バリューチェーン全体でつながり、
課題に取り組むことが重要です。

セブン&アイ・ホールディングス
取締役執行役員 システム戦略部 シニアオフィサー

粟飯原 勝胤(あいはら かつたね) 氏
入社後、営業部門を経て情報システム部門に異動。2004年よりシステム企画部(現システム戦略部)に就き、システムに関する幅広い知見と現場出身の強みを生かし、グループ各社の情報システム強化の陣頭指揮を執っている。2017年5月より同社取締役に就任。

誰もが欲しいときに、欲しいものを

これからの小売業は、スマートフォンやインターネットによる新たな消費行動やライフスタイルの変化、少子高齢化に伴う労働力の減少、人件費の高騰などに対応していくことが求められています。こうした環境の変化に対応するためには、積極的にICTを活用することで業務を効率化し、新たなサービスの開発を進めることが重要です。現場の業務に合うか実証実験を多く行って、新しい技術の導入を進めています。

NECとは約40年前のセブンイレブンの第一次店舗システム開発から現在の第七次システムまで、共に改善の仮説検証を繰り返してきました。
現在は、IoTを使ってコンビニの店舗設備の稼働状況や電力使用量を自動で監視し、そのデータをAIで分析することで最適なメンテナンスが可能なシステムの実現を目指しています。設備のトラブルを未然に防ぐことで「止まらない店舗」が実現すれば、効率的な店舗運営が可能になるだけでなく機会ロスを減らすことにもつながります。

さらに、スーパーではAIを活用した需要予測の実証実験も行っています。発注は知識と経験が求められる作業です。販売実績の他、天候やイベントなど非常に細かな因子の影響を受けるため、従来は人間でなければ難しいといわれていました。経験に頼る部分も大きいため、店舗間で発注の精度にばらつきも生じていました。しかし、AIで膨大な量のデータを分析し、需要を予測することで人間とほぼ変わらない精度で発注内容を提案できるようになりつつあります。実証実験中のスーパーでは発注作業にかかる時間が平均約35%短縮、在庫日数は検証前と同等のまま欠品は平均約27%削減でき、業務の効率化・在庫の適正化・機会ロスの削減につながりました。また、経験の浅い従業員でもベテランと同じレベルで業務を行うことが可能となり、品揃えのばらつきがなくなります。こうした取り組みが普及すれば、よりお客さまに満足していただけるサービスが提供できるようになるはずです。

これらのICTを活用した取り組みは、業務の効率化やビジネスチャンスの拡大を促すだけではありません。フードロスやエネルギー消費の増加のような社会課題を解決することにもつながっていきます。「誰もが欲しいときに、欲しいものが手に入る」というサービスを提供することこそが、コンビニやスーパーの原点です。消費者にとって近くて便利な存在であり続けるために、今後はモノを売るだけでなく、さまざまなサービスを提供していくことになるでしょう。われわれは、いまや日本の社会インフラともいえ、利益を追求するだけでなく社会的責任も果たす必要性を強く感じています。SDGsにも積極的に取り組み、持続可能な社会をいかに実現できるのか考えています。

社会課題の解決には、一社の取り組みだけではなくバリューチェーン全体を効率化していく必要があります。製造や物流も含めた企業同士がつながり、一企業のビジネスにとらわれずにデータを共有していくことが重要です。これからの企業には従来の常識にとらわれない柔軟な動きが求められます。われわれもシステムの導入をするだけでなく、NECがつくるエコシステムに参画し、企業間の連携を強めていくことも必要だと思います。こうした連携が進めば、人々が公平にサービスを享受できる豊かな社会をつくっていくことができますし、企業の利益も最大化できると考えています。

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