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生物多様性への取り組み

我孫子事業場でのゼニタナゴ放流イベント(2022年10月)

ガバナンス

生物多様性における管理体制

環境経営推進体制のもと、生物多様性についても同様に対策を推進しています。

国際イニシアチブ等への参画

近年、自然や生物多様性に関連したさまざまなイニシアチブが、気候変動に続いて世界で始動し、数年内には本格的に導入・普及していくことが見込まれています。NECはビジネス界で影響力を持つことが予想される国際イニシアチブに、枠組みの検討段階で企業メンバーとして参画しています。案段階での枠組みの試行や議論に参加していくことで、世界の潮流を先取りし、自然共生社会づくりに貢献するソリューションの探索を行います。

国際イニシアチブ等  
PDFSBTs for Nature SBTs for Natureは、水・生物多様性・土地・海洋に関連し、企業が地球の限界内で持続可能性目標に沿って行動できるようにする目標の設定手法です。
NECは、2022年からCorporate Engagement Programに参画し、グローバルの仕組みづくりに貢献しています。
new window自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD) TNFDは、金融機関や企業に対し、自然資本および生物多様性の観点からの事業機会とリスクの情報開示を求める、国際的なイニシアティブです。
NECは、2022年8月よりTNFDの枠組開発の段階において、データカタリストのメンバーとして参画しています。2024年6月にPDFNEC TNFDレポート第2版を発行しました。
new window30by30アライアンス
30by30(サーティ・バイ・サーティ)とは、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させる(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標です。
NECは、この目標達成のため発足時メンバーとして「生物多様性のための30by30アライアンス」(環境省)に参加しています。また、企業として自然環境エリアの拡大にも貢献しており、2023年10月にはNEC我孫子事業場の四つ池が new window自然共生サイトに認定されました。

戦略

生物多様性は持続可能な社会にとって重要な基盤であることから、NECでは、環境方針の中で従業員一人ひとりが環境意識を高め、生物多様性保全に貢献することを定めています。事業活動や従業員の生活が生物に及ぼす影響をできる限り小さくするとともに、生物多様性に貢献する従業員の活動や、ICTソリューションの提供を積極的に推進していきます。

自社の取組み

我孫子事業場での生物多様性保全活動

NEC我孫子事業場の敷地内には、利根川から派生してできたと考えられる湧水池「通称:四つ池」があります。NECは、2009年から手賀沼水生生物研究会と協働で四つ池周辺に生息する「オオモノサシトンボ」(環境省指定の絶滅危惧IB類(EN))の保全活動を推進しています。
2022年度は、アメリカザリガニなど外来生物の駆除や、人工トンボ池による生育環境整備の効果が実り、池の広範囲にわたる場所でオオモノサシトンボを観察することができました。
そのほか、2012年に実施した四つ池の池干しで発見された大量のイシガイの有効活用として、事業場の人工池内で、「ゼニタナゴ」(絶滅危惧IA類(CR))の保全活動も行っています。イシガイはタナゴ類が卵を産みつける場となるため、タナゴ類の生息にとって重要な存在となっています。2021年度は、ゼニタナゴの一部を四つ池へ放流し生育環境の変化による影響を観察しています。

写真提供:為貝和弘

また、毎年「生物多様性ダイアログ」を開催し、new window手賀沼水生生物研究会や有識者、および我孫子市とともに、活動成果の確認と今後の取り組みについて検討しています。これらの10年以上にわたる取り組みが評価され、2021年度には、日本の自然保護と生物多様性の保全に大きく貢献した取り組みを表彰する new window 日本自然保護大賞2022において「選考委員特別賞」を受賞しました。また、2022年度には同団体とともに「文化の日千葉県功労者表彰 環境功労賞」を受賞しました。NECは今後も多様なステークホルダーとの協働をとおして、サステナブルな社会の実現に取り組みます。

四つ池で実施した外来生物駆除
大学生との生物多様性イベント

生物多様性ワーキンググループでの活動

NECは電機・電子4団体*の生物多様性ワーキンググループ(WG)の一員として、生物多様性の保全活動に取り組んでいます。WGでは、これまでに「企業が取り組むはじめての生物多様性Let’s Try Biodiversity!(LTB)」や、海洋プラスチックごみへのアプローチをまとめた「Let’s Try Biodiversity Pick Up!陸から減らそう!海洋プラスチックごみ」の発行などをとおして、企業の生物多様性の取り組みを支援しています。

  • *
    電機・電子4団体
    JEMA:一般社団法人日本電機工業会
    JEITA:一般社団法人電子情報技術産業協会
    CIAJ:一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会
    JBMIA:一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会

NEC田んぼ作りプロジェクト

NECグループでは、2004年より、new window認定NPO法人アサザ基金と協働で、「NEC田んぼ作りプロジェクト」を実施しています。本プロジェクトは、茨城県霞ケ浦近辺で稲作からお酒造りまで、一年を通じて体験する自然体験参加型プログラムです。

リスク管理(含む機会創出)

リスク/機会 内容 リスク低減対策/機会の具体例
リスク 生産拠点における土地の改変、地下水や地表水の利用、排水・排ガスおよび廃棄物がその地域の生物多様性に影響を与える NECの事業場では有機溶剤や酸・アルカリ性の材料などを使用しているため、排水、大気、土壌への漏えい防止の対策や訓練を実施
機会
(社会価値)
拠点や近隣地域での生物多様性保全により、多様なステークホルダーとの協働やブランド価値の向上につながり、潜在的なビジネス発掘にもつながる 絶滅危惧種(オオモノサシトンボ)の保全や田んぼづくりプロジェクトにおける生物多様性保全と地域交流を実施

指標および目標

項目 目標 実績
生物多様性保全対策実施件数 年10件以上 35件実施