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OLF/AD-BK - 強化内容(MP R9.1、MP R10.1)

MP R9.1強化 圧縮バックアップ・展開リストア機能の提供

強化機能イメージ

(1)標準ディスク対応(圧縮バックアップ)

昨今のBC/DR対応への高まりに対して、ACOS-2では業務資産のオープン環境へのバックアップ、および遠隔バックアップシステムを実現するバックアップ連携機能(OLF/AD-BK)をサポートしました。

これまでのバックアップ連携機能は、処理対象のACOS-2ボリュームをストレージ装置(高機能Storage、あるいはiStorage)上のRVとするシステム構成が必要でした。

今回、高機能StorageやiStorageがなくても遠隔バックアップを行えるように、標準ディスク(ストレージ装置のIV(Isolated Volume)を含む)上のACOS-2ボリュームを、ACOS-2本体のWindows上で圧縮バックアップ/展開リストアする機能を提供します。また、ACOS-2本体のWindows上にバックアップしたファイルを、他のFTPサーバへ転送する機能を提供します。

圧縮バックアップ/展開リストアやファイル転送の実行指示は、従来の機能同様に、ACOS-2からユーティリティにて行います。

標準ディスクに対応したことで、高機能StorageやiStorageを導入してストレージ構成を組まなくても、標準ディスク上のACOS-2ボリュームを対象とした遠隔バックアップが可能になります。また、圧縮/展開処理、転送処理をACOS-2本体のWindowsで行うため、IAサーバも不要になります。

※標準ディスク上のACOS-2ボリュームを対象としたバックアップを行う場合、圧縮したファイルの格納先として、専用のハードウェアとなる「バックアップ連携専用ディスク」が必要になります。

標準ディスク構成における圧縮バックアップでは、$SAVEユーティリティを利用して、ACOS-2上のOLF/AD-BK経由で、ACOS-2本体のWindows上のOLF/AD-BKにACOS-2ボリュームの圧縮指示を行います。指示を受けたACOS-2本体のWindows上のOLF/AD-BKは、ACOS-2ボリュームをWindowsのCAB形式のファイルに圧縮します。圧縮したファイルは、バックアップ連携専用ディスクに格納されます。

CAB形式に圧縮したファイルは、ACOS-2のJCLから起動したACOS-2本体のWindowsの標準機能であるFTPクライアントによって、他のFTPサーバにファイル転送することが可能です。

また、バックアップしたファイルの削除などを行うディスク管理ツールも提供します。

圧縮バックアップ

(2)標準ディスク対応(展開リストア)

展開リストアを行うには、他のFTPサーバにファイル転送したバックアップファイルをACOS-2システムにファイル転送する必要があります。このファイル転送もACOS-2のJCLで行うことが可能です。

JCLによるACOS-2からのファイル転送指示は、ACOS-2のOLF/AD-BKを経由して、ACOS-2本体のWindows上で動作するOLF/AD-BKに通知されます。ACOS-2本体のWindows上で動作するOLF/AD-BKは、Windows標準機能であるFTPクライアントを利用して、他のサーバにバックアップしたCAB形式のバックアップファイルを取得し、バックアップ連携専用ディスクに格納します。

バックアップ連携専用ディスクに格納されたCAB形式のACOS-2ボリュームは、$RESTOREユーティリティを利用してACOS-2の標準ディスクにリストアすることができます。

$RESTOREユーティリティを利用した展開リストアの指示は、ACOS-2上のOLF/AD-BK経由でACOS-2本体のWindows上のOLF/AD-BKに通知されます。ACOS-2本体のWindows上のOLF/AD-BKはバックアップ連携専用ディスクに格納されているファイルを展開し、ACOS-2の標準ディスクにリストアします。

展開リストア

強化機能概要

機能概要は以下のとおりです。

  • 標準ディスク対応
  • WindowsのFTPとの連携

強化機能特長

  • ストレージレス環境への対応
    従来のバックアップ連携機能では、ストレージ装置上のRVあるいはクロスコールボリュームのみを処理対象としていましたが、今回の強化により、標準ディスクを処理対象にすることができます。
    そのため、ストレージ装置を導入していなくてもバックアップ連携機能が利用可能となります。
  • ACOS-2本体のWindowsで圧縮バックアップ
    ACOS-2ボリュームをACOS-2 OSとACOS-2本体のWindowsがクロスコールする形態で実装しており、圧縮処理はACOS-2本体のWindows上で行います。
  • FTPクライアントとの連携によるファイル転送
    ACOS-2本体のWindows側標準機能であるFTPクライアントを利用して、ACOS-2資産の遠隔地への転送をACOS-2システム単独で行うことができます。
    従来のストレージありのシステム構成において、圧縮したファイルをACOS-2のJCLを利用して遠隔地にファイル転送する場合に必要であった環境(IAサーバおよびジョブ連携機(WebSAM JMSS+OLF/JB-CL))は不要になります。

