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中堅生産財卸・商社にもとめられる差別化戦略とは 【第3回】

~事例に見る成長戦略の5つのポイント~

講師:片山和也 氏

第3回
次のステージに進むためのギアチェンジとは
(2008年6月公開)

講師:片山 和也  プロフィール
(株式会社船井 総合研究所 シニアコンサルタント)

1. 求められる戦略の明確化

前回の号では、年商100~300億クラスの中堅卸・商社に見られる構造的課題について述べてきました。これらの課題をクリアし、次のステージに進むためには既存の延長線ではダメで、根本的に考え方を変えていかなければなりません。すなわち“ギアチェンジ”が必要だということです。

まず明確にしなければならないのが自社の戦略の方向性です。卸・商社の場合でいうと「卸売」か「直需」か、あるいは「地域密着」か「全国区」か「海外」か、といったところが具体的なところでしょう。

特に卸・商社の場合は「卸売」か「直需」か、という判断に悩んでいる会社が多いようです。戦略的に考えたとき、卸・商社が成長するための道は2つしかありません。リテール機能を強化して「直需」をするか、あるいはメーカーを志向するかということになります。ディーラーヘルプス(販売店支援)に徹する、という考え方もありますが、そのためには自社をメーカーポジションに持っていかなければなりません。

ですから、自社はあくまでも「卸売」として生きていくのだということであれば、PB(プライベートブランド)の開発に代表される自社オリジナル商品づくりが不可欠になります。

また現状は「卸売」が主体であるが、成長性で考えた時に「直需」を志向しなければならない、ということもあるでしょう。この場合、現在の売上ボリュームの大半を占める「卸売」からおいそれと手を引くわけにもいきません。このような場合でも、「卸売」と「直需」とどちらにウエイトをかけるのか、またどのようなルールで共存させるのかということを明確にしておかなければなりません。「卸売」と「直需」の共存は可能ですし、そのような事例はいくらでもあります。ただし将来的に会社としてはどちらに振れるのか、そこのところは明確に持っていなければなりません。

自社がどの方向に向かおうとしているのか、少なくとも経営幹部以上は、明確にそのイメージを持たなければならないのです。

2. 本部機能の強化

前回の号でも述べましたが従業員が増え、さらに拠点が増えてくると本部機能が重要になってきます。卸・商社の本部機能としては大きく次の5つを挙げることができます。

  1. 顧客セグメンテーション
  2. KFS(成功要因)の抽出と共有
  3. 商品戦略の立案と新商品開発
  4. 実行支援
  5. 予算執行管理
これら5つの機能は、いわゆる「営業企画」の機能です。

まず“顧客セグメンテーション”ですが、これは既存顧客のランク分けと、見込み客(=新規顧客)基準を明確にすることです。

「KFS」とは「キー・ファクター・オブ・サクセス」の略で、要は成功要因のことです。例えばどのようなプロセスであたれば顧客を効率よく攻略できるのか、実際の成功事例をベンチマークしてパターン化し、それを全体で共有します。

「商品戦略」とは、既存の商品を 1)主力商品 2)品揃え商品 3)集客商品 に分けることから始めます。主力商品を販売する上で品揃え上必要な商品のことを品揃え商品といいます。集客商品とはその商品で大きな利益を期待することができないが、お客を引き付ける働きをする商品のことをいいます。

「実行支援」とは、こうした商品をPRするためのパンフレットやチラシの作成、あるいはセミナー等の集客イベントを開くことによって、ラインの営業を後方から支援することをいいます。

最後の「予算執行管理」とは、各拠点・部署の業績と見込み数字を集計して予算との差額を把握し、対策を考えることです。

これら1~4の機能については、営業現場を支援するための機能です。5は一般的に本部が持つ機能と言えるでしょう。本部が営業ラインから支持を受けるためには、1~4のようにあくまでも営業を支援するための存在であることを明確に示す必要があります。

3. 組織デザインと会議体の強化

こうした本部の戦略を浸透させるためには、その会社に最適な組織デザインと、それに伴う会議体を整備する必要があります。

組織デザインとしては、エリアを中心に考える「エリア別組織」と商品を中心に考える「事業別組織」に大別されます。さらにこの2つの要素を取り入れた「マトリクス組織」が挙げられます。自社の特性を考慮しながら、原理原則に基づいた組織づくりが全ての前提条件となります。

また、戦略を浸透させる上で最も重要なのが会議体です。営業PDCAを回すための会議であれば7人前後で行うのが原則です。しかしトップの戦略や会社の方向性を浸透させるための会議であれば、参加人数は多くても構わないのです。

