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人権の尊重

人権の尊重に関する方針

NECは、グローバルにビジネスを展開していく中で、自らの企業活動がステークホルダーの人権に及ぼす負の影響を低減し、その発生を防止する必要があると考えています。また、AI(人工知能)の社会実装や生体情報をはじめとするデータの利活用などICTを活用することで、社会に安全・安心・公平・効率という価値も提供できると考えています。
そこで、NECは、NEC Wayにおいて、会社として大切にするふるまいPrinciplesで「常にゆるぎないインテグリティと人権の尊重」を約束するとともに、役員から従業員に至るまで一人ひとりのふるまいを規定する「NECグループ行動規範」(Code of Conduct)でも、あらゆる場面において人権を尊重することを明示しています。また、NECのバリューチェーン全体にわたる人権を尊重するための方針を「NECグループ人権方針」に詳述しています。
当社では、NEC グループのみならず取引関係などの間接的な影響を含め、顕在的または潜在的な負の影響を継続的に評価することをとおして4つの「顕著な人権課題」を特定し、リスク発生の防止・軽減を図っています。さらに、ICTセクターの一員として、顕著な人権課題の1つである「人権尊重を最優先にしたAI提供と利活用(AIと人権)」をESG視点の経営優先テーマ「マテリアリティ」として特定し、法令遵守のみならず、国や地域、文化によってとらえ方に違いのあるプライバシーや、差別などの人権課題に配慮した製品・サービスを開発・提供することで、社会への負の影響を最小化するだけでなく、その取り組みをとおして社会価値を最大化していくことに努めています。

NECグループ人権方針

NECは、2015年に、ステークホルダーとの対話と協議、人権デュー・ディリジェンス*1の実行により、NECのバリューチェーン全体にわたって人権尊重の取り組みを推進していくことを宣言する「NECグループ人権方針」を策定しました。さらに、2022年6月、国連「ビジネスと人権の指導原則(UNGP)」で求められている、人権の尊重への経営トップのコミットメントとガバナンス体制を明確に示す内容に改定し、2022年度の取締役会で報告しました。改定の際には、労働組合や、国際労働機関(ILO)の専門家、国際NPO、投資家、人権とビジネスを専門とする弁護士など、社内外の広いステークホルダーとの対話を行いました。

この方針の適用対象は、当社およびその連結子会社の全役員・全従業員(有期契約社員・嘱託・パートタイマーを含む)ですが、調達取引先、ビジネスパートナー、お客さまにも、本方針のご理解とともに、人権の尊重に努めていただくよう、働きかけていきます。また、本方針および本方針に基づく人権の尊重に関する取り組みについては継続的に見直しを行い、必要に応じて、更新・改定を行います。

本方針では、国連の「国際人権章典*2」、労働における基本的原則と権利に関する国際労働機関(ILO)宣言に定められた、ILO中核的労働基準5分野10条約、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」「OECD多国籍企業行動指針」「国際労働機関(ILO)多国籍企業宣言」により定められたものを含め、NECの事業および技術に関連する国際的に認められた人権の基準を支持すること、また、該当地域の国内法令が国際的に認められた人権と両立できない場合には、国際的な人権の原則を尊重する方法を追求することなどを謳っています。

  • *1
    企業活動が負の影響を及ぼす人権の識別・評価、特定した人権課題への対応(経営への組み込み)、追跡評価、取り組みの報告、というプロセス
  • *2
    国連総会で採択された「世界人権宣言」と国際人権規約「経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約」および「市民的、政治的権利に関する国際規約」の総称

ILO中核的労働基準5分野10条約

結社の自由・団体交渉権の承認 結社の自由及び団結権の保護に関する条約(87号)
団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約(98号)
強制労働の禁止 強制労働に関する条約(29号)
強制労働の廃止に関する条約(105号)
児童労働の禁止 就業の最低年齢に関する条約(138号)
最悪の形態の児童労働の禁止及び廃絶のための即時行動に関する条約(182号)
差別の撤廃 同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約(100号)
雇用及び職業についての差別待遇に関する条約(111号)
安全で健康な労働条件 職業上の安全及び健康に関する条約(155号)
職業上の安全及び健康促進枠組条約(187号)

