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マテリアリティ(ESG視点の経営優先テーマ)

マテリアリティの考え方

当社は、サステナビリティ経営におけるESG視点の優先テーマ「マテリアリティ」を、グローバルなガイドラインを参考に、さまざまな分野の有識者やステークホルダーの代表との対話をとおして、自社と社会の双方への影響を考慮し、リスクと機会の観点で特定しています。

2025中期経営計画(以下、2025中計)においては、財務戦略の一環として、企業と社会のサステナブルな成長を支える非財務(ESG/将来財務)基盤の強化に向けて取り組むべきテーマとしてマテリアリティを7つ特定し、取り組みを進めています。

さらに、2023年度からは、ESGをリスク低減と成長・機会創出の両面で統合的に取り組むことをとおして企業価値を高めていく姿勢をより明確に示すため、これまでの7つのマテリアリティをリスク低減および成長率向上を目的とした「基盤マテリアリティ」と位置づけ、2025中計における成長事業が創出を目指す社会・環境テーマを、成長・機会の創出と成長率向上を目的とした「成長マテリアリティ」として5つのテーマに整理しました。

下図は、企業価値の算出式に照らして、成長マテリアリティと基盤マテリアリティの位置づけと狙いを示したものです。成長および基盤のマテリアリティの実践を通じて社会・環境価値および経済価値の大きな事業を推進するとともに、主要なESGインデックスへの継続的な組み入れを目指します。

企業価値算出式と今後のマテリアリティとの関係の図解
企業価値算出式と今後のマテリアリティとの関係

マテリアリティの実践については、社内取締役および関連役員の役割定義書に明記するとともに、役員の業績評価KPIにも織り込むことにより、実効性を高めています。また、ESG調査や直接対話などをとおして、さまざまなステークホルダーからの評価やフィードバックを活かしながら、中長期的に強固でレジリエントな財務、非財務基盤を構築していきます。

財務インパクト最大化に向けた非財務施策の継続的改善

2025中計で掲げる「主要ESGインデックスへの継続組み入れ」という目標に対し、当社は2022年度も、Dow Jones Sustainability Indices(DJSI)やFTSE4Good Index Seriesなどに継続して組み入れられていますが、ESGインデックスにおける評価視点はリスクマネジメントを起点とするものが多く、ESG/サステナビリティを機会や成長につなげる企業の取り組みを評価する指標としては課題があると認識しています。また、非財務の取り組みが直接的に財務パフォーマンスにどのようなインパクトを与えているかを測ることもできません。そこで当社は、2021年度にアビームコンサルティング(株)とともに行った分析において、特に人的資本についてPBRとの相関が強いことが明らかになったことを受け、2022年度は、人的資本経営の有効性確認と施策改善につなげることを目的に、2025中計のKPIの1つであるエンゲージメントスコア向上につながる取り組みを因果分析で明らかにしました。

下図は、当社の全従業員を対象としたエンゲージメントサーベイの回答結果を、「人材版伊藤レポート2.0」の「人材戦略に求められる3つの視点・5つの共通要素」を参考に分類し、どのような因果関係でエンゲージメントスコアに影響を及ぼしているか、その構造と影響度をNEC独自の因果分析ソリューションである「causal analysis」で分析し た結果をまとめたものです。

人的資本経営の取り組みとエンゲージメントスコアとの因果分析の図解
人的資本経営の取り組みとエンゲージメントスコアとの因果分析
  • 「人材版伊藤レポート2.0」の「人材戦略に求められる3つの視点・5つの共通要素」を参照。NEC独自の因果AI causal analysisにて分析。
  • 数字は因果関係の強さ。数字が大きいほど因果関係が強い。

NECの場合、エンゲージメントスコアへの因果の起点は、「経営戦略と人材戦略の連動」の「組織の視点」と、「リスキル・学び直し」の「個人の視点」の2つから始まっていることがわかりました。また、これらを起点に、「企業文化への定着」「知と経験のD&I」「生産性を発揮できる環境」から「エンゲージメントスコア」にまでインパクトパスがつながっていることがわかりました。これは従来からNECが目指してきたNEC WayとMy Wayの両立という考え方とも一致しています。

