サイト内の現在位置

データの「精度」と「鮮度」を向上させよう

コラム:データ活用のポイント

新見さんは、定期的に情報共有会を行っているグループ企業のIT部門の方から、「欲しい情報がとれない」とユーザから最近よく言われて困っていると聞きました。また、そのIT部門で作成した情報系システムはユーザに使われておらず課題となっているとのこと。これまで「データ活用」の視点でいろいろ勉強してきた新見さんは、データの充実化が不十分なのではと考えましたがそうでもないようです。

データの「精度」と「鮮度」についての学びポイント!

  • 「使われないデータ」を作らない工夫が必要。
  • 7つの要素を考慮しながら、企業全体で全体設計をしていく。
  • 「精度」と「鮮度」を高めるために、「ガバナンス」をしっかり効かせていく。

新見さんメモ

「使われないデータ」を作らないように

先日、情報共有会のなかで、グループ企業のIT部門の方から、「欲しい情報がとれない」とユーザから最近よく言われて困っていると聞きました。また、そのIT部門で作成した情報系システムはユーザにあまり使われておらず課題となっているとのことです。これまでの話で、データの充実化が不十分なのではと考えましたが、ユーザからの要望は断らず日々取り入れ構築してきていると言うのです。

新見さん

これまで、データを充実させていくことは重要と話をしてきたが、一方で「使われないデータ」を作ってしまわないような工夫も合わせて必要なんだ。「欲しい情報がとれない」と言っているユーザの話をもっとよく確認したほうがよいね。欲しいデータが本当にないのか、あるけど知らないのか、既にあるデータを加工すれば欲しい情報が得られるが作り方をわからないのか、そもそもデータが使いものにならないのかといったところかな。

古田先輩

「使いものにならないデータ」というのは何ですか?

新見さん

データというのは、必要な時に必要なものがどこにいても手に入ることが大切で、しかもそのデータは「精度」と「鮮度」が保証されていることが求められることも知っておかなくてはいけないね。ただやみくもにデータを作っていっても、使う側が使えないと判断すれば、いずれ使われないものとなり、最後は「データのゴミ箱」になってしまう。

古田先輩

7つの要素

新見さん

そもそも「使えるデータ」にしていくために、どのようなことを考慮していかなくてはいけないのでしょうか。

7つの要素の視点で整備していくことが必要と考えている。「戦略」から「インフラ」まで、7つの要素を考慮しながら全体設計をしていくんだ。これは、先ほど話をしたデータの「精度」と「鮮度」の保証につながることになる。

zoom拡大する
図1 7つの要素

まずは「戦略」。こんなデータが欲しい、あんなデータが欲しい・・・。ユーザからの要求を全て聞いてデータを作っていると、いずれ使われないデータのゴミ箱を作ってしまう。システムを構築する上で重要なのは目的を明確にし、スコープをしっかり切ること。このシステムを使ってどのような戦略を実現するのか、どのような経営課題・ビジネス課題を解決するのか。これらがデータ活用の基盤構築において求められる。
次に、「組織・人」。「AI活用」のところで話をしたが、データを作成するためのITのスキル、業務に対する知見、そして分析に関する考え方を理解する人材育成が必要であり、分析を進めるための会社のしくみを作っていかなくてはいけないね。データ活用によりDXを推進するためには、システムだけでなく、「組織」や「人」という視点でも考慮していく必要があるんだ。
そして「制度・ルール」や「業務プロセス」という視点。こちらは事例で紹介しよう。昔、グローバルで情報を集め、データ活用のためのシステムを構築しようとした際の話。経理ベースではグローバルに連結情報を保持していたが、これを販売・購買・在庫の明細単位のデータレベルで取れるようにし、経営やビジネスに活かそうというニーズが出てきた。さっそく、海外現地から明細データを収集したのだが、集計すると経理データと合わないんだ。しかし、海外現地に問い合わせてもデータは間違ってないというんだな。もちろん、ユーザからは、そんな「正確性」に欠けるデータは使えないと言われるし、大混乱。

古田先輩
新見さん

「精度」の問題ですね。どのような原因があったのですか。

よくよく調べると、経理システムと販売・購買・在庫管理システムが別々のシステムで、密連携していなかった。つまり、データを作成しているところが別々だということが判明したんだ。

