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世界デジタルサミット2020 -5G and NEXT-
(主催:日本経済新聞社)

Digital Inclusion
-デジタルのチカラで、ひとりひとりが輝く社会へ-

人と社会が大きく変わる「New Normal」の到来

今、全世界が新型コロナウイルス感染症に非常に大きな影響を受けています。社会情勢が急変する中、NECは2020年4月、経営理念である「NEC Way」を改定しました。「Orchestrating a brighter world」のブランドメッセージの下で、NECは安全・安心・公平・効率の社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会を目指します。

代表取締役 執行役員社長 兼 CEO 新野 隆

世界はNew Normalを迎えようとしています。これまでもリーマンショックや東日本大震災など、私たちの暮らしや価値観を変えてしまう出来事はありましたが、その数年後には社会はまたもとの価値観を取り戻していきました。しかし、新型コロナウイルス感染症は、人の価値観や社会をこれまでの日常とはまったく異なるNew Normalに変えると言われています。

世界はNew Normalへ

それには、2つの理由があると考えます。1つは、世界中の人がほぼ同時に同じ体験を通じて、新型コロナウイルス感染症を自分の問題として捉えたことです。その影響は子どもから高齢者まで、すべての人の生活を変えるものでした。これは初めてのことではないでしょうか。

2つ目は、新たなパンデミックを視野にひとりひとりの行動が変化したことです。多くの人にとって、パンデミックがこれほど急速に、そして目の前で発生する問題だと考えるのは難しいことでした。今後、新型コロナウイルス感染症拡大が収束しても、新たな感染症のリスクや別の社会問題により、私たちの安全が脅かされ、生活を一変させる可能性があることを学びました。

New Normalに向けた変化を、NECは「人」と「社会」の2つの観点で捉えています。「人」の変化としては、安全・安心を実現する習慣や生活様式が定着することです。

人の変化:安全・安心の観点から新たな生活様式へと変化

まず、移動・対面の意義が問われます。例えば、コミュニケーションの手段です。Web会議ツールを使用してのリモートでも7、8割は当初の目的が達成できるのではないでしょうか。オフィスで働くことが当たり前でしたが、職場から離れた場所や自宅で働くリモートワークが日常化するはずです。

次に、これまでと違う価値が見出されるようになります。これは、同じサービスの提供でも、価値の受け取り方が変化することです。例えば、キャッシュレス決済は支払いの効率化だけではなく、感染防止の観点から「非接触」を新たな価値として感じさせるでしょう。

求められる持続可能な社会への変化

一方、「社会」の変化としては、困難な状況下でも、社会を動かし続けることが求められるようになります。経済効率性だけでなく事業継続性も考慮した持続可能な社会の実現が必要です。これには、人間が本質的な力を発揮することが非常に大切で、ますます人と機械の分業が加速していくことでしょう。労働力不足の問題から、物流や医療など私たちの生活に不可欠な現場で働く人の安全を担保して事業を継続するため、人との接触を削減するという観点も重要です。

社会の変化:持続可能性をより重要視した社会へと変化

私たちの日常生活に不可欠な社会サービスについては、いかなる状況下でも、公平かつ安心して利用できるものでなければなりません。あらゆることがリモートで可能となることは、公平性を担保していくための力となり得るでしょう。また、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、感染者数などの実態をデータで把握することの重要性を再認識したかと思います。モノの需給バランスや街の混雑状況など、あらゆる情報をデータで可視化して状況に合わせて対応することで、無駄を省き、全体最適を実現していくことが必要です。

「人」と「社会」の変化に対応するために、今まで以上にデジタルの力が求められます。テレワークの導入が急激に進んだことや遠隔医療が承認されたことなど、すでに変化は始まっています。NECグループでは、国内6万人規模のリモートワークを継続し、オフィスに出社する社員は3割程度になっています。このように、デジタルを活用した変化、デジタルトランスフォーメーション(DX)によりNew Normalな社会が生まれるのです。

New Normalに対するNECの取り組み

それでは、DXを加速してNew Normalな社会を形成するにあたり、どのような考え方が求められるのか。NECが重視するのは「Connectivity(Network)」と「Personalization(AI)」です。

Connectivityは、世界中の人とモノから生まれる情報が「いつでも・どこでも・誰とでも」つながることを意味します。NECは通信やコミュニケーションを実現する技術の開発を続けており、時間や空間といった概念を取り払い、世界中どこにいても、リアルタイムでつながることを目指してきました。1899年の創業以来、「世界の情報通信をリードする」という想いは今も変わらず続いています。最も象徴的な実績は、1964年、国際的なスポーツ大会の全世界に向けた衛生中継を史上初めて成功させたことです。

