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福岡県京都医師会(メディックNET)様

夜間休日急患センターと医療機関との情報連携を発端に
地域医療連携ネットワークと感染症サーベイランスシステムを連動

業種医療・ヘルスケア業務その他業務
製品業種・業務ソリューション・サービスその他ソリューション

導入前の課題

小児救急、一次救急体制の拡充を目指して夜間休日急患センターを新築

福岡県の京築二次保健医療圏(行橋市、豊前市、苅田町、みやこ町、築上町、上毛町、吉富町の2市5町)は、北は北九州市、西は田川郡、東南は大分県と接する人口約18万9000人の農山漁村地域です。自治体病院、三次医療機関はなく、救急告示病院2カ所をはじめとして県の基準病床数を上回る病床を有しながら、医師不足・偏在化の課題を抱えています。
総医師数は251人(人口10万人当り132.6人)、特に小児科医は9人(同4.8人)、産婦人科・産科医に至っては3人(同1.6人)と、いずれも福岡県平均を大きく下回り、13ある二次保健医療圏の最下位という状況(統計は2010年12月末時点)。こうした医療体制の中で、救急医療と小児救急を含む小児医療の不十分さが大きな問題となっています。
救急医療については、救急告示病院(新行橋病院、小波瀬病院)が初期救急患者と二次救急患者を同時に受け入れつつ、重篤患者の対応にあたっている状況でした。このような状況を解消するために一次救急医療を担う施設として、京都(みやこ)医師会管内に行橋京都休日夜間急患センター、豊前築上医師会管内に豊築休日急患センターが開設されています。
その1つである行橋京都休日夜間急患センターは、1998年7月に行橋市・苅田町・みやこ町の1市2町の組合立として設立され、内科、小児科、歯科を対象に夜間および休日の一次診療を担ってきました。当時、市社会福祉協議会の建物を間借して開設されましたが、老朽化や駐車場の不足から建て替えが急務となったため、京都医師会が主導して計画を立て、県の地域医療再生計画に基づき、約25億円の予算で移転・新築。2013年6月に医師会館と隣接した、内科・小児科4診制、歯科1診制、発熱外来ゾーンをはじめ、医師当直室(3室)や看護仮眠室を備えた行橋京都メディカルセンターとして新たにオープンしました。京都医師会が主導し、行政の協力を得て進められた「行橋京都地区医療連携ネットワーク(「メディックNET」)」基盤構築事業は、この行橋京都メディカルセンター(行橋京都休日夜間急患センター)の電子カルテ導入を中核とするIT化と、同センターの診療情報と医師会員医療施設との医療情報連携をきっかけとして計画されたものです。

導入の経緯

夜間休日急患センターと医療機関の情報連携を動機に基盤構築

京都医師会副会長 桑原 恒治 氏 (桑原医院院長)京都医師会副会長
桑原 恒治 氏
(桑原医院院長)

休日夜間急患センターで診療に当たる医師は約60人。約3分の1は京都医師会会員の地元診療所医師が輪番制で診療に当たるが、それ以外は九州大学病院や福岡大学病院、九州労災病院、小倉記念病院など大規模病院の医師の応援を得て運営されています。
「応援医師の病院ではほとんどが電子カルテを導入しており、アンケートを取ったら急患センターでの電子カルテ運用を望む人が8割を超えていました。当直室の整備などもそうですが、応援をお願いしている立場として、より良い診療環境を整備するために急患センターの電子化は必要な施策でした」。京都医師会副会長の桑原恒治氏(桑原医院院長)は、行橋京都休日夜間急患センター移転・新築に合わせた電子カルテを核とする医療情報システム整備の背景をこう説明。
それと同時に、急患センターで診療に当たる医師にとって、患者が普段通院している診療所や病院の診療情報を知り得るかどうかが重要だと指摘する。「夜間に一人で急患に対応するので、事前に何も情報がないのは非常にリスキーです。主治医を知っている場合は電話で患者さんの既往歴や処方歴などを問い合わせることもありますが、時間によって電話が憚られるし、連絡が付かないことも往々にしてあります。また、急患センターと各医療機関の医師とのやり取りは1枚の紙のみで、処方内容が記されている程度でどのような症状で急患センターを受診したのかなど、詳細な情報はフィードバックされてこなかったのが実状。一時的にしろ、急患センターと普段患者さんがかかっている医療機関との情報連携の必要性を感じていました」(桑原氏)と、「メディックNET」構築の背景の一端を述べています。

京都医師会会長 大原 紀彦 氏 (大原病院院長)京都医師会会長
大原 紀彦 氏
(大原病院院長)