一方、今回の分析では、「動的な人材ポートフォリオ」と「エンゲージメントスコア」の間に因果関係を確認できませんでした。今後ジョブ型の導入でメリハリある処遇を行うなどの施策をうつことにより、因果構造が確認できるようになることを期待しています。今回の分析では財務インパクトまで確認できませんでしたが、今後も継続して、非財務施策の有効性の確認と改善のループを回し続けることによって、企業価値向上につながる非財務の取り組みを再特定し、適切に投資を配分していきたいと考えています。

マテリアリティ特定プロセスの変遷

当社では、2018年度にマテリアリティを特定し、2020年度にこれを再設定しました。現在のマテリアリティは、2021年度、2025中計策定にあたり再設定したマテリアリティ「基盤マテリアリティ」に、成長と機会創出の視点で注力して取り組むマテリアリティ「成長マテリアリティ」を加えたものです。

当社のマテリアリティは、ISO26000、GRIスタンダード、国連グローバル・コンパクト原則、SDGs、SASBの業種別マテリアリティなどを参考に、さまざまな分野の有識者やステークホルダーの代表との対話をとおして特定しています。

2018年度 マテリアリティを特定

さまざまな分野の有識者やステークホルダーの代表と対話すること、中期経営計画との連動を図ることを強く意識し、マテリアリティを特定しました。まずGRIスタンダード、ISO26000、SDGsなどのグローバルなガイドラインを参考に、NECの事業特性を考慮して優先テーマの候補となりうる社会課題の一覧を作成しました。また、それらに対して NECが与える影響や受ける影響について従業員アンケートを実施し、この影響と、社会における重要度を軸にしたマテリアリティ・マトリックスを作成しました。そして、NECと社会双方に影響が大きい(重要度が高い)社会課題を、NECが優先して取り組むべきテーマである「マテリアリティ」として仮特定しました。この考え方について、社外有識 者と対話を行いました。

マテリアリティの取り組みの進捗を測るための非財務指標は、社会にどのようなプラスの価値を与えるか、そのアウトカムをできるだけ定量化することを目指しました。これらについても社外有識者と対話を行い整理し、取締役会報告を経てマテリアリティと指標を決定しました。

2018年度に特定したマテリアリティの特定プロセス

2020年度 マテリアリティを再設定

NECグループが共通で持つ価値観であり行動の原点であるNEC Wayを2020年に改定したことを受け、NEC Wayに織り込まれた「ステークホルダーとの対話・共創」「イノベーション・マネジメント」「ガバナンス/コンプライアンス」を除く6テーマをマテリアリティとし、取締役会で報告して決定しました。

2020年度に再設定したマテリアリティ

2021年度 マテリアリティを見直し

2025中計策定にあたり、2018年度に特定したマテリアリティをベースに、事業環境や社会からの要請の変化に鑑み、2025中計の成長事業の関係者を対象とした「事業が生み出す社会・環境価値の検討ワークショップ」や社外の有識者との対話を経て、以下の基準で見直しを図りました。

  • 社会・環境に対しても、自社にとっても、正負のインパクトが大きい非財務(ESG/将来財務)経営基盤テーマであること
  • 社会・環境視点で取り組み進捗が測れる、もしくは見える化できるテーマであること

その結果、事業テーマである「社会価値を創出する2020中期経営計画 成長領域」の2テーマは対象外とし、「持続的な成長実現の鍵」の4テーマに継続して取り組むこととしました。さらに、「事業が生み出す社会・環境価値の検討ワークショップ」において、社会公共性の高い事業の推進に対して社会から信頼を寄せていただくために、「コーポレート・ガバナンス」「サプライチェーンサステナビリティ」「コンプライアンス」も不可欠なテーマであることを確認し、上記7テーマを2025中計のマテリアリティとすることを取締役会に報告しました。

2023年度 マテリアリティを再整理

ESGをリスク低減のみならず、成長と機会を創出するドライバーとしてとらえ、双方を統合してマネジメントすることで企業価値を高めていくことへの期待が寄せられています。