1964年 東京で行われた国際スポーツ大会で史上初の衛星テレビ中継に成功

世界中がインターネットでリアルタイムにつながっています。その根幹を担うインフラとして、海底ケーブルによる大容量光通信技術が膨大なデータのやり取り支えています。NECは50年以上前から光海底ケーブル事業に参入し、現在では約30万キロメートル、地球7.5周以上の敷設実績があります。さらに、現在は世界で初めて光海底ケーブルに、高速性、低消費電力、低遅延が可能と期待される光AI処理を適用し、さらなる容量拡大に向けた研究開発に取り組んでいます。

光海底ケーブルの大容量化に向けて:世界で初めて光AI処理技術による太平洋横断級の超長距離大容量伝送を実証

新しい社会や産業構造をけん引する5G事業への参入

2020年は、第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスが本格化する普及元年となります。4Gまでの技術革新は超高速化を進めてきました。5Gは超高速に加え、超多接続、超低遅延の2つの大きな技術革新があります。超多接続と超低遅延により、自動運転や遠隔医療などが現実化します。5Gによって、AIやロボット、自動運転、IoTなどが急速に進み、まったく新しい社会や産業の構造をけん引するようなDXが加速するでしょう。

AI/IoTと組み合わせ、戦略的にデータを活用することでDXの効果を最大化

もう1つの特徴として、「ローカル5G」があります。これは、企業や自治体の施設など限定された場所にだけネットワーク構築ができる点です。例えば、自社工場や店舗に独自の5G網を構築することで、外部とは切り離された専用のネットワークとなるため、安全性、堅牢性、高品質な通信環境を実現できます。これにより、各企業のニーズに沿ったネットワークが構築できるため、さまざまな価値を創出し、独自のイノベーションを生み出すことが可能です。いわゆるキャリア以外でもこの事業に参入でき、NECも免許を取得してローカル5Gへの参入を進めています。

また、NECは楽天モバイル様とともに、世界初となる完全仮想化クラウドネイティブネットワークに対応した5GオープンvRAN(仮想化RAN)の構築に向けて共創しています。このような世界初の技術を活用して新しいネットワークを実現し、グローバルでの新たな社会価値創造を推進するため、NECは楽天モバイル様と5Gにおける「Strategic Technology Partnership」を締結しました。

このほか、ローカル5Gを活用した事例を紹介します。大林組様と建設機械の自律運転の実証実験を行っています。空間をセンシングし、現場にある複数の建設機械を協調して制御することで、少ない人数でも効率良く作業を行うことが可能です。5Gを通したリモートコントロールに、AIの技術、適応予測制御の技術を組み合わせることによって、細かな操作が可能となります。

全日本空輸様では、実務訓練を実施するANAグループの総合トレーニングセンターに、日本の航空業界として初めてローカル5Gを導入します。カメラ・視線測定機器・バイタルセンサー・VRゴーグルなどのさまざまなIoTデバイスから、姿勢・手順・視線・訓練生の感情変化などのデータをリアルタイムに収集・分析し、一人ひとりにフィードバックすることで訓練の効果をさらに高めていきます。

コニカミノルタ様との共創活動では、画像IoT/AI技術とオフィス機器や医療機器など、さまざまなアセットの融合やNECの5G、AI技術などとの融合により、施設における行動解析、対応指示の判断をAI+5Gで構築し、新たな価値創造に取り組みます。

生体認証が「あなた」に最適なサービス提供を可能に

続いては、Personalizationです。さまざまにつながった情報を分析し、ひとりひとりに合った最適なサービスを提供することができれば、これまでより大きな価値を生み出すことができます。そのためには、多くの人の中から「あなた」を正しく認識することが重要です。そこでは、顔認証をはじめとしたNECの生体認証の技術が活用できると考えています。その上で、AIを用いて膨大なデータを分析することで、ひとりひとりが今必要とするサービスを最適な形で提供することが可能です。

あなたが必要とするサービスを、最適な形で届ける

NECは半世紀にわたるAIの豊富な技術蓄積と事業実績があり、世界におけるAI技術のパイオニアとしてリードしてきました。最初の取り組みは1960年代の文字認識技術です。機械学習についても、ディープラーニングなどの研究・活用にいち早く取り組みました。さらに、NECが世界に先駆けて実用化したホワイトボックス型の機械学習は今、説明可能なAIとして注目されています。

