サイト内の現在位置

データ収集・蓄積

データ収集を戦略的に進めるポイントは?

IoTの活用方法もご紹介

自社でのデータ活用を進めていくにあたり、ありたい姿の実現のために取り組むべき課題や方針を把握できても、その先のデータを収集する段階でつまずいてしまい、データ活用が進まない、といった経験はありませんか?

失敗しないデータ収集のために知っておきたいデータの種類や収集方法、データ収集の効果的な方法の一つとして注目されているIoTにおけるデータ収集の方法や注意点、などへの理解を深めることで、自社のデータ収集フェーズにおけるつまずきを解消していきましょう。

目次

1. 必要なデータを収集できていないと感じる企業が多数

これからデータ活用に向けて動き出そう、というときの最初のステップはデータを収集することです。もちろん、すでに自社で十分なデータを保有しているケースもありますが、達成したいゴールから逆算したときに、新たにデータ収集が必要になることもあります。実際、どのくらいの企業がデータ収集の段階に課題を感じているのでしょうか?

総務省の調査によると、データに関する取り組みを進めている企業のうち、「十分なデータ(量)が収集できていない」と回答した企業は28.4%、「十分なデータ(種類)が収集、蓄積できていない」ことに課題を感じていると回答した企業は全体の26.6%でした。データの活用に取り組み始めた企業の5社に1社以上は、データ収集でつまずいており、データ活用に向けた十分なデータが収集できていない状況に陥っていることがうかがえます。

データ活用において欠かせない、データの収集が進んでいないのは、なぜでしょうか?

2. データ収集が十分でない理由の一つは、データの種類や取得方法を知らないこと

データ収集のフェーズで十分なデータ量やデータの種類が揃わない理由として、このような事情をよくお聞きします。

  • データを収集しようにも、そもそもデータ蓄積基盤が整っていなかった…
  • データを収集したものの、データの種類が偏っていて活用しにくい…
  • データを収集してみたものの、結局使いにくいデータ形式だった…
  • データ収集の効率が悪く、活用につながらない…

データ収集を行うための環境構築や、データ活用に有用なデータを効率的に収集するために試行錯誤をされている様子がうかがえますが、データ収集が進まない最も大きな要因は、自社にとって最適なデータ収集の方法や、収集すべきデータを曖昧にしたまま、データ収集を急いでしまっているからではないでしょうか?

DXで解決すべき課題を考えたとき、どのようなデータを手元に揃えておくべきか、そのデータをどのような方法で集めておくべきかを明確にすることで、収集すべきデータの性質に応じて適切な蓄積基盤の用意ができ、収集したデータを効率的に活用するためのルール策定もスムーズに進みます。まずはデータの活用につながるビジネスデータの種類や収集方法を理解し、自社で保有しているデータと照らし合わせながらデータの収集に向けたイメージを明確にしていきましょう。

3. 取得すべきデータや収集方法を理解することが第一歩

企業が取り扱うデータの種類は、生産プロセスや業務プロセスで発生するもの、自社商品やサービス提供に伴って発生するものなどさまざまですが、大きくはデータの収集元で2つに分けられます。自社で収集したデータにこだわらず、設定したゴールに応じて柔軟に外部のデータも組み合わせることが、データ活用によるイノベーションの創出につながります。

3-1. 他社を介して必要なデータを収集する

グループ企業やパートナー企業など、自社と関連する企業が収集したデータは「セカンドパーティデータ」と呼ばれます。官公庁や調査会社など自社とは結び付きのない第三者が収集したデータは「サードパーティデータ」と呼ばれています。自社以外から収集できるデータはこの2つに分けられ、それぞれ次のようなデータが例として挙げられます。

  • 統計データ…天候などのジオグラフィックデータや、デモグラフィックデータなど
  • リサーチデータ…民間企業や団体、官公庁が行うアンケートや調査など

自社で収集できるデータには限界があるため、自社のビジネスに関連するデータを他社や第三者を通じて入手することで、データを補完しつつ、精度の高い分析につなげることができます。

3-2. 自社のビジネスプロセスからデータを収集する

セカンドパーティデータやサードパーティデータに頼らず、自社で顧客やサービスを介して直接的に収集するデータのことを「ファーストパーティデータ」と呼びます。ファーストパーティデータの種類は主に次の5種類が挙げられます。

  • カスタマーデータ…CRMなどで管理される顧客データやDMなどの販促データなど
  • Webサイトデータ…自社のECサイトでの購入履歴やオウンドメディアの行動履歴など
  • ソーシャルメディアデータ…SNSのプロフィールやコメント、エンゲージメントなど
  • オペレーショナルデータ…販売管理業務で生成されるPOSデータや取引明細など
  • ログデータ…サーバー側で自動生成されるアクセス履歴やエラーログ、検索ログなど