古田先輩
新見さん

なるほど。システムがバラバラだと、こういうことが起こりうるのですね。

この問題については、バラバラという原因だけで起こったのではなかったのだけどね。大きく2点あった。ひとつは、日本と海外現地で売上計上のプロセスが違っていたこと。日本では出荷ベースで売上を立てていたのだけど、海外現地は出荷後お客様の倉庫に移し、お客様が使った分だけ売上を計上していた。現地からもらったデータは出荷データなのに、日本側が勝手に売上データと思っていたんだね。もうひとつは、グループ間取引で日本側が現地に売ったと認識したタイミングと、現地側が買ったと認識したタイミングが違ったこと。引き渡しルールが明確じゃなかったんだね。

古田先輩
新見さん

なるほど。それで、「制度・ルール」や「業務プロセス」という視点でも、整理が必要というところにつながるのですね。

その通り。だから「2025年の崖」のところで話をした「プロセスイノベーション」に対する取り組みは、業務の合理化や効率化の側面だけでなく、データ活用のためにも重要になるわけだね。
最終的に、我々は「精度・ルール」「業務プロセス」をグローバルベースで標準化・統合化し、しかもバラバラだった経理システムと販売・購買・在庫管理システムを一つのシステムに統合化し、やっと「みえる化」が実現できたというわけだ。

古田先輩
新見さん

そういう経緯があったのですね。ITの標準化・統合化しただけではダメということですね。あれっ、「コード・データ」という要素が残りましたね。

あっ、そうだ。データ活用では、これがもっとも重要かな。
まず、人と人がコミュニーケーションする際に重要なのは、お互いに共通の言語を使用することだよね。お互い理解しあえる共通の言語がない場合は、それぞれが理解できる言語に変換(翻訳)してあげる必要がある。ITの世界であれば、「コード」がひとつそれに相当するだろう。先ほどの海外現地から明細データを収集する例に話を戻そう。調べた結果、海外現地で使用していた製品コードが、日本側と違う体系で運用されていたこともわかったんだ。本来、同じ製品なのにコードが違うため、データのうえでは別製品として扱われてしまったんだ。そこで、力ずくで現地のコードを日本側で変換するという作業を行った。ところが、この作業に非常に時間がかかり、1ヵ月遅れでユーザに開示できるといった始末。さすがに1カ月前のデータでは、もうビジネスに活用するには遅かったんだよ。しかも、人間系で変換作業を行うから、当然ミスもある。つまり、「精度」と「鮮度」に影響がでてしまったんだ。だから、このコードを標準化・統合化するということが、データ活用にいて重要なテーマのひとつだと考えているんだ。
コードについては、また別の機会に掘り下げて話をしよう。
最後に「アプリ」・「インフラ」。これまで検討した結果を反映して、最適なIT基盤を構築していく。その際に業務要件が実現できることはもちろん、ユーザの方々が気持ちよく、しかも安全・安心に使用できることが必要であり、性能、信頼性、柔軟性、セキュリティなどの非機能要件もしっかり考慮されていなくてはいけないな。データ活用の側面からみれば、アプリ・インフラも標準化・統合化されていることが望ましいが、これは業務面、開発面、運用面、展開面、コスト面から総合的に判断して決定していく必要があるね。

古田先輩

データガバナンスの重要性

新見さん

改めてデータの「精度」と「鮮度」とは何ですかね。

「精度」は「正確性」と必要とする要件を満たしているデータであること、「鮮度」は必要な要件を満たしているデータを必要としているタイミングに取得できることかな。必ずしもリアルタイムのデータが必要といっているのではないよ。デイリー単位での業務に活用するのであれば、昨日末時点のデータが本日の業務開始時点でしっかり使えるようになっていればいいよね。もちろん、生のデータを加工せずにリアルタイムにそのまま使えるということは、「精度」と「鮮度」に大きく貢献することは確かだけどね。
そして最初の話に戻るが、「精度」と「鮮度」を高めるためには、7つの要素でしっかり考慮して全体システムを構築し維持していくことが必要で、そのために「ガバナンス」をしっかり効かせていくことが重要だ。
我々の会社ではデータ活用視点で、制度・ルール・体制を整備し、データ面、業務面、システム面の責任者を立て、それぞれの間で発生するコンフリクトを三位一体で解消しながら「ガバナンス」を効かせていくしくみを構築している。
「データのゴミ箱」を作らないためにね。

古田先輩

関連ページ

バリューチェーン全体で構想しデザインしていくことが重要。ヒト・モノ・プロセスをつなぎ、新しいビジネスモデルを構築。
20年以上に渡り経験とノウハウを蓄積。SAPを用いたグローバルでの業務改革プロジェクトを遂行。

コラム制作者:
日本電気株式会社 DX事業推進本部 SAPビジネスグループ
中西英介・土屋直之

本コラムの設定は架空のものであり実在の人物や団体などとは関係ありません。

資料ダウンロード・お問い合わせ