NECが創出したAI技術の歴史 半世紀にわたる豊富な技術蓄積と事業実績

AIの技術が、世界No.1の顔認証をはじめとする生体認証技術につながっています。NECは、顔、虹彩、指紋・掌紋、指静脈、声、耳音響の6種類の生体認証を、「Bio-IDiom」のブランドで提供しています。生体認証は、利用シーンに応じて複数の生体認証技術を使い分けたり、組み合わせることで、使いやすさと高い認証精度を実現します。NECでは、その最先端の技術として、現在、顔認証と虹彩認証を統合したマルチモーダル生体認証端末の開発をすすめています。また、2020年3月からNEC本社地下一階の社員通用口にて、マスクを着用していても本人を識別できる顔認証システムによる入場管理を始めています。

触れずに安心。早くて快適。NECの顔認証。

NECの生体認証 Bio-Idiom

NEC本社ビルのスマートストアでも、社員が入店する際の本人確認に顔認証技術を活用しています。購入したい商品を手に取って退店するだけで、自動的に精算が完了。レジ接客時の混雑回避だけではなく、感染症対策を考慮した社会では、店舗とお客さまの安全・安心を実現するタッチレスがスタンダードになると考えます。

IDの観点では海外の事例を紹介します。インドでは、NECの生体認証を活用した国民IDシステムが導入されており、10億人以上の国民が利用しています。指紋、顔、および虹彩認証を組み合わせた、超高精度なマルチモーダル生体認証技術を提供し、二重登録やなりすましを防止しています。

生体認証で公平な社会の実現へ~インド国民ID事例~

インド財務相は、新型コロナウイルス感染拡大下における緊急経済対策の1つとして、国民IDを活用した直接現金給付を実施すると発表しました。

デジタルガバメント先進国のデンマークでは、日本のマイナンバーカードに相当するオンラインアクセスに必要なIDと公金の支払いを行う銀行口座の紐づけが、100%に近い普及率となっております。このシステムをはじめ、NECグループのKMD社は社会価値向上のためのソフトウェアプラットホームを提供しています。

AI技術でワクチン開発に貢献、患者が希望の持てる社会へ

2019年、NECはAI創薬への本格参入を決めました。NECが目指すのは、高度なAI解析が必要とされる新しいタイプの創薬手法です。2020年1月には、フランスのトランスジーン社とともに、卵巣がんと頭頸部がんを対象にした個別化がんワクチンの治験を欧米で開始しました。がん細胞を採取し、患者ごとに異なる正常な細胞とのDNAの違いを見つけ、免疫細胞の1つであるT細胞がそれらを攻撃対象とするように設計されたワクチンの治験です。個別化がん免疫療法の実現に向けた大きな進歩につながると考えており、医療分野のPersonalizationを極限まで高め、治療の選択肢を増やすことによって、患者がより希望を持てる社会の実現に貢献してまいります。

AI創薬事業 患者さんとご家族に希望にあふれる未来を届けるために

また、2020年4月には、がんワクチンの開発に適用したAI技術を応用し、新型コロナウイルスに対するワクチン設計に必要な遺伝子解析結果を公開しました。NECのAIを活用したワクチン開発には大きく3つの特徴があります。

1つ目は、ウイルスの全タンパク質のゲノム情報を解析し、より多くの情報の中から免疫を活性化するとみられる抗原を選び出すことです。2つ目は、新型コロナウイルスも感染拡大とともに小さい変異が起きていますが、変異しやすい部分と変異しにくい部分を特定し、変異しやすい箇所は標的抗原として含めないことで、将来ウイルスが変異してもそれを乗り越えられる可能性の高い設計となっていることです。3つ目は、白血球の型と標的抗原の組み合わせを緻密に計算し、ワクチンの効用が世界中の人を幅広くカバーできるように設計していることです。開発が先行するワクチンの多くも採用している、T細胞と呼ばれる免疫細胞の活性化メカニズムは、感染者ひとりひとりの白血球の型と標的抗原の適合性に大きく依存します。NECでは、それに対応した開発に取り組んでいます。

新型コロナウイルス感染症に対するワクチン設計のための遺伝子解析結果を公開

デジタルのチカラで、ひとりひとりが輝く社会を実現

NECはDXが進んだ社会を、"Digital Inclusion"と表現し、その実現を目指してきました。そして、それはNew Normalの社会そのものであり、予想より早く訪れようとしています。New Normalの社会でも「デジタルのチカラで、ひとりひとりが輝く社会へ」の実現に向けて何ができるのか。今やるべきことを着実に実行し、皆さまとともに困難を乗り越え、共創を通じながら社会課題の解決、あるいは社会価値の創出に寄与していきたいと考えています。

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