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モノづくりIoTコラム

中村敏

第18回「まとめ(1) ~モノづくりの本質~」(2018年3月5日公開)

中村 敏 (なかむら さとし)プロフィール
【所属】NECソリューションイノベータ株式会社
      イノベーション戦略本部 兼 IoE事業推進グループ 主席プロフェッショナル

【略歴】NECで主に中堅製造業向けのシステム提案、コンサルティングに従事
      現在、中堅製造業向け モノづくりIoTソリューション事業責任者
      日本マーケティング学会、一般社団法人 日本生産管理学会
      日本TOC推進協議会、NPO法人ものづくりAPS推進機構
      一般社団法人 持続可能なモノづくり・人づくり支援協会 会員

【第18回】まとめ(1) ~モノづくりの本質~

2016年9月から、モノづくりIoTコラムをスタートして一年半が経ちました。 本来であれば、モノづくりの本質は最初に説明しなければいけなかった内容かもしれません。しかしながら、製造業におけるIoTの活用に関して、お客様からのお問合せが多く、これらのリクエストにお応えするために、「モノづくりIoT」の導入、活用の視点で今まで、ご紹介をしてきました。幸いにも、数多くのお客様がモノづくりIoTの本格的な導入をご検討いただいておりますので、ここで改めて、モノづくりの本質を整理し、IoTとの関係を説明して、本コラムのまとめとしたいと考えております。

まず、モノづくりの基礎概念を考えてみます。

モノづくりの基礎概念

あるガラスのコップが100円で売られています。この100円という価格は、このコップが持っている機能、例えば、「飲みやすい」「持ちやすい」「デザインが良い」「漏れない」「壊れない」 等の顧客の評価によって支えられています。

製品設計とは、製品の「構造」と「機能」を事前に決めることです。(まず、機能設計があり、それを実現するための構造設計があります)モノづくりの現場では、構造設計情報を忠実に部品や、材料に転写して製品を生産します。(例えば、径、高さ、厚さ、ガラスの溶解温度 等)顧客が、その製品の機能設計情報を評価して、100円という価格で購入したとするならば、製品の付加価値は、その製品の設計情報ということになります。つまり、「付加価値の源泉は、設計情報にある」といえます。

このコップの原材料であるガラスは、珪砂、ソーダ灰、石灰からできています。仮に、原材料のガラスが20円だとすると、100円 - 20円 = 80円が付加価値であるといえます。

顧客は、飲みやすさや、デザインの良さ 等のコップの持っている機能を付加価値として評価します。この時、原材料が紙であれ、ガラスであれ、どちらもコップと呼びます。また、大人用であれ、子供用であれ、どちらもコップと呼びます。つまり、「コップ」とは、設計情報の名前といえます。自然石に水が溜まる窪みがあったとしても、それを「コップ」とは呼びません。なぜならば、設計者も設計情報も存在しないので、付加価値を創り出していないからです。

モノづくりの基礎概念

モノづくりの基礎概念

コップの例で説明したように、「モノづくり」とは、設計情報(機能設計+構造設計)を原材料に作り込む活動ということができます。また、モノづくりの現場とは、「モノ」ではなく、「付加価値」を作り込み、流れる場所ということになります。

整理すると、「モノづくりの本質は、設計情報(付加価値)の創造と転写である」、「モノづくりとは、顧客へと向かう設計情報(付加価値)の流れを創ることである」といえます。この概念は非常に重要で、現場力の向上に取り組む際の視点を表わしています。

モノづくりの基礎概念をもとに製造業におけるモノづくりの機能を定義すると次のようになります。

モノづくりの機能

モノづくりの機能出典:藤本隆宏・ものづくり改善入門より作成

スタートは、「顧客価値の創造」です。顧客における付加価値を設計情報に転写して設計情報としてブラッシュアップしていきます。この活動が、「開発」になります。開発では、製品コンセプト、仕様書、製品設計、試作品、工程設計、設備、作業マニュアル 等の情報が累積的に創造されます。