急患センターと京都医師会管内の医療機関との情報連携実現がきっかけだったとはいえ、圏内医療機関の医療機能の役割分担・医療連携の促進をICT活用で活性化させることも「メディックNET」の大きな目的でした。行橋京都地区医療連携ネットワーク基盤構築事業プロジェクトの取りまとめ役を担当した京都医師会会長 大原紀彦氏(大原病院院長)は、従来の医療連携体制と基盤構築事業推進の経緯を次のように話します。
「地域医療支援病院であり、救急告示病院である新行橋病院、同じく救急告示病院の小波瀬病院を中心に、病院と病院、病院と診療所間の救急患者との連携は行われてきました。京都医師会会員は比較的、顔の見える関係が築かれてきたと思っています。早くから医師会員のメーリングリスト(メディック)なども立ち上げ、一部の会員どうしで様々な情報交換も行われていました。「メディックNET」構築は、そうしたヒューマンネットワークを補完し、医療連携を促進するためのインフラづくりという視点で意義があると取り組んだものです」(大原氏)。

図:感染症サーベイランスシステム

導入後の成果

半数弱の医療機関が参加、多くの診療所も情報を開示

医療情報連携基盤としてID-Linkが選定された理由には、全国各地で展開されている地域医療連携ネットワークにおける実績と、社会基盤としてインフラづくりを推進するにあたり運用面や規約等の整備のノウハウや信頼性を評価したと大原氏は述べる。「計画段階で様々な仕組みが検討され、地元メーカーからもスマートフォンやタブレット端末を使った仕組みや処方歴のICカード化などの提案もありました。診療情報を共有する際のシステム的なリスク管理や規約整備など危ういものもあり、実績と信頼性から選定しました」(大原氏)。
「メディックNET」へは当初、京都医師会員の医療機関90施設のうち、半数弱の39施設(行橋市20施設、苅田町11施設、みやこ町8施設)が参加を表明しています。このうち、救急告示病院2施設を含む7病院、診療所10施設が情報開示施設となっています。情報開示のためのID-Linkサーバーは、急患センター、7病院に設置され、各診療所の情報開示用ID-Linkサーバーは急患センターに置かれています。診療所の情報開示施設が多いのは、急患センターと各診療所が相互に患者情報を連携するという狙いに加え、「メディックNET」の大きな特徴であるID-Linkと連携して運用する感染症サーベイランスシステムへのデータ登録する協力診療所が多いという経緯からです。
「当初、患者情報の開示・共有に伴うデメリット、情報管理におけるリスク懸念など負の意見も出ましたが、最終的に患者さんのメリットや感染症情報の収集・動向公開の有用性などを理解していただけたことが、当初想定した以上の参加につながったと思っています」(大原氏)と振り返ります。

リアルタイムな動向監視によって感染拡大を抑止

京都医師会副会長 弓削 建 氏 (ゆげ子どもクリニック院長)京都医師会副会長
弓削 建 氏
(ゆげ子どもクリニック院長)

