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モノづくりIoTコラム

【第19回】まとめ(2) ~モノづくりの競争力~

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中村敏

第19回「まとめ(2) ~モノづくりの競争力~」(2018年4月3日公開)

中村 敏 (なかむら さとし)プロフィール
【所属】NECソリューションイノベータ株式会社
      イノベーション戦略本部 兼 IoE事業推進グループ 主席プロフェッショナル

【略歴】NECで主に中堅製造業向けのシステム提案、コンサルティングに従事
      現在、中堅製造業向け モノづくりIoTソリューション事業責任者
      日本マーケティング学会、一般社団法人 日本生産管理学会
      日本TOC推進協議会、NPO法人ものづくりAPS推進機構
      一般社団法人 持続可能なモノづくり・人づくり支援協会 会員

【第19回】まとめ(2) ~モノづくりの競争力~

前回(第18回)、モノづくりの基礎概念についてご紹介しました。今回は、モノづくりの競争力(SQCDF:safety、quality、cost、delivery、flexibility)についてご紹介します。

「競争」は、製品だけではありません。「モノづくりの現場」にも競争はあります。1990年代から多くの製造業は中国に製造を移転しました。これは1/20という非常に大きな賃金差によって、中国での製造(モノづくりの現場)が選ばれたといえます。 このように、経営者に選ばれる力が、現場の競争力になります。競争力のない現場は閉鎖され、他の競争力のある国内工場に統合されたり、新興国に移転されるか、消え去る運命にあります。
このような中、モノづくりの現場は常に改善を繰り返し、生産性を向上させることで経営者に選ばれ続けなければいけません。つまり、生産性がモノづくりの現場の競争力指標になります。

競争力は顧客の側からの競争力要因と供給者側からの競争力要因に分けて考えることができます。前者を顧客からみて測定、評価される力という意味で「表の競争力」、後者を顧客からみえない、製造現場で測定、評価される力という意味で「裏の競争力」と呼びます。これらの表と裏の競争力が企業の「収益力」という競争力につながります。

モノづくりの競争力

モノづくりの競争力出典:藤本隆宏・ものづくり改善入門より作成

マーケティング理論で「4P」と称される「製品(product)、価格(price)、広告・販売促進(promotion)、販売現場(place)」は、企業が発信し、顧客の製品評価に影響を及ぼす4つのコミュニケーションルートのことで、直接受け取って評価できる情報になります。これを「表の競争力」といいます。

これに対して、顧客の目には触れないところで黙々と付加価値を作り込んでいる裏方的な機能、モノづくりの実力を直接的に示す指標が、いわゆる「QCD」になります。QCDは「品質(quality)、コスト(cost)、納期(delivery)」のことを意味しますが、納期は、リードタイム(lead time)と置き換えることができます。モノづくりの現場の人々が競争力の指標として認識しているのは、この「QCD」になります。
ここでは、QCDに「安全(safety)、フレキシビリティ(flexibility)」を加え、「SQCDF」を裏の競争力と定義します。安全(S)は、作業者の安全を確保することであり、モノづくりの現場では必須の条件になります。フレキシビリティ(F)は、需要の変動や、部品供給の不確実性、製品の多様化などへの対応力であり、QCDといったモノづくりの競争力のレベルが外的要因の変化による負の影響を受けない度合いのことをいいます。

「SQCDF」は、顧客が直接評価することはありませんが、顧客の評価軸である「4P」を裏から支えています。例えば、パソコンを購入する時、顧客は製品の性能や、価格、デザインを気にしますが、その製品のコストの詳細や、生産性には興味がありません。しかし、いうまでもなく、顧客にとって魅力的な価格を提示しつつ、ビジネスとして継続していくには、低コスト、高生産性の実現が不可欠です。つまりコスト競争力が、価格競争力を裏から支えています。
一般に裏の競争力「SQCDF」は、表の競争力「製品(product)、価格(price)」に貢献しています。

裏の競争力「SQCDF」を支えているのが、他社が簡単に真似ができない現場での問題解決力や、現場改善力、同期化生産、小ロット化など、モノづくりの組織が醸成してきた能力「モノづくり組織能力」になります。
収益力、表の競争力、裏の競争力、モノづくり組織能力の順に景気や、為替変動などの外的要因からの影響を受けやすくなります。逆に言えば、「モノづくり組織能力」を高めることが外部環境の変化への対応力を高め、持続的な競争力の源泉になるといえます。

