USBメモリの利用

USBポートでUSBメモリが利用可能です。

注意

UNIVERGE IX-V シリーズでは、USBメモリは利用できません。

対応機能

USBメモリを利用すると以下のことが行なえます。

工場出荷状態装置のリストア機能(Ver1.4以降)

  1. コンフィグが入っていない装置に USB メモリを挿して起動させることで、装置コンフィグのリストア、ソフトウェアのアップデートが可能

USB メモリ対応コマンド(コピーコマンド、情報取得、ソフトウェアアップデート)

  1. 装置コンフィグとUSBメモリのファイル間のコピー

  2. 装置フラッシュメモリのファイルとUSBメモリのファイル間のコピー

  3. show tech-support情報のUSBメモリのファイルへの書き込み

  4. show syslog情報のUSBメモリのファイルへの書き込み

  5. software-updateコマンドでのUSBメモリの利用

  6. USBメモリのファイル削除

対応USBメモリ

  • FAT32でフォーマットされたUSBメモリ

  • 32キロバイト以下のアロケーションユニットサイズ

注釈

  • Windowsアプリケーション等を必要とする暗号化機能付きのUSBメモリは利用できません。

  • NTFSやexFATなどFAT32以外でフォーマットされたUSBメモリは利用できません。

  • FAT16, FAT12でフォーマットされたUSBメモリも利用可能ですが非推奨です。

  • 64キロバイト以上のアロケーションユニットサイズでフォーマットされたUSBメモリは利用できません。(例:高速化ツールなどでフォーマットされたUSBメモリ)

  • USBメモリによっては、正しくフォーマットされていても利用できない可能性があります。(運用前に利用可能か確認してください。)

注意

  • Windowsのクイックフォーマットを利用すると、予期しない不具合が発生する可能性があります。通常フォーマットを行ったUSBメモリを使用してください。

  • サポート機器以外の接続はしないでください。(外付けUSB-HUB等)

  • 未サポートのデバイスを接続している状態でのルータ動作の正常性は保証できません。

  • 未サポートのデバイスを挿入した場合、抜去した後においてもルータ動作の正常性は保証できません。

  • USBメモリの1つのディレクトリに大量にファイルを保存された状態で使用すると、著しく装置負荷が上がることがあります。1つのディレクトリ内のファイル数は100個程度を上限として、極力少ない数となるようにしてください。

USBメモリのマウント

USBメモリを利用可能な状態にすることを、USBのマウントと呼びます。USBメモリを利用するためには、以下の設定を行いFAT32でフォーマットされたUSBメモリを挿します。

  • グローバルコンフィグモード

    項目

    説明

    usbmem enable

    USBメモリの有効化(デフォルト無効)

  • USBデバイスコンフィグモード

    項目

    説明

    no shutdown

    USBポートの有効化

    shutdown

    USBポートの無効化(USBポートの電源供給断)

    設定例
    usbmem enable
    !
    device USB0
      no shutdown
    

USBメモリを取り外す際は、USBメモリを無効化してから、取り外してください。

設定例
no usbmem enable

USBメモリデバイスの確認

マウントされたUSBメモリのUSBメモリデバイス名、デバイス情報は、show hardwareコマンドで確認できます。USBメモリ機能で使用する、装置シリアル番号も、show hardwareコマンドで確認できます。

表示例
Router(config)# show hardware
IX-R Series IX-R2530 Hardware Platform

S/N: XXXXXXXXXX                        ... 装置シリアル番号


Option interface unit USB0:
  USB Mass Storage Device (usbmem0)    ... USBメモリデバイス名(usbmem0)
    Model name is <MODEL名>            ... 製品名、モデル名
    Vendor ID is 0xXXXX                ... ベンダID(16進数)
    Product ID is 0xXXXX               ... プロダクトID(16進数)
    Serial number is XXXXXXXXXXXXXXX   ... シリアルナンバー(文字列)

注釈

シリアルナンバーのないUSBメモリでは表示されません。

USBメモリのファイル、ディレクトリ指定方法

コマンドでのUSBメモリの指定は、以下のようなフォーマットを使用します。USBメモリデバイス名は、USBメモリがマウントされた状態で、show usbmemや、show hardwareで確認することができます。

