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八代地域農業協同組合(JAやつしろ)様

八代地域農業協同組合(JAやつしろ)様

ハウスの環境把握と農薬管理にICTを活用。
更なるおいしさと安心を目指します。

八代地域農業協同組合様
業種農業業務生産管理,その他業務
製品 ソリューション・サービスM2Mソリューション

熊本県八代市を管区とする八代地域農業協同組合(以下、JAやつしろ様)は、よりおいしく、より安全・安心な農作物の提供を目指し、NECとネポンが共同開発した「農業ICTクラウドサービス」を導入しました。これまでは現地に足を運ばなければ分からなかった圃場※1の状況も、ハウス内に設置したセンサとスマートフォンを通じてリアルタイムに監視。最適な環境の維持に役立てることができる上、法令で定められた農薬の使用規制を厳格に遵守するための管理基盤としても活用しています。

 

事例のポイント

課題

  • ハウス内の温度が上がりすぎたり、下がりすぎたりすると作物が大きなダメージを受けます。管内でもそうした事故が年に数例発生していました。
  • 農薬や含有成分の使用量については関係法令で規制されています。これまでは人手で管理していましたが、多種の成分から成る混合剤などでは重複して含有している成分もあり、成分ごとの累積散布量の把握に神経を使っていました。
  • 生産者の圃場環境や生産工程を一括管理して指導係がアドバイスしたり、優良生産者のノウハウを効率的に他の生産者に伝える方法はないか模索していました。

成果

  • ハウス内のセンサとスマートフォンやタブレット端末を通じて、圃場の温度や炭酸ガス量をリアルタイムに監視。最適な環境の維持に役立てられるほか、温度異常などのリスクを抑止できます。
  • 散布した農薬をシステムに入力すれば、成分ごとの累積散布量を自動計算。規定量に達する直前に色を反転させるなどしてアラートをあげ、より厳格な管理をサポートしてくれます。
  • 蓄積したデータを分析すれば、ノウハウを客観的なデータとして抽出可能。良い結果を生む傾向を把握し、今後の営農指導に役立てることができます。

導入前の背景や課題

おいしく安全な作物を育てるための「環境制御」と「トレーサビリティ」

八代地域農業協同組合 営農部 営農企画課 課長代理 林田 宜久 氏八代地域農業協同組合
営農部 営農企画課
課長代理 林田 宜久 氏

九州のほぼ中央部に位置する熊本県八代市・氷川町・宇城市の一部を管区とするJAやつしろ様。畳表の原材料となる「い草」では、全国シェア約90%を占めています。また、農薬散布を極力控えた冬トマト「はちべえトマト」でも知られており、トマトや晩白柚※2(ばんぺいゆ)については国内No.1の生産量を誇っています(農林水産省・熊本県・全国い生産団体連合会発表による)。

 

おいしく、安全・安心な農作物を消費者に届けるため、JAやつしろ様では、農作物が好む環境をつくる「環境制御」、そして、農作物の生産過程を厳密に管理する「トレーサビリティ」に注力してきました。

 

まず「環境制御」では、トマトなどを栽培するハウスの温度や炭酸ガス量などを制御し、常に最適な状態に保つことで、品質と収量を向上してきました。

 

次の「トレーサビリティ」については、JAやつしろの林田 宜久氏は以下のように述べます。「安心して農作物を食べていただくには、生産過程をしっかりと管理することはもちろん、正確に記録をし、いつでも開示できるようにしておく必要があります」。

 

その1つが農薬の管理です。農薬の種類、含有成分ごとの使用量は「農薬取締法」の関係法令によって規制されており、いつ、どの農薬をどれだけ使用したかを厳密に管理することが求められています。従来から、JAやつしろ様は、誰が、どのような工程で作物を作ってきたかを消費者に公開する「顔が見える販売」を実施しており、農薬についても、各生産者が個人で記録している営農日誌や、共通の管理票などを用いて散布回数履歴を管理してきました。しかし、手書きでの管理だったため集計に手間がかかる上、非常に神経を使うといった課題を抱えていました。

 