強化機能導入効果

本強化機能を利用することで得られる効果を以下に記載します。

  • 遠隔バックアップシステム導入費用の低減
    ストレージ装置において、DDR構成を実現するためのハードウェア/ソフトウェア費用、およびACOS-2側からIAサーバ側にボリュームの圧縮展開/ファイル転送指示を行うためのジョブ連携製品の購入は不要です。そのため、従来のストレージを利用したシステム構成と比べ、約4分の1程度の費用で遠隔バックアップシステムを導入していただけます。より多くのお客様で、災害対策を見すえた遠隔バックアップシステムをご利用いただくことが可能となります。
  • バックアップ運用コストの削減
    ストレージ装置(高機能Storage、iStorage)を使用しない、ACOS-2本体のみのシステム構成となるため、ストレージ装置やIAサーバの管理/運用に必要な作業や費用を削減することができます。

強化機能適用リリース

ACOS-2/MP R9.1以降で利用可能

強化機能適用例

本適用例は、東京本社に設置されているACOS-2システムの標準ディスク上のACOS-2ボリュームを、大阪の支社にあるFTPサーバにファイル転送(遠隔バックアップ)する例です。

本システム形態では、ストレージ装置を利用していないため、ストレージ装置を利用するこれまでのシステム構成に比べ、安価なBC/DR対応システムとして活用できます。

  1. 圧縮指示
    東京本社のACOS-2で$SAVEユーティリティを実行することにより、ACOS-2本体のWindowsに対して圧縮指示を行います。
  2. Windowsファイルに圧縮
    ACOS-2から起動されたACOS-2本体のWindows圧縮/展開プログラムが、ACOS-2ボリュームを圧縮してバックアップします。
  3. 転送指示
    バックアップ処理の終了後、ファイル転送を行うFTPの起動をACOS-2からJCLによりACOS-2本体のWindowsに指示します。
  4. FTPで転送
    ACOS-2本体のWindowsは、バックアップしたデータをFTPにより大阪にある支社のExpressサーバに転送します。
圧縮バックアップ強化機能導入事例

MP R10.1強化 信頼性・運用性の向上

強化機能イメージ

(1)強制バックアップ

URV等のシステムで使用するボリュームのバックアップについては、テープ媒体へのバックアップのみ対応しており、バックアップ連携機能では未対応でした。

今回、システムで使用するボリュームへの対応として、強制バックアップ(SHR=FORCE)をサポートします。強制バックアップを行うことで、システムが使用するボリュームの遠隔バックアップが可能になります。

また、使用中のファイルがあるユーザボリュームもバックアップできますが、使用中のファイルについては保証できません。

強制バックアップは、従来から存在する、$SAVEユーティリティで、「SHR=FORCE」を指定してバックアップします。また、強制バックアップを利用してURV等のボリュームを遠隔バックアップしたボリュームをリストアするには、カストマイズモードで起動し、$RESTOREユーティリティを利用します。

強制バックアップ

(2)カストマイズモードでのバックアップ/リストア

強制バックアップ機能(SHR=FORCE)により、URV等のシステムで使用するボリュームをバックアップできるようになりますが、強制バックアップでバックアップしたシステムで使用するボリュームをリストアするために、カストマイズモードでの利用を可能にします。また、テープ媒体へのバックアップと同様に、カストマイズモードでのバックアップも利用可能です。

URV等のシステムで使用するボリュームをリストアする際は、ACOS-2をカストマイズモードで起動し、$RESTOREユーティリティにより、リストア対象のACOS-2ボリュームを指定し、実行します。

カストマイズモードでのバックアップ/リストア

(3)非圧縮バックアップ

これまでのバックアップ連携機能におけるバックアップ処理は、バックアップ対象のACOS-2ボリュームを一旦バックアップ連携専用ディスクにコピーした後、圧縮処理を行っていました。このコピー処理と圧縮処理はセットで行っており、圧縮が完了するまで、バックアップ対象のACOS-2ボリュームを操作することができませんでした。

今回、この状況に対応する強化として、非圧縮によるバックアップ機能を提供します。非圧縮バックアップを行うことで、圧縮の完了を待たずに、バックアップ対象のACOS-2ボリュームを操作することができます。これにより、従来と比べ、バックアップにかかる業務停止時間を「2分の1程度」に短縮できます。

