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データ分析

データビジネスに必要な4つの分析ステップをご紹介

デジタル技術の発展でリアルが中心だった顧客接点はデジタルにも広がり、企業の商品やサービスを取りまくデータ量は増加しています。企業にとってデータ量の増加はデータ分析を推進するチャンスであり、収集したデータを整理した上で、何らかの意味を見出すことはビジネスに次のようなメリットをもたらします。

  • 現状の把握ができるようになる
  • 将来の予測ができるようになる
  • 先入観を排除できるようになる
  • 意思決定に役立てやすい
  • 新しい示唆を得ることができる

データを適切に取り扱いながら分析を行うと、データに基づく信頼性の高い解釈や意味づけができるようになります。それにより、既存業務の効率化や新しいビジネスの創出なども期待できます。

この記事では、上記のような実態を踏まえつつ、これからデータ分析を本格的に進めていくために必要な、4つの分析ステップをご紹介します。

目次

1. データの閲覧・集計で分析が終わり、ビジネスに活かしきれていない

国を挙げてのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の機運の高まりを受け、多くの企業がデータ活用の重要性を認識しはじめ、実際にデータ分析を通じたビジネスへの活用に向けて取り組みを進めています。

しかし、実際の企業におけるデータ活用の状況を見てみると、必ずしもデータ分析の取り組みが上手く進んでそうではないことが分かります。総務省が行ったデータ分析についての調査項目によると、回答全体の約7割にあたる1,000社近くの企業で、データの閲覧や簡単な集計が分析の中心業務になっており、機械学習やディープラーニングなどの人工知能(AI)を活用した将来の予測までデータ活用を広げている企業はわずか1割程度です。

この結果を踏まえると、多くの企業ではデータの閲覧や集計が分析のメインになっており、ビジネスへの活用までには至っていない状況がうかがえます。

2. 原因の一つは、手探りでのデータ分析が常態化していること

多くの企業で、ビジネスへの活用を見据えたデータ分析が進んでいない原因として、例えば次のようなものが想定されます。

  • データ分析の目的がわからない…
  • 上層部の意向でデータ分析している…
  • データ分析業務が定型化している…
  • データ整理後、どう分析したらいいかわからない…
  • どういう視点でデータを見ればいいかわからない…

データ分析を進める上で、そもそも目的がわからない、上層部からの指示で必要なデータしか扱うことができない、など前提条件や組織の構造的な原因も影響していると考えられますが、大きな原因は、そもそもデータ分析の進め方を正しく理解できておらず、手探り状態で分析を進めてしまっていることではないでしょうか?

実際、データ分析の進め方がよく分かっていない分析担当者は一定数いることが調査からもうかがえます。総務省が行ったデータ分析体制についての調査によると、サービス業や製造業などの4業種で主にデータ分析を行うのは、データ分析専門の担当者でなく、データ分析専門ではない担当者が行うことの方がやや多いという結果が出ています。

3. データ分析の正しいステップを確認し、ビジネスに活用しましょう

単にデータの閲覧や簡単な集計だけで分析を終わらせず、深い知見がなくても意味のある示唆を見出していくために、まずはデータ分析の基本的な進め方を理解することから始めてみましょう。

データ分析を進めるためのステップは大きく4つに分けられます

  1. データ分析で明らかにしたい問いを定める
  2. 問題を分解し考えられる仮説を立てる
  3. データの前処理で分析しやすい状態にする
  4. データ分析しアウトプットを出す

3-1. データ分析のステップ1. データ分析で明らかにしたい問いを定める

データ分析の第一ステップは、データ分析を進めていく中で最終的に何を明らかにしたいのか、目的を明確にすることから始まります。データ分析の目的を設定しないまま目の前のデータにふれても、データを見る視座がないために何も得られず、時間だけが過ぎてしまいます。そのような状態にならないためにも、目的設定が重要です。

目的が明確化されたら、その目的を果たすために必要な「問い」を定めます。この問いは実際にデータ分析していく過程で、意味合いの抽出ができるレベルのものになります。例えば、データ分析の目的が「製造ラインの生産効率の低下を引き起こしている要因を探る」の場合、「加工工程から組立工程に問題があるのではないか?」のような問いが該当します。

