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中堅生産財卸・商社にもとめられる差別化戦略とは 【第5回】

~事例に見る成長戦略の5つのポイント~

講師:片山和也 氏

第5回
卸・商社がとるべき成長戦略の方向性
(2008年7月公開)

講師:片山 和也  プロフィール
(株式会社船井 総合研究所 シニアコンサルタント)

1. 卸・商社がとり得る戦略オプション

前号では、卸・商社がとるべきマーケティング戦略の具体的な事例について述べてきました。最初の号でも述べましたが、商品アイテムがロングテール構造の生産財業界において、卸・商社は無くてはならない存在です。また、そうした業界構造ゆえに商品を右から左に流すだけでも、それなりにビジネスが成り立ってしまうのが卸・商社ビジネスの特徴です。そうした背景もあってか、卸・商社の立場でマーケティングや戦略に真剣に取組んでいる会社というのは、メーカーと比べると少ないといえます。

しかし、地域密着卸・商社と大手全国区卸・商社との間にはさまれる形で、年商30~100億円クラスの中堅卸・商社は、成長性の面でも生産性の面でも厳しい立場におかれています。これは最初の号でも述べた通り、歴然とした事実です。こうした中堅クラスの卸・商社こそ、マーケティングを行い戦略性の追求を行うことで生産性を上げ、成長性を志向していくべきではないでしょうか。 卸・商社がとるべき戦略は2つしかありません。一つ目はメーカー化を目指す川上戦略です。メーカー化のためには自社PBが必要です。こうしたメーカー機能があってこそ、卸・商社のディーラーヘルプスも本当の意味で機能するのです。二つ目はエンドユーザーへの直需を志向する川下戦略です。今まで卸売を主体におこなっていた会社が直需を行うのは一見リスクがあるように見えますが、私の知る限り卸・商社の直需戦略で大きく失敗したという話は、聞いたことがありません。また次項の事例でも例を挙げますが、卸売と直需を共存させることも可能ですし、そうした会社や成功例はいくつでもあります。

会社の全社戦略は仕事をとる武器としてのマーケティング戦略と、社員のモチベーションを上げ、きた仕事を効率よくこなすためのマネジメント戦略の2本柱から成り立ちます。次項からは実際の中堅卸・商社における成長戦略の事例を、マーケティングとマネジメントの側面から解説していきたいと思います。

2. 中堅卸・商社における成長戦略の事例(1)

独自のカタログ戦略と商品戦略で高成長のA社!

大阪に本社を置く、配管部品卸・商社のA社(従業員117名)は、明治43年創業の老舗卸・商社でありながらドラスティックな改革に取組み続けています。

現社長は三代目となりますが、まず力を入れたのが配管部品総合カタログの制作です。配管部品というのはパイプからホース、継手、バルブなど膨大な数にのぼり、かつ規格で寸法等も決められていますから、卸・商社としての差別化が難しい商材だといえます。しかし同社は、配管部品でも主に工業用途の配管部品にカテゴリーを絞り込み、工場用配管部品という新たなジャンルを打ち出しました。

またカタログの制作と同時に自社PBの拡充に努め、現在では利益の大半を自社PBが稼ぎ出しています。自社PBは国内企業を始めとして中国、韓国、台湾、イタリア等、幅広い協力工場によって生産されています。 また同社は全国14箇所に営業所を持っていますが、以前はこれら営業所で在庫を持ち、営業が配送も兼ねる形で営業活動を行っていました。同社は営業が配達を行い、営業所に在庫があることを強みとする営業スタイルをとってきた訳ですが、近年では「営業が配達や業務に追われて本来の営業活動ができない」「営業所間での在庫の重複が多い」といった問題が顕在化してきていました。

そこで同社では営業所の在庫を段階的に引き上げ、新設した物流センターに在庫と配達業務を集約しました。同時に「業務改革」を進めてERPを導入、営業所における事務処理を大幅に減らすことに成功しました。

その結果、営業が本来の仕事である新規開拓や重点顧客フォローに時間をあてられるようになり、一部の業務社員(女性)も希望して営業にまわるようになりました。 こうした改革の成果や生産財業界の好況も後押しして、2003年から2007年にかけて、売上を1.7倍に伸ばしました。

3. 中堅卸・商社における成長戦略の事例(2)

品揃え戦略とエンジニアリング戦略で高収益のB社!

