ページの先頭です。
サイト内の現在位置を表示しています。
  1. ホーム
  2. ソリューション・サービス
  3. ERPパッケージ (会計・人事・給与・販売・生産等)
  4. ERPソリューション:EXPLANNER
  5. 業務改革のためのコラム
  6. 流通業の記事
  7. 中堅生産財卸・商社にもとめられる差別化戦略とは
  8. 第2回
ここから本文です。

中堅生産財卸・商社にもとめられる差別化戦略とは 【第2回】

~事例に見る成長戦略の5つのポイント~

講師:片山和也 氏

第2回
何が成長を阻害するのか?中堅卸・商社に見られる構造的課題
(2008年6月公開)

講師:片山 和也 プロフィール
(株式会社船井 総合研究所 シニアコンサルタント)

1. 生産性が低下する要因とは?

前回の号では、年商100~300億円クラスの中堅卸・商社において、特に成長性と生産性が低い傾向にあることを見てきました。では、このクラスの卸・商社が抱える構造的な課題とは何なのでしょうか。次の3つのことが挙げられると思います。

  1. 本部機能が弱い
  2. 物流・情報システムが弱い
  3. ビジネスモデルが弱い
卸・商社における本部機能とは、いわゆる営業企画機能であると考えていただければよいと思います。営業拠点が7つ以上になってくると、営業方針や重点商品・重点顧客を打ち出し、予算執行管理を行うための本部機能が必ず必要になります。中堅クラスの卸・商社は常に、この本部機能が弱いのです。
そして本部機能が弱いがために、常に人の問題で苦しめられることになります。

次に物流・情報システムですが、特に物流について述べると、地域密着型卸・商社の場合は、営業マンが配送も兼ねる「商物一体」の形をとっているところが大半です。それに対して大手全国区卸・商社の場合は営業と物流を分ける「商物分離」を行っているケースが大半であり、在庫も営業所が個別に持つのではなく物流センターに集約されています。営業マンが商品を触れば触るほど、実質的な物流費はどんどん上がります。

ですから生産性を上げるためには「商物分離」を行う必要があるのですが、中堅クラスの卸・商社はこの点が中途半端になりがちであるということです。

最後にビジネスモデルですが、ビジネスモデルとは言い換えれば新規顧客を開拓できる仕組みであると言えます。前回のレポートでも述べましたが、中堅クラスの卸・商社は一般にビジネスモデルが弱い傾向にあります。

ビジネスモデルが弱いと、営業がどんどん属人的になっていきます。先ほど述べた本部機能が弱いと、さらにこの傾向に拍車がかかることになります。

年商100~300億円クラスの中堅卸・商社の課題

2. 広がる拠点間の格差

本部機能が弱く、ビジネスモデルが弱いと、おのずと営業スタイルは属人的なものになります。営業スタイルの属人的が強まると、営業マンの間での格差が問題になると同時に、拠点間での格差が大きなものになっていきます。つまりいくら市場性がある拠点でも、拠点長のスキルによって、拠点の業績がかなり大きく左右されることになってしまうのです。

例えば私の顧問先で建築資材を扱う卸・商社がありますが、コンサルティングを開始した当初、市場が大きなはずの東京営業所は不調で、市場が縮小しているはずの大阪営業所は好調という現象が問題になりました。

そこで調査を行うと、東京営業所の所長は営業マンとしては抜群の実績を残していましたが、マネージャーとしてはリーダーシップに難ありで、ヒアリングをすると全ての部下から反発されていました。その後この所長を異動させ、所員の中でリーダーシップがとれそうな人物を所長に上げたところ、約一年間で東京営業所の業績は大きく上向いたのです。

もちろん、こうした現象は規模が大きな卸・商社にも見られることではあります。しかし中堅クラスの卸・商社では、特にこうした傾向が強いということなのです。

また本社が営業戦略を策定しても、その浸透度が拠点によって著しく異なります。例えば管工機材を扱う卸・商社で、会社としては工業用途の“工業管材”をメインで扱う戦略を鮮明に示しているのに、ある拠点では住宅用途の“一般管材”を熱心に販売しているわけです。また、本社の営業戦略として“二次卸”ではなく“直需販売店”にターゲットを切り替えようとしているのに、拠点によっては中々それが進みません。拠点長がそうした施策に本気で取組まないからです。言い換えれば戦略の浸透が不十分なのです。

このように本部機能が弱いと全社戦略が思うように浸透せず、拠点の業績は本当に拠点長のスキルにのみ頼ることになります。その結果、全体の生産性が低下するのです。

3. 頻発する人の問題

また、年商100~300億円の中堅卸・商社はとにかく人の問題が頻発します。もちろんどのような会社でも人に関わる問題は経営者の悩みの種ではあるのですが、このクラスの卸・商社は特にその問題が大きいのです。例えば営業所の所長に所員が反発して全員で辞表を提出してくる、というのはよくある話で、ひどい例を挙げると営業所長以下全員が辞めてライバル会社に移る、といったことも珍しいことではありません。また、精神的に不調をきたす社員が頻発するのもこのクラスの会社です。

こうしたことが頻発する要因は、本部機能が弱いにもかかわらず、拠点だけは展開されてしまっていることが挙げられます。拠点が7つを超えてくると本部機能に加えて、拠点をいくつかのブロックに分け、拠点をブロックごとにマネジメントするブロック長が必要になってきます。拠点がそこそこの数になってくると、拠点長のスキルにもバラつきが大きくなってくるため、そこをカバーするためのブロック長が必要になってくるのです。