子どもの権利の尊重

NECは、「NECグループ人権方針」に記載する国際基準のほか、脆弱な立場に置かれやすい子どもに関する権利に言及している国連「児童の権利に関する条約」や「子どもの権利とビジネス原則*3」も支持し、NECの提供する製品・サービスが子どもに対して及ぼす負の影響を防止・軽減することに努めます。また、「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」において、サプライチェーン上における児童労働の撤廃に努めるとともに、子どもを含む人権に配慮した事業活動、企業市民活動を推進することを求めています。

  • *3
    2012年、ユニセフが国連グローバル・コンパクト、セーブ・ザ・チルドレンとともに策定

中長期目標/重点活動と進捗/成果/課題

中長期目標/重点活動

(対象:特に記載のない場合は日本電気(株)、期間:2021年4月〜2026年3月)

  1. グローバルな人権課題の最新動向に対する従業員の理解の促進
  2. 人権デュー・ディリジェンスの推進

2022年度の目標と進捗/成果/課題と2023年度の目標

2022年度の目標

  1. グローバルな人権課題の最新動向に対する従業員の理解の促進
    • 派遣社員を含む従業員向け:企業と人権に関するWeb研修の継続実施(目標修了率90%)
  2. 人権デュー・ディリジェンスの推進
    • UNGPに沿った「NECグループ人権方針」改定とバリューチェーン全体での周知・啓発
    • バリューチェーン上における人権侵害リスクへの対応体制整備。特に、人権視点でのハイリスク地域事業におけるデュー・ディリジェンス施策を実施

進捗/成果/課題

  1. グローバルな人権課題の最新動向に対する従業員の理解の促進
    • 派遣社員を含む従業員向け:企業と人権に関するWeb研修の修了率86%
    • 四半期に1回、人権ホットライン窓口担当者へのケーススタディによる研修の実施
  2. 人権デュー・ディリジェンスの推進
    • 全従業員向けの研修に加え、ハイリスク地域に関係する海外事業担当者や法務・コンプライアンス部門を対象とした研修やワークショップ実施
    • 人権視点のハイリスク地域事業における人権影響評価プロセスを整備し、当社および国内関係会社を対象に、リスク軽減施策を開始

2023年度の目標

  1. グローバルな人権課題の最新動向に対する従業員の理解の促進
    • 派遣社員を含む従業員向け:企業と人権に関するWeb研修の継続実施(目標修了率90%)
  2. 人権デュー・ディリジェンスの推進
    顕著な人権課題に対する取り組みをモニタリング
    • AI などの新技術と人権:国内外の法規制の動向をふまえた AI ガバナンスの継続強化
    • 地政学的情勢や紛争影響をふまえた人権リスク:海外関係会社を対象に人権視点のハイリスク地域事業における人権影響評価プロセスを整備し、リスク軽減施策を開始
    • サプライチェーン上の労働:宣言書取得会社の連結調達金額カバー率75%以上の継続
    • 従業員の安全と健康:国内外グループ会社の従業員について人権・労働安全衛生に関する定期的な管理状況調査を実施

人権の尊重に関する体制

人権尊重の取り組みは、当社のCEOが統括しています。
顕著な人権課題については、担当役員を設置し、人権デュー・ディリジェンスを推進しています。
UNGPに則った人権方針の取り組み進捗は、ステークホルダーリレーション部サステナビリティ戦略企画室を事務局に確認を行い、サステナビリティを推進する担当役員が取締役会で定期的に報告し、取締役会がそれを監督しています。また、1997年に設置した人権啓発推進会議は、差別の禁止やハラスメントの防止をはじめとした人権啓発活動を継続して推進しています。

顕著な人権課題を核とした人権デュー・ディリジェンスの推進

顕著な人権課題への取り組み

NEC は、NPO などの社会セクターを含む複数の社外有識者とともに以下の4点を顕著な課題として特定し、取り組みを進めています。

AIなどの新技術と人権

NECでは、AI事業の遂行にあたり、プライバシーなどの基本的人権を適切に保護するための方針、体制、計画、実施、点検および見直しに関するルールを全社規程として制定し、その実施や運用の浸透を図っています。

