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データ管理
データ管理の重要なポイントとは?


新しいビジネスの創出や業務改革を進める上で、データを活用する場面が増えてきています。データを活用する機会が増えたとき重要になるのが、データを扱う上での方針を定め、全社で適切なデータ管理を行っていくことです。これまでのデータ管理は、システムの動作監視やログの管理など情報システム管理の観点での業務遂行に重点を置いたものでしたが、企業全体でのデータ活用推進で社内外の膨大かつ多様なデータを扱う局面で、さまざまなリスクに備えるために包括的なデータ管理体制が求められています。データ活用を見据えたときにどのようなマネジメントを進めるべきか、データ管理のフェーズにおける基本的な考え方をご紹介します。
目次
1. データマネジメントが追い付かない現場では、データ活用に影響も
分析に十分なデータを蓄積し、いざデータ連携・統合や本格的な分析に着手しようとしたときに、適切なデータ管理が正しく行われていない場合、次のような問題が発生してしまうことがあります。
- 組織ごとに類似するデータベースが複数混在しており参照しにくい
- データベースへのアクセス権限が適切に設定されておらず、セキュリティが不安
- 既存のデータベースの標準規格やフォーマットに合わないデータベースで連携が困難
- データ入力や収集を行う現場社員の協力が得られず、データがなかなか登録されない
このような状況に陥って悩んでいることはありませんか?なぜ、データを収集する目的や体制が整い始めたときに、このような問題が発生してしまうのでしょうか?
2. 原因は、適切にデータを管理するための指針が示せていないこと
データ管理がうまくいかない要因として、データ活用の担当者やシステム部門の担当者からこのようなことをお聞きします。
- 社内で保有するデータの全体像を誰も把握していない…
- 社内のデータ管理に関するルールが定まっていない、組織ごとにバラバラ…
- データを入力する現場社員のデータ活用意識やデータ管理への参画意識が低い…
事業単位で必要に応じて独自にデータ収集を行い、都度新しいデータベースやシステムを構築していた状態から、データを連携・統合して一元管理するとなると、部門ごとに保有・管理しているデータの紐解きや各社員の協力が必要です。このとき、データ管理に苦戦してしまうケースが多いようです。全社でデータ活用に向けた取り組みが進まない大きな要因は、全社横断的なデータ管理のルールが策定されていないことにあるのではないでしょうか?データの収集・蓄積・分析・活用に向けた各フェーズにおいて、誰もが指さし確認できるような指針が策定できていれば、ルールに則ったデータ管理体制が各部門に展開され、スムーズかつ適切なデータ活用につながります。
3. データマネジメントに必要なポイントを押さえながら、データ活用を進める
データを活用しやすくするために必要な3つの視点は、データの構造や仕様・戦略を決める「データアーキテクチャ」、データを安全に管理・活用するための「データセキュリティ」の設計、データの有効性を判断する「データクオリティ」の評価です。データ管理の効率、安全性、品質を意識することで、いつでもデータをスムーズに活用し、ビジネスに活かせる体制を整えていきましょう。
3-1. データの構造や仕様・戦略を決める(データアーキテクチャ)
データアーキテクチャは、データ統合をはじめとする長期的かつ継続的なデータ活用に向けたガイドラインにもなるので、スムーズな拡張を実現する点でも重要です。
データアーキテクチャの設計の際に有効な方法の一つとして、データの所在(オーナー)や構造を可視化しながら整理することが挙げられます。アウトプットの一例としてデータモデルをご紹介します。
- データモデルを描く
データモデルとは、企業全体でどのようなデータを保有しているか、その関係図を示した図のことです。どのシステムや業務に、どういったデータがあり、どのようなデータやシステムと連携・統合しているのか、全体を俯瞰的に整理しながらデータ所在や構造を把握することで、これから進めるデータ活用戦略やデータの仕様を定義しやすくなります。
データ管理における最初の一歩として、自社のデータ活用戦略に向けたデータ構造のあるべき姿の見取り図を示し、データ管理の高度化につなげていきましょう。
3-2. データを安全に管理・活用する(データセキュリティ)
データ管理で特に優先的に取り組みたい2つ目のポイントは、データセキュリティの高度化です。昨今、サイバー攻撃による被害は増しており、情報漏洩などのインシデントが発生しないよう、データ収集・管理・蓄積など、のフェーズにおいても強固なセキュリティ対策が求められます。また、データ活用においては個人情報を取り扱うケースも多くみられ、プライバシーに配慮しながら安全な環境でのデータ管理が重要になる点においても、強固なデータセキュリティの設計や構築は必須です。
データセキュリティで検討しておきたいポイントは大きく4つあります。
- データの機密性
データのアクセス権限は適切か。 - データの可用性
データを管理・活用するシステムは常に安全な状態か。緊急時や災害時への備えは十分か。 - データの完全性
データは常に最新の状態か。不正アクセスやオペレーションミスによる誤入力への対策はできているか。 - セキュリティに関する社内意識
