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システムプラットフォーム研究所

2018.5.21

実世界とサイバーをつなぐハードウェア研究
システムプラットフォーム研究所 所長
津村 聡一

実世界に広く分布する処理基盤を高効率かつ素早く柔軟に連携させる事でAIによる社会価値創造の場を創出

― システムプラットフォーム研究所ではどんな研究をしていますか?

システムプラットフォーム研究所では、クラウドからエッジ、デバイスに至るまで処理基盤に関わる研究に取り組んでいます。核となるのは、コンピューティング技術と通信技術ですね。また、量子コンピューティングやスピン熱電、赤外線センサなどの先端研究に積極的に取り組んでいるのも特徴です。デジタルと実世界をつなぐハードウェアを主な研究テーマとして取り扱っています。
AIやIoTというとソフトウェアの部分が注目されがちですが、こうした技術を実装するためのプラットフォームの進化も不可欠です。たとえば、いくらすぐれたAI技術が生まれたとしても、スピーディーな処理ができるハードウェアがなければ実用化することは難しいでしょう。また、データを適切に前処理することで、AIが処理しやすい形に整えることも重要なポイントです。さらには、大容量のデータを効率的に運ぶ通信の仕組みも整えなければなりません。このように、AIやIoT技術を十分に機能させるためには、それを適切に実装できるプラットフォームも欠かせない要素となるのです。
これからさらなる進化を遂げようとしているAI技術の要件に合わせ、すばやく柔軟に対応できるプラットフォームをつくり出していくこと。それによって、AIによって生み出される価値を実世界のなかへきちんと引き出して拡張していくことこそが、わたしたちの第一のミッションですね。

― システムプラットフォームにおけるNECの強みは何でしょう?

NECは、通信とコンピューティングを主力として取り組みつづけてきた会社です。この長い歴史によって、ハードウェアに関わる豊富なノウハウが蓄積されてきたことは、一つの大きな強みですね。実際に、AIやIoTを本格的に適用しようとする際には、サイバーの知見だけではどうにもできない部分があるものなんです。こうした領域では、いわば実世界に対するノウハウ、言い換えるなら実世界のドメイン知識といった部分も重要になります。たとえば、わたしたちは無線通信を途切れなく制御するための予測制御技術を持ち合わせていますが、データ量の予測というサイバー領域の知見だけでは、システムを実装させることができません。安定的な運用を実現するためには、実空間での電波の伝わり方などのノウハウや知識が欠かせないものとなります。NECが長年の研究で培ってきた経験や、私たち研究者の物理や化学の深い知見に根ざした専門性が、こういった部分で大いに生かされています。
また、量子コンピュータやスピン熱電、量子赤外線センサなどの先端研究への取り組みも、わたしたちならではのもう一つの強みですね。

― どんなビジョンを描いていますか?

プラットフォームの一つの理想形は「空気」なのだと思っています。意識しなくても、当たり前にそこに存在する不可欠なものということですね。
たとえばICTの機器を考えたとき、以前は皆さん何かしら意識して使っていたと思うんです。自らスイッチを入れたり、データを自分でインプットしたりというように。それがいまや、スマートフォン一つとってみても、位置情報が自動的に取得されたり、検索履歴から趣味嗜好などが自動的にプロファイルされたりするようになりました。もちろん、その一方でプライバシーなどの解決すべき問題はあるのですが、こうした自動化の流れは止まることなく、世界における大きな潮流としてこれからもつづいていくことでしょう。
通信や計算処理に関しても同様です。ユーザーが「遅い」と感じることなく、自然にシームレスにつながってストレスなく処理されることが重要ですね。プラットフォームは、どんどんICTサービスの裏方へまわって、意識されないようになることこそがユーザーの本質的な価値につながるものだと考えています。
また、いま取り組んでいる先端研究によって世の中へディスラプティブな変革をもたらすこともめざしています。性能を1から10、100にするだけではなく、0から1を生み出し、今までの技術ではできなかったことをできるようにしたいですね。
わたしたちの研究所では、一人ひとりが自らの研究の意義を認識し、楽しんで取り組めることを重視しています。互いを認めながら建設的な議論を繰り返し、外部機関との連携も積極的に進めることで、新しい価値を生み出すブレークスルーをめざしていきたいと思っています。

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