地政学的情勢や紛争影響をふまえた人権リスク

輸出管理においては、取引前に製品・サービスの用途を確認するとともに、国連や各国の制裁リストなどによる需要者の確認をしています。各国の制裁リストには、米国財務省外国資産管理局(OFAC)の制裁リストなど、人権に関わる制裁を受けている団体・個人も含まれています。
また、OECD States of Fragility 2022*4のリストをもとに人権ハイリスク国・地域を特定し、該当地域の顧客については、取引前に人権や「腐敗」に関する情報について確認しています。リスクが確認された場合は、契約書などでリスク防止・軽減を図り、リスク・コンプライアンス委員会に報告しています。

  • *4
    OECD States of Fragility 2022: 経済、環境、政治、安全保障、社会、人の6つの側面について、各国のリスク状況と対応能力を評価する指標

サプライチェーン上の労働

「責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス」に規定されたステップに基づき、リスクベースアプローチの活動を進めています。

従業員の安全と健康

NECでは、「NECグループ労働安全衛生マネジメントシステム」に基づき、リスクの特定および対策を行っています。
2023年度には、国内外グループ会社の労働安全衛生に関する管理強化のため、セルフアセスメントチェックを開始しました。

今後もステークホルダーとの継続的な対話を行うとともに、人権の尊重に関するより一層の取り組みを進め、適時・適切に情報を開示していきます。

苦情処理メカニズム

苦情処理メカニズム

NECは、人権侵害や侵害の恐れが発生したときに、迅速かつ正確な原因究明に基づく適切な対処によって、問題の是正に取り組みます。
また、匿名で通報可能なステークホルダー向けの通報窓口を設置し、通報者や通報内容の秘密を適切に取り扱います。通報者に対する不利益な取り扱いや報復を禁止し、通報者の保護を徹底します。通報窓口は、NECグループの従業員だけでなく非正規社員やお取引先、お客さま、地域住民など広いステークホルダーを対象としています。
苦情処理メカニズムのさらなる強化に向けて、電子情報技術産業協会(JEITA)や法律家の団体であるビジネスと人権ロイヤーズネットワーク(BHRL)の活動により発足した、業界横断のイニシアチブである一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER:Japan Center for Engagement and Remedy on Business and Human Rights)にも検討段階より参加しています。

人権ホットライン(国内従業員向け(非正規社員などを含む))

派遣社員、パートおよびアルバイトを含むNECグループで働いているすべての労働者を対象としています。第三者機関を経由した匿名による窓口と、当社の事業場・地区ごとに配置されている人事部門と各ビジネスユニットに設けられた窓口があり、電話およびメールで日本語と英語での通報が可能です。

海外従業員向けのホットライン(非正規社員などを含む)

海外連結子会社においては、地域ごとに地域統括会社が第三者機関の受付窓口を設置しており、役員や従業員は現地語(英語、スペイン語、ポルトガル語、中国語)での利用が可能です。

コンプライアンス・ホットライン(お取引先向け)

調達取引先向けには第三者機関が運営する「コンプライアンス・ホットライン」が、人権に関する通報を受け付けています。

カスタマーコミュニケーションセンター(お客さま・地域住民のみなさま向け)

お客さまや地域住民のみなさま向けには、「NECカスタマーコミュニケーションセンター」が窓口となり、人権に関する通報を受け付けています。

EMEA地域における子会社の従業員は、現代奴隷を含む不正行為を目撃した場合や疑いがある場合、第三者機関が窓口で24時間対応する秘密報告ラインであるSafecall経由での報告が可能です。また、お取引先はSafecallに加えて、EMEA地域における子会社の社内窓口、またはNEC Europe社の法務部門に報告することが可能です。