そこで、2023年度より、2025中計の成長事業と次の柱となる成長事業が創出を目指す社会・環境テーマを、成長・機会の創出と成長率向上を目的とした「成長マテリアリティ」として整理しました。そして、これまでの7つのマテリアリティをリスク低減および成長率向上を目的とした「基盤マテリアリティ」と位置づけました。成長と基盤のマテリアリティを核に、財務と非財務を統合したマネジメントをより一層強化します。

成長マテリアリティの取り組み内容

行政・金融のデジタル化によるWell-beingな社会を実現(DG/DF)

高信頼なデジタル技術によって、透明性高く、公平に利用できる行政・金融基盤を構築し、一人ひとりに合わせた生活者中心の行政・金融サービスを実現します。

人にも環境にもストレスなくつながる社会の実現(グローバル5G)

高速、大容量、低遅延の通信環境により、個人から事業者や官庁まで幅広い情報活用をもたらし、充実した情報生活、新しいDXサービス、安全・安心のための防災など、いつでも、どこでも、誰でも、明るく豊かな暮らしを享受することができます。

社会や産業の変革をデジタルの力で実現(コアDX)

AI、生体認証、セキュリティ等の技術力とクラウドやアジャイル、データサイエンティスト等の豊富な人材を強みに、社会や産業のDXを推進します。

誰もが自分らしく生きる、新しいヘルスケア・ライフサイエンスの世界を実現

AIや画像認識技術を活用し、先進的な個別化治療/総合的医療サービス/ライフスタイルサポートの新事業開発を推進します。

お客さま・社会のカーボンニュートラルを実現

自社のCO2削減の知見と経験を活かし、製造業のサプライチェーンをはじめとしたお客さまの脱炭素推進をデジタルで支援し、社会全体のカーボンニュートラルに貢献します。


成長マテリアリティの目標と進捗は、2025中期経営計画の成長事業と同一。

基盤マテリアリティの取り組み内容

2025中期経営計画期間における基盤マテリアリティの目標と進捗

マテリアリティ名 2025年度KPI 2022年度実績
気候変動(脱炭素)を核とした環境課題への対応
  • ・2040年カーボンニュートラルに向けてScope 1およびScope 2におけるCO2排出量を25.0%削減(2020年度比)*1
  • ・Scope 1およびScope 2におけるCO2排出量を約21.0%削減(2020年度比)
ICTの可能性を最大限に広げるセキュリティ
  • ・国際認定資格取得者数3倍(2020年度比)*1
  • ・国際認定資格取得者数300名超、2020年度比2倍
人権尊重を最優先にしたAI提供と利活用(AIと人権)
  • ・「NECグループAIと人権に関するポリシー」の適用
  • ・「NECグループAIと人権に関するポリシー」の適用
多様な人材の育成とカルチャーの変革
  • ・エンゲージメントスコア50%
  • ・女性管理職比率20%、役員*2に占める女性または外国人の割合20%
  • ・エンゲージメントスコア36%
  • ・女性管理職比率8.0%、役員*3に占める女性または外国人の割合9.4%*4
コーポレート・ガバナンス
  • ・独立社外取締役がマジョリティの指名委員会等設置会社への移行によるガバナンス高度化*5
  • ・機関設計変更に向けた検討実施*5
サプライチェーンサステナビリティ
  • ・調達ガイドへの同意サプライヤー 75% *6
  • ・調達ガイドへの同意サプライヤー83%*6
コンプライアンス
  • ・重大なカルテル・談合行為の発生件数0件
  • ・重大なカルテル・談合行為の発生件数0件
  • *1
    2023年度に目標を引き上げたもの
  • *2
    2026年3月末日時点の当社の取締役、執行役、Corporate SEVP、Corporate EVPおよびCorporate SVP(執行役、Corporate SEVP、Corporate EVPおよびCorporate SVP については2025年度内に決定された2026年4月1日付異動を含む)
  • *3
    2023年3月末日時点の当社の取締役、監査役および執行役員
  • *4
    女性管理職比率、役員に占める女性または外国人の割合は、いずれも2023年3月末日時点の当社の実績。なお、2023年4月1日の女性管理職比率は8.9%、役員(取締役、監査役、執行役員、Corporate SEVP、Corporate EVPおよびCorporate SVP)に占める女性または外国人の割合は14.8%。
  • *5
    他の2025年度KPIと同様に2025中計公表時点で設定していたが、内容の性質上、機関設計変更についての情報が公開されるまで公表を差し控えていたもの
  • *6
    調達金額ベースでの比率