中堅クラスの卸・商社であれば、全国の拠点長クラスが集まる機会を、最低月に1回は持った方が良いでしょう。例えば拠点が全国に及ぶと、その移動コストだけでもばかにならないと考えてしまいがちですが、そうしたコストをかけてでも、戦略の浸透を図った方がそれ以上の効果が上がるものなのです。もっと言うと、月に1回の会議コストを問題にする会社というのは、そもそも戦略性が低いのです。つまり、経営トップがそれだけコストをかけて行うに価値のある話ができない、と言っているに等しいのです。

こうした会議体を、最近ではテレビ会議を用いて行う会社が増えてきています。私の顧問先でもテレビ会議システムを導入している会社は多いですし、私自身もテレビ会議を利用します。しかし、テレビ会議の効果は、実際に集まって話をすることから比べると半分以下だと私は思います。テレビ会議を行うにしてもそれは補完的なものとすべきで、あくまでも月に1回の拠点長会議を中心とした会議体を構築するべきなのです。

セブンイレブンが全国3000名のスーパーバイザーを毎週火曜日、本社に集めて会議を開くのは有名な話です。戦略性が高く好業績の会社ほど、会議体の整備に力を入れているのです。

4. 物流システムの強化

また、年商が100億円を超えてくるあたりから本格的に物流システムを見直す必要があります。生産性を上げるために必要な物流面の施策として、

  1. 商物分離(営業と配送を分けること)
  2. 営倉分離(営業拠点に商品在庫をおかない)
  3. 物流拠点の集約
といったことが挙げられます。従来、営業が配送も兼ねるスタイルをとってきた会社でこれら施策を導入しようとすると、営業現場から大きな反発を受けます。実際の事例として、ある老舗の卸・商社が倒産し、大手卸・商社の傘下として再スタートをきるためのコンサルティングを行った際の話です。この老舗の卸・商社は営業所と倉庫が一体となっており、営業がトラックを運転して商品の配送も行っていました。

その結果、営業効率よりも物流面での効率が優先される結果となり、この会社は生産性と業績を落としていったのです。

商物分離と営倉分離を導入すると発表した時、現場からは猛反発が出ました。ある営業社員などは泣きながら「お客が離れる」と、その決定の撤回を迫ってきたほどです。しかし実際に商物分離と営倉分離を行ったところ、離れていった顧客はほとんどありませんでした。それどころか約1年で業績は急回復し、生産性も5割近く上がったのです。そうした改革を実行してから3年が経過しましたが、今では商物分離するのが当たり前で、昔が良かったなどと言う社員も一人もいません。

営業所の在庫を物流センターに集約した時も、「営業所に商品があるから売れるんだ」と同じく反発を受けましたが、売上には全く影響が出ませんでした。営業所に商品が無いということで、引き取りの小口顧客はよそに流れましたが、逆にメイン顧客の売上が伸びたため、全体の業績は良くなったのです。

5. 情報システムの強化

卸・商社の業務社員(営業アシスタント)のモチベーションを見れば、その会社の情報システムのレベルがわかります。アイテム数が天文学的な数に及び、購買頻度の低い商品が主体の生産財卸・商社の場合、特にその傾向が顕著に現れます。さらに女性(=業務社員)のモチベーションが低い会社は、得てして伸び悩んでいるケースが多く、そう考えれば、情報システムと業績は密接に結びついていると考えるべきでしょう。

従って卸・商社の場合は販売管理システムを中心に、ラインに負担をかけない使い勝手の良いシステムであることが、生産性を高めるために最重要なことです。また全国区中堅クラスの卸・商社であるのに、地域密着の中小卸・商社とほとんど変わらないような、情報システムを使っている会社が多くあります。会社が成長してきたら、それに合わせて情報システムも刷新しなければなりません。

現場の生産性を上げるような戦略的情報システム構築のためには、そのためのプロジェクトチームをつくり、業務の人間はもとより営業のトッププレイヤーも参加させることが必要です。さらに年商100~300億クラスの中堅卸・商社の場合は、経営トップ自らプロジェクトに加わることが求められます。仕事の仕組みそのものを変えなければ、生産性を上げる情報システムは構築できないからです。

この時注意しなければならないことは、間接人員削減を狙いとして情報システムを導入してはならないということです。間接人員削減を目標にすると、間違いなく社内全体のモチベーションダウンとモラルダウンを招きます。あくまでも生産性を上げる、現場の仕事をし易くする、人は減らさない、ということを謳い文句に情報システムの刷新を図ることが重要なのです。

もちろん現場の使い勝手だけでなく、経営の意思決定に必要なKPI(キー・パラメーター・オブ・インデックス)が容易にモニタリングできるシステムであること、さらにはJ-SOXや内部統制を考慮したシステムであることは、言うまでもありません。

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