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学生のみなさんへ2018インタビュー:松葉 明日華

2018.2.2

松葉 明日華

インドネシアの社会課題解決に貢献

松葉 明日華(まつば あすか)
(2018年4月 コーポレートインキュベーション本部 ビジネスデザインセンター 異動)

2013年にNECへ入社。2016年8月から3カ月の間、留職プログラムにてインドネシアへ滞在し、社会問題化が進む廃棄物処理に尽力。帰国後はデジタルヘルスケア領域における社会ソリューション創造を推進している。

先輩の話に刺激を受けて、留職プログラムへ参加

私の学生時代の専攻は無機化学でした。NECに入社後はスピン熱電や相変化冷却、それからAIと人間が共生する未来の働き方をテーマにするなど幅広く研究を続けてきました。今は価値共創センターというところで、デジタルヘルスケア領域のソリューションを研究しています。
キャリアの大きな転機となったのは4年目のときでした。当時同じ研究所にいた先輩の new window安川さんの話を聞いて衝撃を受けたんです。先輩は留職プログラムを活用してインドへ行き、農村部でのサプライチェーン構築に取り組んでこられた方なんですが、その話を聞いたときに、自分がこれまで見ていた世界がすごく狭いなって思ったんですね。私にできることはあるんだろうかという不安な気持ちもありましたが、新興国で起きている問題を自分自身の目で見て、自ら課題を設定し、さまざまな人と協力しながら社会問題を解決していく姿に感銘を受けて、私もチャレンジしたいと強く思いました。

  • 新興国のNPOや社会的企業に数カ月間勤務し、スキルを活かしながら彼らとともに社会課題解決に取り組むプログラム。
    NECでも中央研究所で人材育成施策としての導入実績あり
    参考:new windowhttp://crossfields.jp/service/transfer_program/

目の前にある社会問題に全力で取り組んだ3カ月

留職先に選んだ場所は、インドネシアでした。いまインドネシアでは、ゴミが社会問題化しています。企業や家庭から出されるゴミはほとんど分別されず、大量のゴミはまとめて埋立地へ積み上げられ、国内の各所にゴミの山が点在している状況です。私はWaste4Changeというゴミの分別と生ゴミの堆肥化を進める企業に3カ月間勤務して、この問題に取り組んでいきました。
Waste4Changeから一番に求められたミッションは、堆肥化プロセスの効率化でした。そこで、留職期間の前半は「堆肥化プロセス」だけにフォーカスして、温度や湿度、撹拌回数の調整などいろいろなことにトライしたのものの、なかなか上手くいきませんでした。しかし、考えた末に導き出した答えは、堆肥化だけにとらわれるのではなく、プロセス全体の見直しにあったんです。各家庭でゴミを溜めて、Waste4Changeがゴミを回収し、その後ゴミを分別して生ゴミを堆肥化するというこれまでのプロセスを見直し、各家庭に堆肥と生ゴミを交互に重ねてもらうというとてもシンプルな方法を提案しました。従来は数日に1回撹拌し、4カ月かけて堆肥化していたのですが、この方法を使えば、ゴミの回収から約1週間で堆肥化することができます。しかも、やり方がとても簡単なので、現地の方々によるオペレーションも容易です。これによって、堆肥化コストを最大84%削減することができます。
こうして一番のミッションはクリアできたものの、私がゴミ問題に直面して最も重要だと感じたのは教育でした。堆肥化するにしても、そもそも生ゴミを分別する必要がありますし、ゴミの分別が社会全体に浸透しなければ根本的な解決にはなりません。そこでまず、保育園へ働きかけてゴミ分別の教育プログラムを実行しました。教材にはNECの国内サポートチームの方などに協力いただいてマンガを描いてもらったりするなど、さまざまなスタッフの力をつなぎ合わせて取り組みました。企業にもゴミに対する意識を浸透させるために、NECの現地法人をはじめとした日系企業にもコンタクトをとってWaste4Changeのプログラムへの参加や協力を依頼したりもしました。
また、家庭にもゴミ分別を意識してもらおうと、近隣の6家庭で3週間の生ゴミ回収のトライアルも行っています。現地の方々が話すのはインドネシア語のため意思の疎通は大変でしたが、3カ月もいると何となくわかる単語も出てくるので、それを使ってコミュニケーションをとったり、英語を話せるWaste4Changeスタッフの協力や翻訳ソフトを駆使したりして進めていきました。そんななか「Asukaががんばっているからサポートしよう」と言って、現地の主婦の方がゴミ分別の歌をつくってくれたのは嬉しかったですね。私が帰国した後も、縁の深かった家庭が中心となって私が提案した方法をさらにブラッシュアップし、堆肥化までを各家庭で完結させようと取り組んでコミュニティに展開してくれていると聞いています。
この他にも、Waste4Changeの関連会社が展開するパパイヤ農園の現状調査や、利益拡大のためのパパイヤ加工品販売の提案と試作品販売、スタッフの働き方改善提案など、専門分野という枠を離れてたくさんのことに取り組みました。目の前にある社会問題をよく観察して、そこにある課題を自ら設定し、さまざまな人といっしょに協力しながら、解決へ向かって努力していくという貴重な経験ができた3カ月でした。

世界中の力をつなぎ合わせて、社会課題解決をめざす

留職で学んだことはたくさんありますが、一番強く感じるのは意識の変化ですね。留職から戻ったあとは、社会課題を解決するビジネスをNECでやりたいと強く思うようになりました。NEC全体の力をうまく組み合わせれば、大きな社会課題だって解決できるはずだと思うんです。
もともと、未来の働き方を研究していたときから、一人で考えて何かを実行するよりも、いろんな人の知恵や技術を組み合わせて一つのものをつくった方が、より良いものができるんじゃないかなっていう想いは持っていました。なので、留職前にNEC内での国内サポートチームをつくるときも、一般的には親しい数人にお願いすることが多いんですが、私は社内に広く呼びかけて興味のある人を募ってみたんです。そしたら、30人ほどの人が集まってくれて。現地でさまざまな課題にあたったときには、この30人ですごくスピーディでクリエイティブな連携が生まれました。これをNECグループ10万人の社員がやったら、もっとすごいことができるはずです(笑)
NECの研究者には大きく2タイプが必要かなと思っていて、一つはスペシャリストとなってその道で一流になるタイプ。もう一つは私のようにジェネラルに研究技術のことを知って、社会課題と技術を結びつけたり、技術と技術を組み合わせたりするつなぎ役になるタイプです。いまの仕事でも、お客さんが抱えている課題を見極めて、どんな技術が解決に貢献できるかを結びつける業務にも携わっています。たとえば、NECのヘルスケア事業部から「こういうことをやりたいんだけど」という問い合わせを受けたら「それだったら、ここの研究所のこの技術を使ったらどうでしょう」と提案して関係者を巻き込んでいくわけですね。
そのためにも、今後はより一層、さまざまな技術を広く深く知らなければいけないと思っています。さらには、お客様の要求のさらに奥にある本質的な課題を見つけ出せるようになることも重要ですし、ビジネスに関する知識も必要かもしれません。こうして幅広い知識を習得して理解を深めながら、NECグループはもちろん、世界中のさまざまな人々と共創していきたいですね。多様でたくさんの人の力を集めてこそ、クリエイティブなアイデアがスピーディに生まれ、社会課題の解決を実現できるはずです。そのために、私も積極的に行動していきたいと考えています。