「メディックNET」の特徴の1つである感染症サーベイランスシステムは、感染症情報を収集・蓄積し、統計処理して発信する機能と、予防接種情報の登録・閲覧機能の2つの仕組みで構成されています。感染症情報機能は、医療機関や急患センターなど各施設がインフルエンザをはじめ、麻疹、風疹、水痘、RSウイルスなど20の感染症(現時点)を年齢別に、発症都度・日ごと・週ごとに入力・蓄積し、統計処理して感染症発生動向をグラフ等で公開、医療機関が閲覧できるもの。また、同機能の運用での大きな特徴は、学校・保育園・幼稚園がネットワークに参加し、子どもの学年別欠席状況や学級閉鎖など感染症にかかわる状況を登録でき、発症動向を学校や保育園で閲覧できる点です。
一方、予防接種情報機能は、予防接種協力機関がワクチン種、被接種者(氏名、生年月日)、接種日、接種パターン・回数、接種量などを登録するもの。また、接種するワクチンが接種対象年齢外であったり、2回接種タイプなどで前回接種日との間隔が適正でない場合や同時接種できない場合だったり、接種量が適正でない場合などにアラートを表示する機能も実装しています。
同システムは医療機関名(または学校名など)と操作者ID、予防接種情報入力の場合の接種者IDは、ID-Linkから引き継いだ情報が利用されるようになっています。
これまでもインフルエンザに関しては、京都医師会の協力医療機関40施設が医師会に1週間ごとにまとめて報告し、発症動向を医療機関向けに発信するとともに県医師会にも報告していました。報告・フィードバックにはFAXが使われ、集計も手作業で処理されるなど、報告側医療機関にも集計する医師会側にも手間がかかっていました。
「週ごとの集計では発症動向が把握しにくく、狭い範囲の発症状況をつかむことができませんでした。感染症サーベイランスシステムの稼働によって、地域の感染動向がほぼリアルタイムに把握でき、またインフルエンザだけでなく、様々な感染症を対象にデータ収集できるため、われわれ医療機関にとっては有用な情報になり得ます。しかも学校と保育園・幼稚園の協力を得られたことで、ある校区でインフルエンザA型が、別の校区ではB型あるいはH1N1型が感染傾向にあるといったミクロ的な動向把握も可能になります」。京都医師会副会長 弓削 建氏(ゆげ子どもクリニック院長)は、システムの有用性を強調しています。
感染症サーベイランスシステムは弓削氏らの発案を基に行政の協力を得て、1市2町の小中学校が約40校、保育園・幼稚園が約40施設の参加が見込まれています。学校・保育園の登録情報は主に学年ごとの欠席数、学級閉鎖、学校閉鎖の状況だが、これら関係者も統計情報を閲覧することができるため、近隣での発症動向を詳細に監視することが可能。それによって施設あるいは家庭での手洗い、うがいの徹底など予防活動につなげることができるのではないかと期待されています。
桑原氏は、2009年のH1N1型インフルエンザの大流行の際に夜間休日急患センターが機能マヒした経験を例に取り、「感染は止められなくとも、蔓延するスピードを遅らせることができれば、医療機関の対応は可能。リアルタイムな動向監視によって予防効果が得られれば、医療機能の維持につながります」(桑原氏)と、期待は大きい。
一方、予防接種情報の管理については、年々煩雑になる小児予防接種が引き起こす、接種協力機関の間違った接種を防止することを1つの目的としているという。
「乳幼児の予防接種は小児専門医だけで実施することが困難で、内科、小児科を標榜する医療機関等の協力を得ています。定期・任意、同時接種、接種間隔など現在の予防接種は非常に煩雑で、協力機関による間違った接種の事例が年に数例あります。構築したシステムには接種チェック機能があり、接種間隔などの間違いを防止できると期待しています」(弓削氏)。
予防接種情報は母子手帳に記載されているはずですが、任意接種などは記載漏れがあったり、接種日が正確でないケースも見受けられと弓削氏は指摘しています。こうした情報が電子的に登録・管理されることによって、「適正な予防接種の実施を促すこと、診療の際に子どもの免疫状態を正確に知ることができます」(弓削氏)と、システムの有用性を強調します。

具体的な活用・有用性を提示、参加施設の拡大を目指す

感染症サーベイランスシステムの運用と地域医療情報連携システムの運用とも、今後成果を上げていくためには参加施設数の拡大が前提。従来のインフルエンザ感染報告の協力医療機関は40施設で、現時点での「メディックNET」全参加施設が39施設。「医療機関、学校・保育園関係者に感染症サーベイランスシステムの有用性を具体的に示しつつ、参加協力を仰ぐ必要があります。特に医療機関では、発症のカルテへの記載、予診票への記載、その上でシステムへの入力が必要となるため、その煩雑性の解消も課題です」(弓削氏)と指摘しています。
一方、桑原氏は休日夜間急患センターの受診患者の情報連携において、具体的な運用成果を示していく必要があるといいます。「医療情報連携システムの個々の利用ケースを想定すると、1つ1つはレアなケースであったとしても、そこに有用性があれば利用価値は認められるでしょう。費用対効果だけで判断することはないと考えます」(桑原氏)。また、現時点では活用法は想定した範囲であり、「実際の運用でどのような利用があり、どう成果を出せるか試行錯誤しながら有用性を検証していきたい」とも述べています。
「メディックNET」は2014年2月末でシステム構築を完了し、3月には協議会を立ち上げ、運営委員会を発足して実際の運営手法、課題抽出等を実施します。「積極的な参加施設の方々に運営員会に入っていただき、実際のメリット、有用性を目に見える形で提示していくことが重要。それにより多くの会員の参加につなげたいと考えています」(大原氏)。また、福岡県医師会もモデル地区を選定して地域医療連携ネットワークの実証実験を行っており、将来的には二次医療圏を超えてそうしたネットワークとの連携も模索していく必要があろうと大原氏は展望しています。

お客様プロフィール

一般社団法人京都医師会事務局

所在地 〒824-0002
福岡県行橋市東大橋2丁目9番2号
TEL:0930-22-0420
URL http://miyako-ishikai.jp/

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(2015年03月09日)

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