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物流改革に向けた物流KPIマネジメントの重要性 【第2回】

講師:柴田 道男

第2回 物流KPIマネジメントの実践(2009年8月25日公開)
講師:柴田 道男  プロフィール
(NEC 流通・サービス業 ソリューション事業本部 ソリューション推進部 マネージャー)

第1回(前回)の本コーナーでは、物流KPIマネジメントの重要性と管理項目の設定についてご紹介しました。
第2回は、その具体的な実践方法についてご説明します。

1.コスト構造の把握と課題の抽出

(1)自社の物流コスト構造の把握

物流KPIマネジメントの項目に沿って、日次あるいは月次のマネジメントをスタートさせたとします。
その場合に「結果」として出てくる物流コストは正確に把握できているでしょうか?この「結果」の金額はほとんどの企業で把握されていると思います。物流コストはおおよそ、輸配送費、保管費で全体の9割を占め、残りの1割が情報システムなどの費用です。輸配送費、保管費には作業に関わる人件費が多く含まれます。
問題は、この人件費の項目をいかに細かく把握できるかどうかです。

現場の作業を項目別に分類し、それぞれの原価を積算していく「物流ABC(活動原価計算)」に取り組むことで、より精細なコスト把握をしていくことが出来ます。本稿では「物流ABC」の解説は省略しますが、この考え方を用いて作業別に効率性を追求し、無駄な作業自体を削減することでコスト削減に取り組んでいく必要があります。

したがって、こうした削減活動の事前準備として全体としての物流コストを明細に分類し、影響度が大きくて管理可能な費目は何か、ということを整理する必要があります。

物流コスト構造【図1:物流コスト構造】

(2)課題の抽出

「ピッキング生産性の向上」というテーマに対し、単にピッキング作業だけではなく、物流業務フロー全体で解決できる方法は無いか探る必要があります。下記図2の例のように、自社の物流のフローが標準的で各プロセス単位の生産性も高いかどうか見てみましょう。図2の例では「ラベルはがし」という項目が標準フローにはないのに、自社のフローにはあるのが気になります。

物流現場にお伺いすると、この「ラベルはがし」は不可欠なものでどうしようもない、ずっと前からやっている、という主張に出会います。この例では自社工場からの入荷品にもかかわらず、ラベルが貼られていて しかも自社の物流センターでラベルはがしを行っていました。ずっと以前に物流センターで仕分けする際に必要だということで工場での出荷時に貼り付けをはじめたものが今日まで続けられていたわけです。
工場と物流の連携が出来ていないためにこうしたムダが生じていました。作業プロセスが複雑になり、会社の取引が複雑になるとこうしたムダが増えてくることがあります。

まずは標準フローとの比較を行って、特殊な作業がなぜ必要なのか?を常に問い直しながら改善に取り組む必要があります。

物流課題の抽出【図2:物流課題の抽出】

2.マネジメントの実践

(1)戦略マップの活用

第1回(前回)で説明した「物流戦略マップ」の策定により、物流改善が単なる現場の改善でなく会社の収益にかかわるキー項目として設定されたと思います。仮にその戦略マップの一部を下記図3の例のように設定したとします。
この場合、現場でのマネジメントは「物流コスト削減」や「ミスの削減」ではなく「作業教育の実施」と「検品作業の二重化」に重点をおきます。月次でこれらの管理項目がきちんと遂行できたかどうかをマネジメントの柱にします。図中のAの項目です。

現場が日々、「物流コスト削減」をテーマにするのではなく「作業教育をやったか」「検品を二回ずつ行ったか」を愚直に実施管理します。もちろん戦略マップの全体像は物流現場にもきちんと伝えておく必要があります。自分たちが行っている活動が全社の収益に貢献している、というしっかりしたイメージをモチベーションにして取り組んでもらうのは有効なことです。

