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データ活用
データ活用で実現できる新しい
ビジネスとは?
4つの方向性とその活用例を
ご紹介


自社内で保有しているデータを有効活用し、経営課題の解決に向けて取り組む企業が増えています。データの利活用に期待されている効果は、「新しい価値や事業の創出」や「業務効率化」の2つ。データを使った新しい価値や事業の創出から社会のイノベーションを生み出すためのヒントをご紹介します。
目次
- 1. 業務DX(デジタルトランスフォーメーション)に成功しても、データ利活用で価値創造には至っていない
- 2. データを利活用した新規ビジネスが創出できない理由
- 3. データの利活用で実現できる4つの方向性
- 3-1. データを利活用して予想する
- 3-2. データを利活用して最適化する
- 3-3. データを利活用して評価する
- 3-4. データを利活用して提案する
- 4. データを利活用して、新たなビジネスチャンスを広げた例
- 4-1. 自社データから算出した予測データを販売する
- 4-2. 商品データと顧客データでパーソナライズする
- 4-3. ビッグデータを活用して信用度を評価する
- 4-4. 自社の膨大なビッグデータから提案する
1. 業務DX(デジタルトランスフォーメーション)に成功しても、データ利活用で価値創造には至っていない
データの収集・加工作業の自動化や、BIツール※1を活用したデータの分析など、多くの企業で、業務効率化を目的としたデータ利活用が進んでいます。一方で、新サービスや新規事業の創出など、イノベーティブ領域でのデータ活用は進んでいないようです。
- ※1BIツール:企業が保有するデータの集計分析、可視化により、企業の意思決定や課題解決を助けるソフトウェア
総務省が行った、企業のデータ利活用に関する調査によると、データ分析の結果から新たな付加価値となるビジネスモデルの構想につながっている企業は、全体のわずか22%ほど。600社のうち137社という少なさです。
企業がすでに保有しているデータや、今後新たに収集するデータ、オープンデータを分析に活用することで、新しい顧客体験や価値を提供するヒントが得られます。既存ビジネスの拡大に向けた顧客のLTV※2の向上や顧客数の増加、市場拡大による新規顧客の獲得などに寄与するだけでなく、新サービス・製品を開発する新規事業創出による企業の成長にも貢献できるはずです。
なぜ、データを利活用したビジネス創出が進んでいないのでしょうか?
- ※2LTV:Life Time Value(顧客生涯価値)の略。ある顧客から生涯にわたって得られる価値
2. データを利活用した新規ビジネスが創出できない理由
企業がDX を推進するにあたり、データの収集や加工、管理、分析、利活用のフェーズのどこに価値創造を妨げるつまずきがあるのでしょうか?このような声をよくお聞きします。
- 自社で保有しているデータの種類が分からない…
- 活用できそうなデータは保有しているが、上手く統合できない…
- データを統合できたものの、分析結果をうまく示せない…
- 必要なデータを自社で保有していない…
データ利活用の材料となるデータに関する不安や疑問は早めに解決すべき点です。しかし、データを利活用した新しい価値創造や事業創出ができていない一番の原因は、データを活用して実現したいビジョンが定まっていないことではないでしょうか?データを利活用することで生まれる価値が、「誰」の「どのような課題」の解決に役立つのか、目指すべきゴールが曖昧なままでデータの収集や加工、分析を行ってしまうと、データの分析結果から得るべきヒントを見落としてしまいがちです。
3. データの利活用で実現できる4つの方向性
データ利活用のゴールを設定するときの第一歩として、データを利活用することで何ができるのか、活用の方向性を定めることが重要です。DXが当たり前となった現在、データを分析し、その分析結果を活用したビジネス展開は数多くありますが、その活用方法は大きく4つに分けられます。あなたの会社はどの活用方法で進められそうか検討してみましょう。
3-1. データを利活用して予想する
商品の流通や販売計画に役立つ需要予測をはじめ、災害や事故の防止・対策につながるリスク予測、製品・サービスの売上予測などが挙げられます。ビッグデータを活用することで、これまで以上に精度の高い分析結果を得られ、多くの企業がデータ利活用で最初に取り組んだほうがよいとされる活用方法です。
3-2. データを利活用して最適化する