人権ホットラインの稼働状況

従来から設置している当社および国内外グループ会社の人権ホットラインに加えて、第三者機関による相談窓口を当社従業員向けに2020年に設置し、この窓口の対象を2021年から国内グループ会社の従業員に拡大しました。
役員によるハラスメント防止に向けた発信やWeb研修の強化など、さまざまな啓発活動を展開するとともに、人権ホットラインの認知度向上にも取り組みました。

このような環境のもと、2022年度は人権ホットラインに対し、ハラスメントおよび人間関係や職場環境などに関する相談が109件ありました。強制労働や人身売買に関する通報は0件でした。
なお、人権ホットラインに寄せられた相談に対しては、関連部門が連携して改善・解消を図るとともに、リスク・コンプライアンス委員会で報告し、再発防止に向けた意識向上を継続的に図っています。

人権に関するエンゲージメント

ステークホルダーとの対話

NECでは、2021年度よりCFOおよびサステナビリティ推進に携わる担当役員が社外有識者と定期的に議論を行うサステナビリティ・アドバイザリ・コミッティを実施しています。コミッティの第二回目では、人権リスクへの対応についてBSR永井氏から最新動向をご共有いただき、参加者一人ひとりの課題認識を共有しあったうえで、対応策について討議しました。

人権に関するイニシアチブへの参画

当社とNEC Europe社は、国連グローバル・コンパクト・ローカルネットワークの人権デュー・ディリジェンス分科会に参画しています。

また、2020年からはグローバルなICT企業の人権課題対応において豊富な支援実績を持つBSRの会員になり、セミナーや分科会で得た最新の動向・事例をふまえ、グローバルな人権課題への取り組みの改善・強化に活かしています。

現代奴隷法への対応

当社とNEC Europe社は、取締役会の承認のもと、2018年度から、奴隷労働および人身取引防止を目的とした「英国現代奴隷法(The UK Modern Slavery Act 2015)」に関する取り組みを報告する宣言文を公表しています。

また、当社とNEC Australia社は、2020年度および2021年度に、「オーストラリア現代奴隷法(Australia ModernSlavery Act 2018)」に対応する宣言文も、取締役会の承認のもと、公表しています。

人権に関する研修・啓発

NECは、人権尊重の担い手となるすべての役員・従業員に対して、人権尊重の意識の深化、グローバルな人権課題の動向への理解促進を図るため、研修をはじめとした啓発活動を実施しています。

当社の活動

  • 派遣社員や非正規社員(有期雇用、アルバイト)を含む全従業員を対象に「企業と人権」「生体認証事業における人権課題とNECの取り組み」「ダイバーシティと人権」などをテーマに毎年実施(2022年度の修了率86%)
  • 新任グループ長および役割グレード適用者を対象に、労務マネジメントの要点およびハラスメントの未然防止について、ケーススタディをふまえた研修を実施
  • 採用面接員向けに公正な採用選考と就職の機会均等維持のために、事例紹介など質問時の留意点を周知徹底。約700人が受講

当社および国内関係会社の活動

新任役員向けの研修において、ハラスメントや人権尊重をテーマとしたプログラムを実施し、64人が受講

グループ会社の活動

保安業務の委託先を含む国内グループ会社に対し、当社の従業員向け人権研修の実施を案内

バリューチェーンの下流にフォーカスした研修の実施

2023年度は、2022年度に顕著な人権課題に追加した地政学リスクへの対応として、バリューチェーンの下流にフォーカスし、研修を実施しました。

  • 国際NPO BSRの専門家を招き、全従業員向けに、「バリューチェーンの下流における人権リスクへの対応」をテーマに講演会を実施。さらに、ハイリスク地域を仕向け先とする海外事業担当者向けに、グローバル他社の人権リスク事例やリスク低減策を学び、NECとしての対応策を考えるワークショップを実施
  • 社外弁護士を招き、法務・コンプライアンス部門向けに、ビジネスと人権に関する法制化の動向や、人権デュー・ディリジェンスを推進するための法務・コンプライアンス業務の在り方、契約時の留意点などを学ぶ研修を実施
ハイリスク地域事業担当者向けのワークショップの様子
ハイリスク地域事業担当者向けのワークショップの様子