JAやつしろ様では、これらの取り組みをさらに強化・効率化する方法を模索していたのです。

選択のポイント

ITのNEC、農業のネポンという専門家同士のタッグに安心感

八代地域農業協同組合 営農部 営農企画課 西郡 義博 氏八代地域農業協同組合
営農部 営農企画課
西郡 義博 氏

そこで、JAやつしろ様が導入したのが NECと施設園芸向け機器の製造・販売で知られるネポンが共同開発した「農業ICTクラウドサービス」です。

 

農業ICTクラウドサービスを使えば、これまで直接足を運ばなければ把握できなかったハウス内の温度・湿度、日照量、炭酸ガス量をスマートフォンやタブレット端末、パソコンなどからモニタリングすることが可能です。「温度が上がりすぎている、下がりすぎているといった変化を即座に把握し、最適な環境の維持に役立てることができます」と同組合の西郡 義博氏は話します。

 

また、農薬管理についても、農業ICTクラウドサービスには、営農日誌や農薬散布記録簿といった機能があり、散布した農薬をシステムに入力すれば、成分ごとの累積散布量を自動計算。規定量に達する前に色を変えるなどしてアラートをあげ、より厳格な管理を可能にします。

八代地域農業協同組合 中央営農センター 指導係 藤本 王明 氏八代地域農業協同組合
中央営農センター
指導係 藤本 王明 氏

「農薬はその含有成分単位で管理する必要があります。多種の成分から成る混合剤などでは重複して含有している成分もあり、成分ごとの累積散布量を管理するには、人手だけではなく、ICTに頼った方がより安全だと考えました」と同組合の藤本 王明氏は言います。

 

さらに西郡氏は「ICTの専門家であるNECと農業に精通するネポンとの共同開発であるという点でも信頼感がありました」と続けます。

導入ソリューション

ICTに不慣れな生産者を考慮して画面を分かりやすくカスタマイズ

農業ICTクラウドサービスは、ハウス内に設置したセンサを通じて、圃場の温度・湿度、日照量、炭酸ガス量などをクラウドに集約・蓄積し、遠隔からの監視を実現します。温度などにしきい値を設定しておけば、異常があった場合にスマートフォンを鳴動させて警報を出すことが可能。トラブルに迅速に対処し、被害を回避することができます。


アグリネットTOP画面(左) センサーデータグラフ(右)アグリネットTOP画面(左) センサーデータグラフ(右)


また、クラウドを利用して「営農日誌」機能を提供するほか、営農指導者からの情報配信など、コミュニケーション基盤としても活用可能。クラウドサービスであるため、自社で資産を購入したり、システムを構築する必要もなく、最小限の初期投資で利用できる点もメリットです。


JAやつしろ様では、ICTに不慣れな生産者にも配慮。利用頻度の高い画面については、少ないタッチ回数で目的の画面までたどり着けるようにするなどの改善をNECと共に行い、使い易さを徹底的に追求しました。


農業ICTクラウドサービス全体図拡大図

導入後の成果

事故のリスクを抑止するほか、生産者の技術を数値化してノウハウを共有

八代地域農業協同組合 郡築支所園芸部会 部会長 稲田 寿雄 氏八代地域農業協同組合
郡築支所園芸部会
部会長 稲田 寿雄 氏

JAやつしろ様では、まず約50戸のトマト、ミニトマトの生産者で構成される郡築支所園芸部会に農業ICTクラウドサービスを適用。将来的には、より多くの生産者に適用範囲を拡大する考えです。

 

「農薬の散布回数、成分の累積を一目で把握できるようになり、安心感が増しました。仮に情報を入力して、散布後の状況を事前にシミュレーションできる点も助かります。慣れてくれば、手書きで記入するより作業も効率的です。また、今回の取り組みを通じて、生産者たちが農薬管理の重要さを再認識。安全な作物を出荷しようという思いが強くなるなど、意識改革にもつながっています」とトマト生産農家の稲田 寿雄氏は話します。ICTによって厳格な管理を実現することは、事故を未然に防止し、生産者自身を守ることにもつながります。

八代地域農業協同組合 郡築支所園芸部会 生産部長 田中 輝久 氏八代地域農業協同組合
郡築支所園芸部会
生産部長 田中 輝久 氏

一方、同様にトマト生産農家である田中 輝久氏は、監視機能について次のように述べます。「仮に遠いハウスで異常が発生しても、自宅にいながらすぐにわかります。例年、管内でもハウス内の温度異常などにより、作物を台無しにしてしまう事故が数例ありますが、そうしたリスクを軽減できるでしょう。また、夜間の見回りなどの負担も軽減しています」。