非圧縮バックアップは、$SAVEユーティリティを利用して、ACOS-2上のOLF/AD-BK経由で、ACOS-2本体のWindows上のOLF/AD-BKに実行指示を出します。そして、標準ディスク上にあるACOS-2ボリュームを非圧縮で、バックアップ連携専用ディスクに、拡張子BAKの名前でバックアップします。リストアは、従来と同様に、$RESTOREユーティリティで行います。

バックアップ連携専用ディスク上にバックアップした非圧縮ファイルは、別途、$SAVEユーティリティで圧縮することもできます。この場合、圧縮処理中でもバックアップ対象のACOS-2ボリュームを操作することができ、業務を停止する必要はありません。

なお、非圧縮ファイルはOLF/AD-BKの機能を利用して、FTPクライアントとの連携により、Expressサーバに転送することができます。また、バックアップ連携ディスク管理ツールによる非圧縮ファイルの管理もサポートします。

非圧縮バックアップ

強化機能概要

機能概要は以下のとおりです。

  • 強制バックアップ機能
  • カストマイズモードでの利用
  • バックアップにおけるコピー処理と圧縮処理の分離

強化機能特長

  • システム資産・業務資産を区別なくバックアップ可能
    従来のバックアップ連携機能では、URV等のシステムで使用するボリュームに対する遠隔バックアップおよびリストアができませんでした。しかし、今回の機能強化により、システムで使用するボリュームのバックアップ/リストアが可能になります。また、使用中のユーザボリュームに対する遠隔バックアップも可能になり、システム資産・業務資産の区別なくバックアップ/リストアできるようになります。
  • バックアップに伴う業務停止時間の短縮
    コピー処理と圧縮処理を分けることで、バックアップ時の業務停止時間を短縮することが可能になります。従来は、コピー処理と圧縮処理の両方が終わるまで業務停止が必要でしたが、今回の機能強化により、コピー処理の時間のみの業務停止で、バックアップすることができるようになります。

強化機能導入効果

本強化機能を利用することで得られる効果を以下に記載します。

  • テープレス構成でのバックアップ運用を実現
    今回の機能強化により、バックアップ連携機能で全ボリュームを遠隔バックアップできるようになります。これに加えて、Windows側制御基盤を含めたシステムバックアップ(本体標準機能)については、これまでのAIT/LTOにかわって、本体標準装備のRDXに対してバックアップを行います。これにより、テープレス構成でのバックアップ運用を実現できます。
  • システムの可用性と運用性の向上
    バックアップ時の業務停止時間を、従来の2分の1程度に短縮しているため、バックアップの効率化と共に、システムの可用性と運用性が向上します。また、強制バックアップやカストマイズモードでの利用をサポートすることにより、今までのバックアップ連携ではバックアップすることができなかった、URV等のシステムで使用するボリュームのバックアップ/リストアを行うことができます。

強化機能適用リリース

ACOS-2/MP R10.1以降で利用可能

強化機能適用例

本適用例は、東京本社に設置されているテープレス構成のACOS-2システムの標準ディスク内のボリュームをバックアップし、バックアップデータを大阪支社にあるFTPサーバへ転送およびFTPサーバから東京本社のACOS-2システムへリストアする例です。

日々の業務で利用する業務資産等を定期的に、東京本社から大阪支社のFTPサーバへ遠隔バックアップする業務においては、今回の強化により、バックアップ時の業務停止時間を2分の1程度に短縮することができます。効率化を図ると共に可用性と運用性を向上させています。

次に、機器追加によるシステム構成変更時の、システムで使用するボリュームの遠隔バックアップにおいては、今回の強化により、強制バックアップ(SHR=FORCE)やカストマイズモードでの利用をサポートすることで、URV等のシステムボリュームのバックアップ/リストアに対応します。

障害等により、ACOS-2システムのリストアが必要になった時、大阪支社のFTPサーバにあるバックアップデータを、東京本社にあるACOS-2のバックアップ連携専用ディスクへ転送します。そして、ACOS-2をカストマイズモードで起動し、システムボリュームやユーザボリュームのACOS-2ボリュームをリストアすることができます。ただし、ハードディスクやシステム本体そのものの障害に備えて、ACOS-2システムのWindows制御基盤を含めたシステムのバックアップ(本体標準機能)も実施する必要があります。

このように、今回の機能強化により、バックアップ連携機能を利用することで、ACOS-2システムの可用性と運用性の向上を図ることができます。また、ACOS-2本体標準機能であるシステムバックアップと組み合わせることで、適用例のようなテープレス構成によるバックアップ運用を実現できます。

バックアップ連携強化機能導入事例