ファーストパーティデータは自社で収集することができるデータのため、最も商品・サービスや顧客に対する示唆を得やすいと言われています。そのため、精度の高いデータ収集を行うことで、適切なデータ分析につながり、データ活用での新たな価値の発見や創造への貢献が期待されています。

ファーストパーティデータやセカンドパーティデータは、自社の顧客に関する情報となる場合がほとんどで、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)やDMP(データマネジメントプラットフォーム)、CRM(カスタマーリレーショナルマネジメント)などのデータプラットフォームを活用することで比較的容易に収集できます。

4. 新しい気付きを得られるIoTでのデータ収集も有効

製造業や小売業などモノに携わるビジネスでは、顧客データのように簡単にデータ収集できない場合もあります。そのときに有用なのが、IoT(Internet of Things)によるデータ収集です。IoTは、これまでは収集が難しかったモノの情報を、ネットワークを介することで相互に通信し情報交換ができるようにする仕組みです。

IoTはICTの発展で小型化や低コスト化が進み、導入が以前より容易になったため、これまでは現場の状況を把握するのが難しかった製造・農業・医療・物流などの分野で積極的な導入が進んでいます。IoTで収集できるデータの一例をご紹介します。

  • 行動データ…店舗における来店客の行動や、混雑度などの情報
  • 位置データ…自動車の現在位置や、走行ルートなどの情報
  • 生体データ…運動時の心拍数や消費カロリー、体の動きなどの情報
  • 環境データ…気温や湿度などの天候情報や、工事中の騒音レベルなどの情報

IoTデータを収集することで、これまでは把握できなかった新たな問題点やテーマが見つかり、新しい価値の提供に向けたイノベーションのきっかけにもなります。

5. IoTデータの収集方法と留意点は?

IoTを活用して新たなデータを収集するにあたり、IoTの仕組みやデータ収集の方法を理解した上で、導入に向けた検討を進めていきましょう。

5-1. IoTによるデータ収集の仕組みと収集ステップ

IoTはセンサやカメラなどの機能が搭載されているIoTデバイスを利用して、モノをインターネットに接続し、ネットワークを経由してデータを収集します。そのため、遠方にあるモノの動きや状態を検知したり把握したりすることができ、遠隔からのモノの操作やモノのデータを収集することができます。

IoTセンサをモノに取り付けることで、先ほどご紹介したようなデータを収集することができます。IoTセンサの種類は大きく10種類あります。データ収集したいモノの性質に合わせて、適切なIoTデバイスを選択することがポイントです。

  • IoTセンサの種類
    音、光、環境、位置計測、圧力、イメージ、距離、加速度、ジャイロ、地磁気

IoTによるデータ収集のステップは大きく3つあります。

  • ステップ1.
    センサの配置場所とセンサを組み込むモノを決める
  • ステップ2.
    データを蓄積する場所を決める(データの保管先を一元化させる)
  • ステップ3.
    センサとインターネットを接続する

このステップを進めながら、IoTによるデータ収集の目的設定や対象となるモノの洗い出し、IoTデバイスの選定、そしてデータ収集基盤やネットワーク構築などを進めていきます。

5-2. IoTデータを収集するときに注意したいこと

IoTでモノの情報をリアルタイムで安定的に収集するにあたり、注意しておきたいのが通信時のセキュリティとネットワーク環境です。

IoTデバイスの容量や処理能力が比較的小さくなり、通信対象となるモノの量が膨大になるため、ハッキングや情報漏洩などのリスクが高まります。特に、個人が特定できる機密性の高いデータを扱う際は十分な対策が必要です。

また、大量のIoTデバイスによる通信のやり取りでは、ネットワークの混雑により正常に接続ができなくなったり、誤作動が発生したりする「電波干渉」が発生しやすくなります。IoTでのネットワーク障害が発生すると、データ収集がストップしてしまうため、ネットワーク環境の整備が求められます。

データ活用を進めていく上で土台となるデータの収集は重要です。自社がビジネスで達成したい理想の姿から必要なデータを見出し、積極的なデータ収集を進めていきましょう。IoTを活用することで、これまで収集することが難しかった情報でも、データとして収集できるかもしれません。

他社のデータ活用事例を参考にすることで、どのようなデータが自社のビジネスに役立つのか?といったことが検討しやすくなり、自社が収集すべきデータや活用方法が具体的に描きやすくなります。NECでは、国内の先進企業が進めるデータ活用の先行事例をご紹介しています。IoTによる業務イノベーションの事例や活用におけるポイント解説を、貴社のデータ活用に向けた議論にぜひ、お役立てください。

4つの課題別データ活用事例集 資料をダウンロードする

関連記事もぜひご覧ください