ここで、少し裏の競争力「SQCDF」について整理します。

競争力の要素

競争力の要素

この図では、裏の競争力の順番が「SQDCF」になっています。これは取り組むべき優先順位と考えて下さい。
まず、安全(S)は、作業者の安全を確保することであり、モノづくりの現場では必須の条件になります。そのための安全対策の基本は整理整頓です。工場で起きる事故の原因を分析し、その対策と危険予知訓練を行います。

次に、品質(Q)です。品質(総合品質)は、設計品質(design quality)と製造品質(manufacturing quality)に大別できます。設計品質は、製品の性能や、機能、デザインのレベルを指します。製造品質は、実際の製品がどれだけ設計図面通りにできているかを示す尺度で、製品の建付けや、信頼性、耐久性などを含みます。
いくら設計品質が良くても、性能が出なかったり、故障ばかりしていたら顧客は満足しません。逆に設計通りの完璧な製品であっても、設計品質が悪く魅力のない製品であれば、顧客は買ってくれません。つまり、顧客満足度を上げるには、ハイレベルの設計品質と製造品質の達成が不可欠になります。まず、強い競争力を持った製品を作ることが最優先になります。(売れる製品を作ることが最初)
売れる製品ができた後の不良率や、歩留の改善活動は、納期(D)=リードタイム(LT)の短縮活動や、コスト(C)の低減活動として捉えた方が分かりやすいと思います。

次に、納期(D)=リードタイム(LT)です。納期は、生産リードタイムと開発リードタイムによって決定されますが、その関係は製品のタイプによって異なります。例えば、注文住宅のような個別受注生産であれば、納期には開発リードタイムと生産リードタイムの両方が含まれます。自動車のような受注生産であれば、生産リードタイムで納期が決定します。一般消費財のような見込生産であれば、開発リードタイム、生産リードタイムとは全く関係なく、流通リードタイムで納期が決定します。
製品タイプによって納期は異なりますが、リードタイム(LT)の短縮は製品の競争力の向上に直結します。開発リードタイムの短縮は先行者利益に、生産リードタイムの短縮は在庫削減、キャッシュ改善につながります。その結果、生産性の向上を実現することができます。

次に、コスト(C)です。顧客にとって価格は非常に重要ですが、コストそのものは顧客にとって、どうでもよいことでしょう。しかし、コストを反映しない価格設定は長期的な存続が不可能であり、その意味では、コスト(C)は価格を支える裏の競争力にほかなりません。製品原価には、労務費、材料費、経費が含まれ、これに販売費、一般管理費を加えたものが総原価になります。この時、賃金や、部品単価を買い叩くことは大きな弊害があります。(当然のことですが)また、部分的なコスト低減目標も誤った行動を引き起こします。例えば、設備稼働率を上げるためにロットサイズを大きくした結果、売れない在庫が増えると工場全体の生産性は悪化します。
まず取組むべきことは、自社、および部品・材料供給業者の工場全体の生産性向上です。その為の手段は、リードタイムの短縮や、不良率・歩留まりの改善などを継続的に推進することです。

工場全体の生産性向上のための「QDC」の改善が、裏の競争力の目的であり、表の競争力の製品力、価格力を支えていきます。

最後に、フレキシビリティ(F)です。フレキシビリティは、品質、納期(=リードタイム)、コストと同列ではありませんが、環境の変化や、製品の多様性への対応が必要な業種では、重要な競争力要因になります。
例えば、需要変動が大きい場合、小ロット化によるフレキシビリティを向上させると段取替が増えます。この時、いかに段取替のコストを小さくできるかが、フレキシビリティの度合いになります。また、製品の多様性に対するフレキシビリティは、モデル間の部品の共通化と工程の汎用化によって実現できます。

品質、納期(=リードタイム)、コストは、常に高い目標に向かって継続的に改善する必要がありますが、フレキシビリティを高めすぎると、QDCに悪影響をおよぼすことがあります。この時、フレキシビリティを必要悪として捉えると分かり易いかもしれません。環境の変化や、製品の多様性にどの程度対応するのか、基準値を設定し、QDCの改善を継続的に行っていきます。

「裏の競争力」(SQD(=LT)CF)の視点で、企業を取巻く環境の変化(需要変動や、製品の多様性など)に迅速に対応し、生産性を向上させ、「表の競争力」「収益力」の強化につなげるシナリオの構築が非常に重要です。次回(最終回)は、生産性の向上と現場力の指標、現場力向上システムについてご紹介します。

第20回「まとめ(3) ~現場力向上システム~」へ→

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