気候変動(脱炭素)を核とした環境課題への対応

NECは、2018年10月に「2030年度にCO2排出量を33%削減(2017年度比。Scope 1、2合計の絶対値)」という目標に対し、「SBT well below 2℃」の認定を受けました。さらに、2021年5月には、Scope 1、2の目標レベルを引き上げ、2030年までの削減目標を55%に強化する目標で「SBT1.5℃」の認定を受けました。また、2022年には、2040年までに炭素排出量実質ゼロを目指す「The Climate Pledge」に署名しました。2022年度も前年度に引き続き、省エネルギー化の徹底と、再生可能エネルギーの活用拡大を推進しました。

ICTの可能性を最大限に広げるセキュリティ

セキュアな情報社会の実現に向け、サイバーセキュリティ対策強化と情報漏えいを防ぐための情報セキュリティ対策を確実に推進することで、重大セキュリティインシデントによる影響を極小化するとともに、NECグループの情報セキュリティのレファレンス事例やセキュリティを組み込んだ製品・システム・サービスを提供します。

また、社会インフラを担う責務として、自社の情報資産に加えてお客さまやお取引先からお預かりした情報資産を守るため、情報セキュリティ人材の育成を強化しています。

その取り組みの一環で、米国の非営利団体(ISC)² (International Information Systems Security Certification Consortium)が認定を行っている情報セキュリティ・プロフェッショナル認定資格CISSP(Certified Information Systems Security Professional)の有資格者の拡大を推進しています。

人権尊重を最優先にしたAI提供と利活用(AIと人権)

NECでは、「NECグループAIと人権に関するポリシー」をもとに、以下の3点に取り組んでいます。

  1. 1. AIの利活用が、NECグループだけでなくお客さまやパートナーにおいても適正な用途で⾏われること
  2. 2. 人権尊重を最優先としたAIの利活用促進に向けた技術開発と人材の育成を⾏うこと
  3. 3. AIの利活用に関して、さまざまなステークホルダーとの連携・協働を促進すること
また、ポリシーの適用に際して、国内外の法規制の動向をふまえたAIガバナンスの強化と、さまざまなステークホル ダーとの対話の継続を取り組み目標としています。

多様な人材の育成とカルチャーの変革

NEC WayおよびHR(Human Resources)方針に基づき、2025中計において、「人・カルチャーの変革」を掲げています。

イノベーションの源泉であるダイバーシティを加速させるとともに、多様なタレントのワークスタイルを支える働き方改革を実行します。

コーポレート・ガバナンス

当社は、社会価値の継続的な創出と企業価値の最大化を図るために、以下を基本方針にコーポレート・ガバナンスを推進しています。

  1. 1. 経営の透明性と健全性の確保
  2. 2. スピードある意思決定と事業遂行の実現
  3. 3. アカウンタビリティ(説明責任)の明確化
  4. 4. 迅速かつ適切で公平な情報開示

サプライチェーンサステナビリティ

NECは、自社のみならずサプライチェーンを構成する調達取引先との協働・共創を通じて、環境や社会全体に与える影響に十分配慮しながら事業を行うことで、社会から信頼され、サステナブルな社会価値創造に貢献できると考えています。

すべての調達取引先に「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン(以下、調達ガイド)」を周知し、その内容を遵守する旨の宣言書を取得する活動を継続して推進します。

コンプライアンス

Principlesの「常にゆるぎないインテグリティと人権の尊重」で、NECが社会価値創造型企業として、社会から信頼される存在であり続けるため、NECグループとして常にゆるぎないインテグリティの精神を持ち、人権を尊重することを謳っています。中でもコンプライアンスの実践は、社会価値創造型企業として、社会から信頼を寄せていただくために必要不可欠な取り組みです。

役員から従業員に至るまで、「NECグループ行動規範」(Code of Conduct)の同意書に署名し、一人ひとりがコンプライアンスを自分事として認識し、規範に基づく行動を日々実践しています。