 

加えて、クラウドに蓄積したデータを活用できる点もメリットです。

 

「卸業、流通・小売業などのお客様から、生産履歴の提出を求められることがあります。以前は、各生産者が独自にまとめた記録を所定の形式に転記してもらう必要がありました。今後は、農業ICTクラウドサービスに入力したデータについては、それをPDF化して提出書類として活用することができます。将来的には、農業生産工程管理(GAP:Good Agricultural Practice)への対応もこのクラウドの中でやっていければと思います」(藤本氏)。

 

さらに蓄積したデータを分析し、成績の良い生産者のノウハウを客観的なデータとして抽出。「これまでは感覚でしか伝えられなかったノウハウを数値としてつかむことができるようになりました。良い結果を生む傾向を把握し、若い生産者や改善を目指す生産者への技術の継承、営農指導に役立てられると考えています」と藤本氏は続けます。

今後の展望

市況情報や病害虫注意報などの配信基盤としても大きな期待

他の圃場の状況をリアルタイムに確認他の圃場の状況をリアルタイムに確認

JAやつしろ様では、農業ICTクラウドサービスのさらなる活用を視野に入れています。その1つが関係者間のコミュニケーション基盤としての活用で す。「報告を待たずとも、指導係が管内の生産者たちの状況をリアルタイムに把握し、アドバイスすることができるほか、市況情報、病害虫の注意報、新しい技 術の情報、あるいは会議や懇親会などイベントの告知などにも利用できると考えています」(藤本氏)。

 

「さらにコミュニケーションの範囲を拡大し、消費者と生産者が直接つながるような基盤になれば無限の可能性が広がります」と林田氏。

 

「ICTで農業の可能性を広げる。農業は急激な変化が起きる性質の産業ではありません。ゆっくりとしたスピードでの進化かもしれませんが、NECには、私たちと共に歩んでくれるパートナーとして大いに期待しています」と最後に強調しました。

ネポン様の声

7月から本格的にサービスを開始したアグリネット(「農業ICTクラウドサービス」のネポン様提供での名称)に対して、一早く興味を示し、警報/センシング機能と共にグループウェア機能にも着目頂き、既存機能であるお知らせ、市場情報に加え、今回営農日誌と農薬散布記録簿の構築に着手する事になりました。

 

アグリネット導入以前は、他メーカーから提供されている農薬管理システムを利用されておりましたが、使い勝手の面や運用面で課題を抱えられており、これらを改善すべく、数度のミーティングの開催、生産者への説明会などを経て今回導入の運びとなりました。

 

我々が目指した営農日誌と農薬散布記録簿の改善ポイントは、既存のサービスや紙への記録方法よりも、登録ステップ数を最小限に抑え、だれもが簡単に記帳できる仕組み作りでした。これらの実現の為にNEC担当の皆様からの献身的な協力を頂き、イメージ通りのサービスを実現出来ました。

 

アグリネットが生産者の作業にとって、便利で役立つ、無くてはならない機能と役割を果たすべく、皆様からの要望を反映させ、今後益々のサービス向上に努めて参りたいと感じております。

 

※1 圃場: 作物を栽培する田圃、畑、農園

※2 晩白柚: 大きさは大人の頭くらいもある柑橘類で、熊本の風土、特に八代地方に好適しており、現在は、熊本県の柑橘推奨品種の一つとなっている。

お客様プロフィール

八代地域農業協同組合(JAやつしろ)

所在地 〒866-0043 熊本県八代市古城町2690
設立 1995年7月1日
組合員数 10,196名(2012年3月31日)
事業内容 九州のほぼ中央部、八代海に向かって広がる八代平野と、東部から県南にかけての山麓地帯からなる熊本県八代市・氷川町・宇城市の一部を管区とする。温暖な気候を利用して果物、野菜、穀物などバリエーションに富んだ農作物を生産していることが特徴。生産量No.1を誇るトマト、晩白柚以外にメロンなどを出荷している。
URL http://www.ja-yatsushiro.or.jp/

(2013年3月4日)

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