機密データを取り扱う組織の一員としてデータ活用時のセキュリティルールの遵守は徹底されているか。
常時におけるデータの安全性を確保するための行動はもちろんのこと、どのような状況になっても、適切な状態でデータを管理するための対策を日頃から検討していくことがポイントです。
3-3. 有効なデータかどうか評価する(データクオリティ)
データ活用を効率的に進めていくためのカギとして、データを利用する目的に適した形でデータが保管されていることは重要です。データ入力や保管のルールが定められていない品質の低いデータは、データ処理に時間がかかり、スピードが求められるビジネスにおいては致命的な足止めです。データの品質を見直すことで、すぐに使える有効なデータ量を増やしていきましょう。
データクオリティを評価するときの参考として、デジタル庁が示すデータ品質の15の評価指標を活用するのも方法の一つです。
- 正確性
書式が正しいか。誤字脱字などはないか。意味的な誤りがないか。データに誤りはないか。 - 完全性
用途に応じて必要な項目が網羅されているか。必須項目に空欄が含まれていないか。 - 一貫性
データセット内でデータに矛盾はないか。データセット間でデータに矛盾はないか。 - 信憑性
データの出所が明示されているか。データの更新日が明示されているか。改ざん防止策が施してあるか。 - 最新性
公開データの更新サイクルは元データの更新サイクルに対して適切か。 - アクセシビリティ
ファイルで提供している場合、データの使用権を持つ全ての人が利用できるようになっているか。 - 標準適合性
使用している文字セットは正しいか。選択項目に、指定された選択肢以外のデータが入っていないか。 - 機密性
データにアクセスできるのは、アクセスを許可された者に限定されているか。利用者を制限する場合、暗号化やハッキング対策などが行われているか。 - 効率性
データの内容に重複などがないか。データは効率的に処理できるようになっているか。 など - 精度
データの精度は適正に設定されているか。データの精度がそろっているか。データの精度が示されているか。 - 追跡可能性
外部データが明確になっているか。データの変更の際に、変更者、変更日などを記録しているか。 - 理解性
データ全体及びその各項目が意味するものを利用者が理解できるようになっているか。データ全体や必要に応じてその各項目にメタデータが提供されているか。 - 可用性
必要な時にいつでもデータにアクセスできるようになっているか。データを公開するシステムは常時稼働しているか。 - 移植性
標準的なフォーマットで出力できないソフトウェアに依存していないか。 - 回復性
データのバックアップが保存されているか。システム障害が発生した場合であっても、継続してデータを提供するバックアップシステムが存在するか。
ここで挙げられているデータクオリティのチェック項目は、日々の業務データの入力から、システム・データベースでの情報収集や分析レベルまでのデータ管理業務全体に通じていえる内容です。自社のデータ管理では、どこまでデータ品質に関する基準をクリアできているか、定期的に確認してみるのも有効です。
4. データ管理を統制するデータガバナンスで全社浸透を進める
データアーキテクチャ、データセキュリティ、データクオリティは、データの管理に関する視点ですが、これらの視点を組織横断的に認知、浸透させ、効率的なデータ管理を進めるときに重要なのが、データガバナンスの策定です。データガバナンスとは、企業が行うデータ活用のためにデータ管理を統制する決め事のことです。具体的には、データの収集・連携・蓄積・分析・活用におけるプロセスやルールの定義、各プロセスにおけるデータの運用体制の策定、データを取り扱う社員の教育や育成などを指します。データガバナンスを行うことで、データ活用時の遵守事項やルールが明示されるので、各部門はもちろん、組織横断的なデータ活用場面においても、高度で効率的なデータ管理を実現できます。一方で、データガバナンスを実行しない組織では、データ活用における権限が部門に委ねられてしまい、想定外の事象が発生した場合、場当たり的な判断を下してしまうことになります。企業がデータを適切に管理できるように、企業としての指針を示した上で統率をとっていくのがポイントです。
データ活用を積極的に進めていくためには、企業の戦略に則したデータの活用戦略を策定し、それを実現するためにあるべき姿を描く「データアーキテクチャ」、データの安全性を確保する「データセキュリティ」、データの品質を維持する「データクオリティ」の視点を織り込んだデータ管理を進めていきましょう。また、データ管理の体制は、企業が保有するデータの性質や量、目指すビジョンによって異なります。自社のデータ活用領域や状況に合わせて適切なデータ管理のあり方を検討することが必要です。
データ活用の幅を広げながらデータ管理を進めていくときは、先行してデータ活用を行っている他社を参考にしつつ、今後必要なデータ管理の方向性を検討してみるのも一つの方法です。そんなときはぜひ、NECがご紹介する国内先進企業のデータ活用事例集をご活用ください。ビジネス課題に紐づいたデータ活用の推進例や、数々のデータ活用に携わってきた当社エキスパートからのポイント解説で、貴社のデータ活用や効率的なデータ管理の示唆を得られるかもしれません。
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