![航空 航空交通管理を支える私たちに、「止める」という概念はない](../img/mv_002.jpg)
航空交通管理を支える私たちに、
「止める」という概念はない
![画像:矢根 利紗](../img/img_intro_002_01.jpg)
矢根 利紗
2019年入社。航空管制向けSEとして、飛行情報管理システムを担当。全国の空港及び航空交通管制部向け航空交通管理インフラのDXプロジェクトに従事。
社会や経済のグローバル化により、ますます重要性を増す空の交通。NECはその安全を半世紀以上にわたって支えてきました。航空交通量の増加をはじめとする多様な課題を解決し、旅客にとっても、航空業界関係者にとってもより良い未来を実現していくために、NECは挑戦の歩みを止めることはありません。
「社会を止めない。暮らしを止めない。航空を止めない。」果たしてそのメッセージには、どのような思いが込められているのでしょうか。エアロスペース事業部門の矢根 利紗(やね りさ)が語ります。
歴史と経験を活かし、航空交通インフラのDXを実現
航空において、社会や暮らしを止めないとは具体的にどういうことでしょうか。
ひとことで言えば、24時間365日、空を飛ぶ飛行機を通じて、お客さまに安全で快適な体験をお届けすることです。現在、航空業界では、航空交通量の増加や運航効率の向上へのニーズの高まり、さらにはCO2削減、地球温暖化対策が、世界共通の課題になっています。航空を止めずに、これらの課題を解決していくため、航空管制だけでなく空港の運用も含めて、効率化やシステムの高度化が求められています。また、旅客目線での体験価値の向上に向けたデータの利活用も課題とされています。
![画像:矢根 利紗 インタビュー画像01](../img/img_article_002_01.jpg)
そうした課題を解決するため、どんなアプローチがとられているのでしょうか。
世界中に移動することを前提とする航空交通領域では、各国が単独のシステムを構想するのではなく、地球規模でSystem of Systemsをリアルタイムで実現するための情報共有基盤の整備が急務とされてきました。航空機の運航の高度化の観点からも、課題の解決を大きく加速させるのがSWIM(System-Wide Information Management)です。SWIMが国際規格として定義され、導入が進むことで、航空交通・運航関連データを関係者間でリアルタイムに共有できるようになり、その利活用が促進されるようになっていきます。
SWIMの社会実装にNECはどういった貢献をしてきたのでしょうか。
アジア太平洋地域で実施される国際実証試験へ積極的に参加し、米国とともに国際的な動きを牽引してきました。2024年度より国内でサービスを開始し、今後、各国の航空管制機関と接続されていく予定です。
SWIMが実装されることでどんな未来が訪れるのでしょうか。
例えば国際便の場合、現状では相手国の管制空域に入らなければ着陸空港の情報が得られないことから、気象条件の悪化などによって当初の予定とは異なる空港に着陸したり、引き返したりすることがあります。
その結果、旅客は計画の変更を余儀なくされるケースもあると思いますが、SWIMにより情報を共有できれば、飛行機に乗る前に着陸先の空港の情報を得られるため、その便に乗らないという選択ができますし、目的地に到着する前に、あらかじめ計画を練り直すこともできるようになります。
他にも、諸事情により予定外の空港に着陸を余儀なくされた場合、その情報を他の交通機関がいち早く得られれば、到着先にタクシーやバスを事前に手配し、旅客が空港で立ち往生するようなケースを減らせます。さらに、航空関係者以外もそれらの情報にアクセスできるようになれば、旅客目線でのデータの利活用が進んでいくことも期待されています。
航空管制が抱える課題を背景として、NECではどういったソリューションを提供しているのでしょうか。
航空交通管理インフラのDXを担うシステムとしてNECが開発し、2015年より運用が始まったのがFACE(Flight object Administration CEnter system)です。
管制官が管理することを前提としていた従来の飛行計画から、FACEによって様々な情報がシステム管理されるようになることで、航空管制はシステムが人の判断を支援できる形へとステップアップし、より安全で効率的な航空交通管理が実現できるようになりました。
FACEを通じた航空管制により、旅客や社会にはどのような恩恵があるのでしょうか。
例えば、発着頻度の高い空港では滑走路の混雑によって飛行機が着陸できず、上空で旋回しながら待機する状況が発生することもあります。旅先で到着時間に合わせてレストランなどの予約をしていた場合、飛行機の中からだと、そうした状況を連絡することが難しく、先方に迷惑をかけかねません。もし、出発や到着時刻が変更されることが事前にわかっていれば、予定時間に遅れることを相手にあらかじめ連絡することもできます。さらに、フライト時間の短縮を通じて、燃料やCO2の削減といった、SDGsへの貢献にもつながります。
24時間365日、システムを「止めない」ことが私たちの使命
現在、矢根さんはどういった業務に携わっているのでしょうか。
私はSE職としてFACEの運用に携わっています。具体的な業務としては、システムに変更などが発生した場合、全国の空港や航空交通管制部に赴き、設定変更などを行っています。
![画像:矢根 利紗 インタビュー画像02](../img/img_article_002_02.jpg)
矢根さんが空の安全に興味を持つきっかけはなんだったのでしょうか。
大学時代、航空部に所属したことがきっかけです。当初は航空会社や空港を就職先と考えていましたが、大学の先輩から、NECには空の安全に関わるシステムを開発する仕事があると聞き、自分もそれに貢献したいと考えて入社しました。
FACEの運用は、どんなメンバーで行っているのですか。
SE職を中心に営業職の方も含めて連携を取りながら業務を進めています。参加しているメンバーは私が所属するグループだけでなく、様々な関係者と一緒に動いていきます。若手にも大きな裁量が与えられ、意見も言いやすいことから、風通しの良い職場だと感じています。
メンバーは、どういったマインドで仕事に取り組んでいるのでしょうか。
自動車や鉄道と違って、飛行機は空を移動しているため、燃料が切れる前に絶対に地上に降ろさなくてはいけません。そのため、24時間365日、「止めない」ことがシステムの大前提になっています。私たちも、誰一人「止める」という発想は持ち合わせておらず、緊張感を持って仕事に臨んでいます。
こうした意識のもと、航空管制に関わるすべての方たちと手を携えながら業務に取り組んでいます。
ご自身の業務を通じてどのような社会を実現したいとお考えでしょうか。
これまで人がやっていた航空管制をシステムで代替できれば、いままで以上に安全を考える時間を確保できます。航空を止めないために人を支えるシステムを開発することで、より自由な発想で空の安全を守っていける。その結果として、これまで以上に快適に暮らせる社会を実現していければと思っています。
「社会を止めない。暮らしを止めない。」ために、空の交通が「安全」であることを当たり前にしていく。そのうえで飛行機に乗る人、航空に関わるすべての人たちにとっての快適さを実現する。NECが航空管制のシステム開発を通じて創っていきたいのは、そんな未来です。
![画像:矢根 利紗 インタビュー画像03](../img/img_article_002_03.jpg)