表記例
usbmemX[.Y]:PATH/[FILENAME]

usbmemX[.Y] ... USBメモリデバイス名
  X  -  USBポート番号(範囲0のみ)
  Y  -  論理ユニット番号(範囲0-3, 0の場合は省略可能)
PATH ... ディレクトリ名
FILENAME ... ファイル名

注釈

  • 省略可能なオプションなど詳細は、コマンドリファレンスマニュアルを参照してください。

  • 日本語ファイル名、ディレクトリ名は使用できません。

表示例:USBメモリのディレクトリ指定
Router(config)# show usbmem usbmem0:/
Directory is /
2025/02/27  20:21:26  <DIR>       LOG           LOG
2025/02/27  20:21:26  <DIR>       COPY          COPY
2025/02/27  20:21:28        1238  STARTU~1.CFG  startup-config.cfg
1 files 1238 bytes
2 directories
表示例:USBメモリのファイル指定
Router(config)# show usbmem usbmem0:/startup-config.cfg
! NEC IX-R Series IX-R2530 Software, Version 1.1.X, RELEASE SOFTWARE
! Compiled Tue 29 Aug 2023 01:36:23 PM JST
! Current time Aug 23-Wed-2023 14:15:37 JST

USBメモリ関連コマンド

USBメモリは以下のコマンドで利用可能です。詳細はコマンドリファレンスマニュアルを参照してください。

項目

説明

copy <flash> <USBメモリ>
copy <USBメモリ> <flash>

装置フラッシュメモリのファイルとUSBメモリのファイル間のコピー

copy startup-config <USBメモリ>
copy <USBメモリ> startup-config
copy running-config <USBメモリ>
copy <USBメモリ> running-config
copy default-config <USBメモリ>
copy <USBメモリ> default-config

装置コンフィグとUSBメモリのファイル間のコピー

copy tech-support <USBメモリ>

show tech-supportの結果をUSBメモリのファイルに出力

copy syslog <USBメモリ>

show syslogの結果をUSBメモリのファイルに出力

software-update <USBメモリ>

USBメモリのファイルを使用して、ソフトウェア・アップデート

erase <USBメモリ>

USBメモリのファイルを削除

show usbmem [<USBメモリ>]

USBメモリ情報を表示

注釈

  • USBメモリのファイルからUSBメモリのファイルへのコピーはできません。(PC等で実施してください。)

  • USBメモリのファイル書き込み時に、すでに同一ファイルがあった場合は上書きされます。(装置フラッシュメモリへのファイル書き込み時に、同一ファイルがあった場合は書き込みできません。)

  • USBメモリのディレクトリは削除できません。(PC等で削除してください。)

工場出荷状態装置のリストア機能

装置コンフィグの入っていない工場出荷状態の装置に、コンフィグやソフトウェアをあらかじめ入れた USB メモリを挿して装置起動させることで、自動的に USB メモリに保存してあるコンフィグを startup-config や default-config に書き込み、ソフトウェアアップデートを行います。

装置導入時における、PC レスでのコンフィグ書き込み、ソフトウェアバージョン固定などの要望に応えることができます。

注釈

  • 工場出荷装置のリストア機能で使用可能な USB ポートは USB0 のみです。

USB メモリのファイル配置

工場出荷装置のリストア機能では、各コンフィグ、ソフトウェアに対して、あらかじめ USB メモリに保存しておいた、該当ファイルを上から順番に検索し、ファイルがあった場合にリストア、もしくはソフトウェアアップデートを実行します。

注釈

  • 装置シリアル番号のディレクトリにファイルを配置することで、1 つの USB メモリで複数の装置に対して個別のコンフィグを配置することができます。(装置シリアル番号は、show hardware などであらかじめ取得しておきます。)

装置リストアコンフィグ

startup-config へのリストア(上から順番に検索)

/RESTORE/<装置シリアル番号>/startup-config.cfg
/startup-config.cfg

default-config へのリストア(上から順番に検索)

/RESTORE/<装置シリアル番号>/default-config.cfg
/default-config.cfg

ソフトウェアアップデート

BIN ファイル(上から順番に検索)

/RESTORE/<装置シリアル番号>/software-update.bin
/software-update.bin

USB メモリに保存されるファイル

リストア時のログは以下のファイルに保存されます。

実行ログ

/LOG/<装置シリアル番号>/<実行日時>_restore-result.log

注釈

  • USB メモリの容量不足などで開始時に実行ログファイルが作成できない場合は処理を終了します。

  • USB メモリの容量不足などで処理の途中で実行ログファイルへの書き込みができなくなっても、リストア処理は継続されます。(以降、実行ログファイルへの出力は行われません。)

  • リストア機能が動作中(ST1のLEDが青点灯中)USBメモリを抜去しないでください。ログ書き込みが行われない場合があります。

エラーログへの記録

リストア機能の実行ログは、装置エラーログ(show error-log)にも記録されます。

項目

説明

INFO: System restore completed.