しかし、この規模になるとブロック長専任というのは難しく、どこかの営業所長と兼任でブロック長をやらざるを得ません。そうなると、ブロック長とは名ばかりで、所長に毛が生えた程度の動きしかしなくなります。

このように、本部機能が弱いにもかかわらず多くの拠点を抱えた結果、全社的なコミュニケーション不足が発生します。コミュニケーションが不足しているところに、充分な説明もなく本部の方針が降りてくるとそこに反発が生じます。さらにそれが続くと反発を通り越してモチベーションの低下につながり、ひいては生産性を低下させることになるのです。

また、人の採用も大きな問題です。このクラスになると転勤することを前提に採用しなければ後々問題が生じます。しかし転勤が前提ということになると、会社の魅力を全面的に打ち出せなければ人は採用できません。中堅クラスの卸・商社は、人の採用の面でも地域密着企業と大手全国区企業にはさまれ、苦戦している状況なのです。

4. 物流と情報システムの非効率性

さらにこのクラスの卸・商社の多くは、営業が一部配送を兼ねていたり営業所ごとに在庫を抱えていたりしています。営業が配送をすることを売りにしている卸・商社もあるのですが、基本は営業が商品を触れば触るほど生産性が低下します。また営業所ごとに在庫をもつと、当然のことながら重複在庫や管理工数の増大など、コストアップの要因になります。何よりも、営業の本来の仕事は「営業」であって「配送」や「倉庫管理」ではありません。

しかも営業に配送をやらせると多くの営業マンが配送に逃げ、「時間がありません」「だから客先を廻れません」「新規開拓できません」という話になってきます。生産性を上げる上で、物流の問題は避けては通れないところです。

また、卸・商社にとって情報システムは非常に重要なものです。なぜなら、卸・商社の場合は情報システムの優劣がそのまま会社の生産性に反映されてくるからです。特に生産財卸・商社の場合は天文学的なアイテム数の商品を、低い購買頻度の中で扱いますから情報システムが良いか悪いかで、生産性だけでなく社員のモチベーションにも関わってくるのです。

それほど重要な情報システムなのですが、中堅クラスの卸・商社は相対的に情報システムが弱いのです。その理由は、経営者が情報システムに関心が低いからです。経営者は情報システムのことは情報部門に一任してしまう傾向にあるのですが、このクラスの場合は経営者自ら情報システム改革に取組まなければいけません。

なぜなら、このクラスの会社の情報部門は人的資源に限りがあり日々のメンテナンス業務をこなすのがやっとの状態です。とても戦略的な情報システムの構築を考える余裕は無いでしょう。

もっと本質的なことを言えば、全社の生産性を上げられるような戦略的情報システムの構築は経営者でなければできません。なぜなら情報システムの構築に伴って、社内の様々なルールも変えていかなければならないからです。そうした大局にたっての決断は、このクラスの会社では、とても社員で行えないのです。

5. 弱いビジネスモデル

ビジネスモデルとは、先ほども述べましたが「差別化要素」のことであり「新規顧客獲得力」のことであります。年商100~300億円クラスになってくると、地域密着のままでは成長が見込めませんし、全国区で勝負するには大手企業にないユニークな特徴を前面に出していかなければならないのです。

しかし、一般に卸・商社というのはこうした戦略的なことを考えるのが苦手です。なぜならメーカーがつくった商品を仕入れ、それを販売しているだけでも商売が成り立つからです。メーカーは「売れる商品」を、「売れる価格と品質と納期」で生産していかなければなりませんので、おのずと戦略的にならざるをえません。

卸・商社の場合は「売れる商品をつくる」のではなく、「売れる商品を扱う」のが仕事ですから、どうしても視点が「戦術的」になってしまいます。「営業戦略」とか「販売戦略」という言葉がありますが、そもそも「営業」や「販売」というのは戦略ではなく戦術です。ビジネスにおける戦略的要素とは「何を扱うか」ということであり、言い換えれば「商品」ということになります。例えば大手総合卸・商社は世界的な資源高騰の中、過去最高の決算を続けています。

それは大手総合商社が商品を右から左へ流す「戦術的」ビジネスのウエイトを落とし、自らリスクをとり鉱山開発や油田開発を進めたからに他なりません。言い換えれば「売れる商品をつくる」という戦略的な姿勢が、過去最高益という決算に結びついているのです。

中堅クラスの卸・商社においても、大手卸・商社とは異なるドメインで商品展開を行い、専門性を訴求するといったことができるはずですし、エンジニアリングのような一見手離れの悪いビジネスが大きな差別化要素になり得るのです。

しかし多くの卸・商社は自らリスクをとることを嫌い、商品を右から左に流すだけで、ビジネスそのものへの投資をほとんど行おうとしません。中堅クラスの卸・商社こそ、自社の差別化のために体力の範囲内で、自らのビジネスそのものに投資を行うべきなのです。

関連ソリューション

消費税増税・軽減税率対応
販売管理システム -EXPLANNER/Ai

本コラムに関するご質問・ご相談などは、下記よりお気軽にお問い合わせください。

ページの先頭へ戻る