次に、設計情報を転写する原材料をサプライヤーから購入する活動が、「購買」になります。
購入した原材料に設計情報を転写する活動が、「生産」になります。生産では、製品開発の結果として、各工程に展開された製品設計情報を原材料に次々と転写することで、同一の設計情報を持った製品が大量に生み出されます。また、原材料の側から見ると、各工程に展開された製品設計情報を次々と吸収して形を変え、最終的に製品になる過程のことをさします。
最後に、原材料に転写された設計情報を付加価値として付与された「モノ」を顧客に届ける活動が、「販売」になります。販売では、工場から出荷された製品に、価格、ブランド、広告、カタログ 等のマーケティング情報が付加され、「商品」となります。商品の持つ製品付加価値、マーケット付加価値を市場に向けて発信していきます。 顧客は、商品が持っている付加価値情報を顧客満足に変換して、「消費」活動を行います。

ここでは、製造業をイメージして説明していますが、サービス業においても同様に捉えることができます。顧客が商品(物財)を購入して、顧客自らが操作(セルフサービス)するならば、「物財消費」になります。企業が製品を操作すれば、「サービス消費=サービス生産」になります。
例えば、自家用車とタクシーを考えてみます。同じ自動車でも、自分で運転するために購入すれば、「物財消費」で、鉄や、ガラス、プラスティック、ゴム 等を原材料に付加されている、運転しやすさや、安全性、デザインの良さ 等の付加価値を消費します。タクシーの場合は、自動車と運転手が原材料に相当し、目的地に顧客を安全に、快適に届けるといった付加価値を消費します。これが、「サービス消費」です。

従って、ここまで説明している「原材料」を「媒体」と置き換えれば、製造業も、サービス業も基礎概念は同じであり、『「もの」 づくりの基礎概念』 における、「もの=モノ」が製造業であり、「もの=コト」がサービス業であるといえます。また、サービスは、製品を操作することによって提供する機能のことであり、製造は、設備を操作して発生する生産サービスによって製品を作っています。すなわち、「サービスなくして製造なし、製造なくしてサービスなし」ということができます。

よく、製造業とサービス業を分けて議論されることがありますが、2つは非常に密接に関連しており、儲かっている企業は、製造とサービスを融合して、「モノ」と「コト」を融合したビジネスモデルを展開しています。

モノづくりの基礎概念である「モノづくりの本質は、設計情報(付加価値)の創造と転写である」、「モノづくりとは、顧客へと向かう設計情報(付加価値)の流れを創ることである」、これをシンプルに表現すると次のようになります。

現場力向上の視点

現場力向上の視点出典:藤本隆宏・ものづくり改善入門より作成

この時、現場力を向上させるためには、2つの視点があります。(ここでいう「現場力」は、物的生産性として考えます。ご存知の通り、労働生産性には、「物的生産性」と「価値生産性」がありますが、価値生産性は、商品企画/開発力、ビジネスモデル 等が大きく関係しますので、ここでは除外します。詳しくは、第4回でご紹介しています)

1つは、サプライヤーから原材料を購入し、付加価値としての設計情報を転写した製品を顧客まで届ける「モノの流れ」の視点です。
2つめは、付加価値としての設計情報を創造し、原材料に効率よく設計情報を転写する「作業の流れ」の視点です。

一般に、1つ目を「SC:Supply Chain」、2つ目を「EC:Engineering Chain」と呼んでいます。これらは、別々の組織で、別々に議論がなされることが多いのですが、両者は密接に関連しており、モノづくりの基礎概念に則り、両方の視点から改善活動を行う必要があります。

設計情報の転写は1回で行われるのではなく、複数の工程に分かれて製品が作られます。原材料(上流)から、設計情報を作り込み、顧客(下流)へ、よどみなく流すことが、「モノづくり」であり、「よどみ」をなくす活動が、改善活動です。
「モノづくり」とは、良い設計情報をムダなく、よどみなく良い流れで顧客のもとに届けることで、「ひとづくり」とは、良い流れづくりのできる人をつくることといえます。

ここまで、モノづくりの基礎概念をご紹介してきました。この基礎概念を理解した上で、モノづくりの競争力(SQCDF:Safety、Quality、Cost、Delivery、Flexibility)を考える事が非常に重要であり、現場力の向上を効率よく、継続的に推進することができます。

次回は、モノづくりの競争力についてご紹介します。

第19回「まとめ(2) ~モノづくりの競争力~」へ→

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