図中のAの項目はひとつだけではなくて複数設定することも可能ですが、あまり多くなりすぎるとマネジメントの重要性が失われるので、出来るだけ絞り込んだ項目数で徹底的に取り組むのが効果的です。「標準フロー」と比べて特殊な作業になっていないかを振り返りながら、この項目自体を適宜入れ替えていくことも出来ます。「作業教育」がいいのか「表彰状」がいいのか「時給アップ」がいいのか、など取り組むべき選択肢は多様です。

戦略マップ 例【図3:戦略マップ 例】

(2)マネジメント項目の厳選

では、例えば1ヶ月間、「作業教育」を徹底し「検品の二重化」に取り組んだとします。 作業教育の回数や受講率などをKPI項目としてマネジメントします。 もし、作業教育がきちんと行われピッキングの生産性も向上したとすれば想定どおりの成果が上がったことになります。もちろんそのまま全社のコスト削減につながるとは限りませんが物流部門としては大きく貢献したことになるでしょう。
そして現場のマネジメントとしては、「作業教育」⇒「ピッキング生産性向上」という相関関係が証明できたことにもなります。

逆に不幸にして、作業教育は徹底されたのにピッキングの生産性が上がらなかったとします。この場合は「作業教育」が「ピッキングの生産性の向上」につながらなかったということと、「作業教育」の内容自体が十分だったか、という二つの点から反省をしてみる必要があります。 作業教育自体は有効だがやり方がよくなかったとして、さらに1ヶ月間、外部の専門家を招いて「作業教育」を行ったとします。
これで成果が出なかったとしたら再度この戦略マップの設定が間違っていたのではないか、を疑ってみる必要がありそうです。「作業教育」というKPI項目をあきらめて別の項目設定を検討します。

たとえば、休憩の回数や時間を増減させてみる、などです。
現場マネジメントのKPI項目はこのようにして随時見直していく必要があります。

各種の項目を日次や月次で管理していく中で、どの項目の間に相関関係があるのかを見出せれば物流のマネジメントが自在に出来るようになります。この項目は現場ごとに違うと言えますが、入荷検品を徹底させることで出荷ミスを削減した会社の事例もあります。つまり、一見無関係と思われることでも実は作業者の活動に影響を及ぼしている可能性があるので試行錯誤を繰り返しながら戦略マップのマネジメント項目を完成させていくことが肝要です。

自社の物流にとって有効なマネジメント項目を厳選して完成させることで戦略マップの上位項目(コスト削減やCS向上)に寄与していくことが出来ます。

3.物流KPIマネジメントサイクルの完成

(1)継続的なマネジメント

現場からトップ層までが同じ戦略マップのマネジメントツリーでKPI管理できるようになればマネジメントの成果が出てきます。現場の頑張りが経営指標にも反映される手ごたえが実感できるようになります。厳選されたKPI項目を当てはめて、自社独自のマネジメントツリーを完成させましょう。
それぞれのKPIの達成が結果として業績に反映できるようになれば関係者の誰にもわかりやすい仕組みを作れます。もちろん取引関係や商品などの変化によって柔軟に項目を見直すことも大切です。

また、このマネジメントツリーを継続していくには簡単に評価が出来る仕組みが必要です。つまり各種の実績データをマネジメントしやすい形式で出力できる仕組みを整える必要があります。KPI項目の実績を採取するためのITシステムも必要となることがあります。日常的に実績が採取でき、次の打ち手への判断材料が提供できる環境を整えることで継続的なマネジメントを実現できます

階層別のマネジメント【図4:階層別のマネジメント】

(2)マネジメントサイクルの完成

上記図4のように各階層で設定されたKPI項目が継続的にマネジメントできるように体系化され、実績データがタイムリーに把握できるようになればマネジメントサイクルが完成します。

物流はいつも動いています。物流を取り巻く環境も常に変化しています。柔軟にKPI項目を変化させながら、最適なマネジメントツリーを維持していくことがこのKPIマネジメントにおけるもっとも重要なポイントです。この体系が完成すれば物流で他社を圧倒する、競合差別化を実現できると思います。

本コラムに関するご質問・ご相談などは、下記よりお気軽にお問い合わせください。

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