3-2. データ分析のステップ2. 問題を分解し考えられる仮説を立てる

問いを実際にデータ分析で答えが出せそうなレベルまで原因遡及したものが「仮説」です。例えば、加工工程から組立工程の間にボトルネックがありそうだが、具体的に何が問題なのかはわかっていない状態の場合では、「加工工程から組立工程の『機械設備の老朽化』に問題がありそう」や、「加工工程から組立工程の『滞留在庫』に問題がありそう」、などの考えられる原因をあぶりだしていきます。

このような形で、問いを分解し仮説を定めた際にチェックしておきたいのが、定めた仮説が抜け漏れのない状態であるかどうかです。この後のステップでは、ステップ2で定めた仮説をベースにデータを検証していきます。そのため、さまざまな視点から想定しうる仮説を出し切っておくことで、この後の分析をスムーズに進めることができます。

3-3. データ分析のステップ3. データの前処理で分析しやすい状態にする

ここからが、実際にデータと対峙し分析していくステップです。分析に使うデータを手元に集めることができたら、データのチェックを行い「データクレンジング」と呼ばれる事前のデータ処理を行います。データクレンジングを行うことで、分析する複数のデータからノイズとなる部分を取り除くことができ、データ分析の精度を高めることができます。次のようなチェック項目を意識しながら、データクレンジングを進めていくとよいでしょう。

  • データの出所はどこか
  • 信頼性のあるデータかどうか
  • 統合が必要なデータは統合されているか
  • 不足しているデータがないか
  • 欠損値は処理できているか
  • 外れ値は処理できているか
  • 表記ゆれは統一されているか

3-4. データ分析のステップ4. データ分析しアウトプットを出す

ここまでの準備が整ったら、ようやく分析作業に入ります。データ分析の手法としては、いくつかのグループ単位にデータを分け、グループ間の差異を見ていく「クラスター分析」や、データ同士の因果関係をベースに考察していく「回帰分析」などが代表的です。データ分析の手法は数多く存在するため、どんな手法を使えばよいか迷ってしまいがちですが、ステップ1以降で定めてきた、目的や問い、仮説に合っているかどうかという視点で選択していくことが重要です。

データ分析によって仮説の検証ができ、なんらかの示唆が得られたら、企画書や提案書など内容をまとめてアウトプットします。分析結果をまとめる狙いとしては、データ活用の関係者や、意思決定者にわかりやすく伝えることで、データ分析を分析だけで終わらせず、実際のアクションに結びつけていくための目線合わせに役立つことが挙げられます。

アウトプットを作成する際は、次のようなポイントをおさえておくことで、間違った認識を防ぐとともに、端的に情報を伝えることができます。

  • 分析目的や問い、仮説に対する結論、根拠が明示されているかどうか
  • 説得力のある図(グラフ、表、関連図など)を使えているかどうか
  • 分析結果のサマリーがわかりやすくかけているかどうか

4つのデータ分析ステップを意識することで、手探りのデータ分析から脱却し、ビジネス価値を生み出すようなデータ分析にシフトすることが期待できます。

現在、データ分析を十分に行えていない企業にとって、適切な形でデータ分析を進め、既存業務の効率化や新しい価値の創造につなげていくことは、一見、容易ではないかもしれません。しかし、データ分析を進めるための基本的なステップを意識しながら、自社に合った分析のあり方を検討していくことで、データ分析による価値の創造が期待できます。まずは、実際にデータ活用を推進してビジネス貢献につなげたデータ活用事例を見ながら、自社の達成すべきゴールをイメージしてみるのも分析をスムーズに進める上で重要でしょう。

NECでは、国内の先進企業が進めるデータ活用の先行事例をご紹介しています。データ活用によって業務効率化や新しい価値の創造を実現させた事例を見ながら、自社に合ったデータ分析の進め方を検討するための材料として、ぜひ、お役立てください。

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