが、病院側の医師が患者の状況を遠隔で正確に把握するためには、リアルタイムかつ鮮明な映像が求められます。

今回開発した技術は、救急車やドクターカーなどの高速移動により通信環境が不十分な場合でも、モバイル通信網を利用して、高画質な映像のリアルタイムな配信を実現するものです。

新技術の特長

今回、通信スループットの変動にあわせて、映像のビットレートとフレームレートを最適化する「適応レート制御技術」を開発しました。
モバイル通信網を利用して映像を配信する場合、高い映像品質を保つためには、通信スループットの変動に合わせて映像パラメータ（ビットレート（注2）やフレームレート（注3））を調整する必要があります。
今回、NECは2012年11月に開発した「通信スループット予測技術」（注4）を用いて、1分先までの上り（注5）の通信スループット変動を80%の精度で予測できることを、商用モバイル通信網で実証しました。
この高精度な予測技術を用いて、「適応レート制御技術」によりデータ送信を行うことで、スループットの変動に遅れることなく最適に調整された映像データが送信されることで、リアルタイムに高画質な映像配信が実現できます。

本技術により、救急医療現場と病院間で映像を用いた正確な情報共有が可能になり、患者の容態に合わせた受け入れの準備が可能となるなど、救命率の向上、救急医療の質向上に貢献します

なお、NECは、今回の成果を、NECグループが開催する「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2015」（会期：11/12（木）～11/13（金）、会場：東京国際フォーラム（東京都千代田区））にて、展示します。

NECグループは、「2015中期経営計画」のもと、安全・安心・効率・公平という社会価値を提供する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進しています。当社は、先進のICTや知見を融合し、人々がより明るく豊かに生きる、効率的で洗練された社会を実現していきます。

以上

• (注1) 単位時間あたりに通信できるデータサイズ
• (注2) 単位再生時間あたりの映像データサイズ
• (注3) 単位時間あたりの映像フレーム（１枚の画像）数
• (注4) 2012年11月26日発表
  『NEC、インターネットやモバイル通信網の通信可能速度を高精度に予測する技術を開発』
  http://jpn.nec.com/press/201211/20121126_01.html
• (注5) アップリンク。無線通信で端末から基地局にデータが送られる通信方向。
  一般に下り方向（ダウンリンク）よりも通信スループットが低くなる。

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