リストア機能の正常完了

INFO: System restore failed(Copy startup-config).

リストア失敗(startup-config のコピーに失敗)

INFO: System restore failed(Copy default-config)

リストア失敗(default-config のコピーに失敗)

INFO: System restore failed(Software update).

リストア失敗(ソフトウェアアップデートに失敗)

INFO: System restore failed(Log file).

リストア失敗(ログファイルの書き込み失敗)

INFO: System restore failed(Parameter error).

リストア失敗(内部エラー)

INFO: System restore failed(no resp).

リストア失敗(内部エラー)

INFO: System restore failed(Internal error).

リストア失敗(内部エラー)

INFO: Modify startup-config by system restore.

リストア機能により startup-config が書き換えられました。

INFO: Modify default-config by system restore.

リストア機能により default-config が書き換えられました。

状態遷移と LED 表示

項目

状態

点灯パターン (ST1ランプ)

電源ON
装置コンフィグの存在チェック → ③
USB0 に USB メモリが挿さっているかチェック → ③
↓(最大 20 秒間)
②へ

消灯

USB メモリにリストアファイルがあるかチェック → ③
USB メモリへのログファイルを作成
startup-config リストア
default-config リストア
ソフトウェアアップデート
↓(最低 10 秒間 LED 表示)
自動的に再起動

青点灯

通常起動

消灯

実行エラー
↓(5 分間表示)
③へ
※エラーLED 点滅状態で電源 OFF、USB 抜去が可能です。

赤点滅

注釈

  • USB メモリが挿さっているかチェックしている間(最大 20 秒間)にコンフィグモードに入った場合、リストア機能は終了し通常起動となります。

スケジューラ機能と連携したログの保存

スケジューラ機能と連携することでUSBメモリに定期的なログの保存ができます。スケジューラ機能のマクロ文字列の展開により、保存ディレクトリやファイル名、作成時間などを含めたログの保存が可能となっています。

項目

説明

command

スケジューラ実行コマンドの設定
(アクションリストコンフィグモード)

使用可能なマクロ文字列
<HOSTNAME> ... 装置のホスト名
<SN> ... 装置のシリアル番号
<YEAR> ... コマンド実行の年(2025 など)
<MONTH> ... コマンド実行の月(01 など)
<DATE> ... コマンド実行の日(27 など)
<TIME> ... コマンド実行の時分秒(131203 など)
設定例
一時間に1回、USBメモリの/log/<SN>/<YEAR><MONTH><DATE>/に、show tech-supportとshow syslogのログを保存する。

!
usbmem enable
!
scheduler timetable usbmem interval hour 1
command-action list usbmem
  command 10 copy tech-support usbmem0:/log/<SN>/<YEAR><MONTH><DATE>/<YEAR><MONTH><DATE><TIME>_tech.log
  command 20 copy syslog usbmem0:/log/<SN>/<YEAR><MONTH><DATE>/<YEAR><MONTH><DATE><TIME>_syslog.log
!
device USB0
 no shutdown
!

注釈

  • マクロ文字の展開機能は、スケジューラの機能となりますので、グローバルコンフィグモードなどで copy コマンドとしてマクロ文字を指定しても、文字列展開はされません。

  • USBメモリの1つのディレクトリに大量にファイルを保存された状態で使用すると、著しく装置負荷が上がることがあります。1つのディレクトリ内のファイル数は100個程度を上限として、分散保存されるよう調整してください。

  • copy コマンドは内蔵FLASHメモリも指定可能であるため、本機能の連携実行が可能となりますが、FLASHメモリは格納可能なファイル数、容量、書込速度などにより利用が大幅に制限されます。