顧客の属性や好みに合ったサービスの提供や、生産計画に沿った製造ラインの最適化などデータを活用することにより、さらに精度の高い最適化が可能です。自社が保有する顧客の購買データや行動データをAIに学習させることで、顧客ごとにサービスの最適化を図ることができ、顧客体験価値の創出にもつながります。
3-3. データを利活用して評価する
個人を評価したり、パフォーマンスや一定の基準値に則り環境を評価したりするなど、データを活用して、より確からしい評価軸を見出しながら課題解決を実現し、ビジネス貢献につなげる企業もいます。自社サービスをプラットフォーム化して提供したり、ある領域に特化した豊富なデータを保有したりしている場合は診断サービスなどの新ビジネスへの活用も期待できます。
3-4. データを利活用して提案する
複数のデータをかけ合わせて分析して最短ルートを提案したり、観光客におすすめの観光スポットを提示したりするなど、科学的なアプローチで提示された最適解を活用する企業も存在します。
これらのデータ活用の方向性から、自社がどの方向で価値創造ができそうか検討することで、自社がデータ活用を進めていく上でどのようなデータが必要なのか明らかになります。
4. データを利活用して、新たなビジネスチャンスを広げた例
「予想」「最適化」「評価」「提案」を行うことで、自社が保有するデータに新たなビジネス価値を見出すためには、自社に適用できそうな具体的なデータ利活用の事例を知ることが重要です。新たなビジネスモデルの構築に成功している企業のデータ利活用の事例から、自社のデータ活用方法に具体性をもたせていきましょう。
4-1. 自社データから算出した予測データを販売する
農機メーカーは、IoTによって、自社製品である農機の稼働データのモニタリングとともに、生産者の生育計画に役立つプラットフォームを提示。そこから得た作物の生育データや土壌環境をAIで解析し、作物の収穫量や肥料と農薬の需要を予測しました。このデータを穀物系の流通業者や、肥料・農薬メーカーに需要予測データとして販売することで、肥料・農薬メーカーが安定供給に向けた生産体制の整備に役立てることができます。
4-2. 商品データと顧客データでパーソナライズする
化粧品小売業者は、顧客の属性情報や化粧品の購入履歴、来店時のデータと、ブランド横断的に収集した取扱化粧品の基本情報や特性・スペックなどの情報をかけあわせて顧客の好みを分析。顧客一人ひとりの好みに合ったメイクや、その方法を提案する接客を行っています。また、ARも活用することで、顧客が理想のメイクをした顔をイメージできるようにするなど、デジタル技術も活用することで、メイクのやり方や化粧品の悩みを解決し購入につなげています。
4-3. ビッグデータを活用して信用度を評価する
サービスを基盤とした広大な経済圏を有する大手小売会社は、顧客の商品購入履歴やクレジットカードでの取引履歴、過去の支払状況などに加え、顧客の人間関係や学歴・年齢などの経歴情報を独自のアルゴリズムで分析。顧客の信用度をスコアリングし、スコアに応じたサービスの優遇が受けられる仕組みを構築しました。顧客は自分の信用スコアをいつでも確認でき、スコアを上げるための道徳的な行動を行うようになるなど、商品の購入以外にも社会的な意義のあるビジネスを行っています。
4-4. 自社の膨大なビッグデータから提案する
自動車部品メーカーは、自社で保有する車両の現在置や車体の損耗状況、貨物の積載状況などのモニタリングデータを活用したサービスを展開しています。車両の位置情報は配車管理システムと連携することで、タクシー業者や運送業者が活用できる最適な走行ルートや待機場所を提示できるサービスへ。車体の損耗状況は重要部品の点検や交換、修理の時期を算出し、顧客に提案するアフターフォローサービスに活用されています。
このように、データから得たいアウトプットを検討することで、自社内のデータやビッグデータを利用した新しい価値や体験の提供に向けたデータ利活用が進みます。新たなビジネス創出に向けたデータ利活用の取り組みは、国内でもすでに多くの企業が始めています。先行企業がどのようにデータを活用して新たな提供価値を生み出しているのか、活用事例を参考にしてみると、貴社でデータ利活用に向けたヒントが見つかるかもしれません。
NECでは、国内先進企業が価値創造に向けて取り組むデータ利活用の事例をご紹介しています。数々のプロジェクトに携わってきた当社エキスパートのポイント解説でデータ利活用の理解を深めながら、貴社のイノベーションに向けたデータの活用のあり方を検討してみませんか?ぜひ、事例集をご活用ください。