同じく大阪に本社を置く制御機器卸・商社B社は、近畿エリアを商圏とする地域密着型商社です。直近の年商は185億円ですが、経常利益率は18%と、ナショナルブランドを主体に扱う卸・商社としてはかなり高収益の会社であるといえます。同社の高収益の秘密は、徹底した顧客志向にあります。

例えば同社は、某電機メーカーのFA機器を販売していますが、そのメーカーの代理店にはあえてなりません。代理店になってしまうと取扱メーカーに様々な制約がつき、特定のメーカーしか扱えなくなってしまいます。そこで同社は代理店になる資格がありながらも、あえて特約店として活動をしているのです。

また、同社の主力商品はモーターやシーケンサーになるのですが、こうした主力商品については、月商の2ヶ月近い在庫を常に持っており、工場の緊急対応に備えています。都市部の卸・商社で月商の2ヶ月近い在庫を持っている会社は極めて珍しいといえます。同社の在庫が豊富なことは業界の中でも有名で、中には代理店でありながら特約店の同社から急ぎの商品を仕入れる卸・商社もあるくらいです。

さらに同社は20人前後からなる「エンジニアリング部門」を持っており、電気設計の代行からロボットの据付、各種設備の製作までを手がけています。始めはほとんどの幹部が、このエンジニアリング部門の設置に反対しました。なにも自社で技術部門をもたなくても外部の外注を利用すれば良いではないか、という主張でした。しかしエンジニアリング部門を設置して3年もたつと、同部門は明確に高収益を上げ、いまや営業部隊にとっても無くてはならない強みとなっています。

同社はエンドユーザーへの直需が主体ですが、卸売も一部行っています。しかし同社は、あえて直需と卸売を組織的に分けません。組織的に分けてしまうと、どうしても卸部門の営業力が低下してしまうというのが同社によるその理由です。そうしたフレキシブルさも同社の成長を支える一つの要因と言えるでしょう。

4. 中堅卸・商社における成長戦略の事例(3)

卸売と直需を両立させ、高成長を遂げるC社!

やはり大阪に本社を置き、全国区で生産財を扱うC社は、2003年に280億円であった売上高が2007年には416億円となり、高い業績の伸びを示しています。その過程で東証一部への上場も果たした、優良企業です。

同社の専門分野は生産財の中でも測定工具というジャンルになります。同社の他にも、全国区で測定工具を扱う卸・商社が3社存在しますが、同社はこの3社を圧倒的に引き離して今日に至っています。他の3社は測定工具のみを扱っているため、卸売りが主体となっています。それに対してC社では、卸売だけでなく早い段階からエンドユーザーへの直需を志向しました。直需を志向するためには測定工具以外の分野にも幅を広げる必要があり、その結果同社では測定工具という強みを持ちながら、切削工具から伝導機器まで幅広く商品を扱うというユニークな業態となりました。同社も自社カタログを出していますが、測定工具を中心に切削工具や伝導機器など広い範囲をカバーしており、それぞれに特色のあるメーカーをラインナップさせています。

同社の特色である卸売と直需の両立ですが、卸売と直需が共存するというのは、考えてみれば難しいことのはずです。なぜなら卸部門のお客である販売店と、直需部門とが競合する可能性もあるからです。販売店のなかには強くクレームをつけてくるところもあるはずです。しかし逆に考えれば、そこで「当社からの仕入れをより増やしてもらえれば、直需部門の手を引かせますよ」と交渉の材料にすることもできるでしょう。こうした卸部門と直需部門との連携のためには、風通しの良い組織風土が不可欠になるでしょう。

そうしたことを物語ってか、同社は社員教育にはかなり力を入れており、研修などの教育カリキュラムが充実しています。また営業所長には小切手帳を渡すほど、拠点長には自由裁量が与えられています。教育の充実の裏返しであるフレキシブルな風土が、同社の成長を支えているといっても過言ではないでしょう。

5. 最後に:改革を成功させるために

中堅卸・商社における成長戦略の事例として、3社の例を挙げました。これらのケースは 1)自社PBの開発 2)エンジニアリング 3)卸から直需へ という戦略的判断(大きな投資を伴う、あるいは既存業務の否定)に基づくもので、まさにトップの決断なしに実行できることではありません。

さらに改革を進めるにはトップの決断に加え、トップの打ち出す戦略の浸透が一連の改革を成功させるために必要なことです。特に卸・商社の場合は、個人商店の集まり的な側面を否定することができずまさに“戦略の浸透”が、改革を成功させるための大きなポイントになります。社員が100名を超えてくると、戦略の浸透が急速に難しくなります。そこで戦略を浸透させるために最も重要なポイントは、役職者の階層別機能の発揮です。そのためには継続的な階層別教育と、役職者の機能を発揮させる会議体の整備が求められます。
また、抜本的な生産性向上のためには業務改革と、それに伴う情報システムの見直しが欠かせないことです。本当の意味での業務改革は仕事の進め方自体を見直さなければならず、それは情報システムの刷新につながることです。

また、情報システムは入れて終わりではなく、導入後も現場の使い勝手を検証しながらシステムの改善を継続的に行っていくことが求められます。こうした背景から、業務改革を成功させるためにはITベンダーの選定自体もその大きな要素となります。経営トップが考える真意を理解し、さらにその考えを第三者的にうまく社内に浸透・説得の上で納得させる“戦略浸透力”が、IT技術力に加えて求められるところでしょう。

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