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世界デジタルサミット2018(主催:日本経済新聞社、総務省) 講演より

Digital Inclusion
~デジタルのチカラで、ひとりひとりが輝く社会へ~

NECが取り組む社会価値創造

NECでは現在、NECが策定した7つの社会価値創造テーマのもと、社会価値の創造に取り組んでいます。今回はその中から3つの事例を紹介しましょう。

(1)街の安全・安心を実現する「NEC Safer Cities」を支えるマルチモーダル認証技術

まずひとつめが「街の安全・安心」です。いま世界では都市人口が急増しており、2017年の42億人が2050年には67億人まで増えると予測されています。人口が増えれば人やモノの動きは活発化しますが、一方でテロや犯罪のリスクも高まります。こうした今後発生する都市の課題に対し、デジタルテクノロジーを活用した対策が求められるようになっています。「街の安全・安心」が求められる中、都市生活をより豊かなものに変え、人々がもっと自由に、個人の能力を最大限に発揮できる効率・公平な都市を実現する。この想いを「NEC Safer Cities」という名で提案しています。

「NEC Safer Cities」の実現のため、複数の生体認証を組み合わせたマルチモーダル認証技術を用い、高精度・高セキュリティな技術を適用しています。
一例を挙げると、北米で3番目に大きな警察組織であるロサンゼルス郡保安局に、古くから用いられている指紋認証に、掌紋認証、顔認証、虹彩認証を加えたマルチモーダル型の世界最大級のサービス型犯罪捜査向け生体認証システムを導入。カリフォルニア州司法省や米国連邦捜査局(FBI)など連邦・州警察のデータベースとも接続することで、その結果、稼働直後より、より多くの犯罪の解決に導く成果を実現しています。

(2)AIを活用した需給最適化プラットフォームが食品ロス・廃棄を解決

2つめは、大きな社会課題となっている「食品ロス・廃棄」です。現在、世界では年間約13億トンもの食料が廃棄されており、その量は生産量の3分の1にもなると言われています。日本でも1年に約646万トンが廃棄されており、これは世界の食料援助量の倍近くにもなります。また、そのうち約358万トンは製造や小売の過程で発生しています。

こうした廃棄を削減するためには正確な需要予測が不可欠ですが、従来の製造、卸・物流、小売と個々の段階で需要を予測するやり方には限界がありました。そこでNECは、バリューチェーン全体でデータを共有・活用することで、需要予測の精度を高めることを進めています。NEC the WISEの異種混合学習技術を用いて需給最適化プラットフォームを構築し、バリューチェーン上の生産や在庫、発注の最適化を実現しました。一例では小売のデータを食品製造の需要予測に活用することで、予測精度を18%向上させることに成功しています。

このようにバリューチェーン上のデータを共有することで生産や在庫を最適化すれば、今まで以上に無駄がなくなります。その結果、製造や物流にかかるエネルギーの削減につながり、CO2排出量の削減も実現します。さらには、小売段階でも業務が効率化され、労働最適化などさまざまな付加価値が生まれます。

とはいえ、バリューチェーン全体を対象とした課題は、NECだけで解決することはできません。さまざまなパートナーとエコシステムを形成することが必要です。そのためNECではコンソーシアムを立ち上げ、その第1弾のパートナーとして日本気象協会様に参画いただきました。今後もより多くのお客様と共創し、さらに大きな価値へつなげていきたいと考えています。

(3)予防医療や医療従事者の負担軽減にAIを活用

3つめは「ヘルスケア」の事例です。厚生労働省の調査によれば、社会保障関係の給付費は2012年度の109.5兆円から、2025年度には148.9兆円に増加すると予測されています。中でも医療費は2012年度の1.5倍に増加すると見込まれており、その増加を抑制するためにも予防医療が重要になっています。

NECでは、ヘルスケアに対してさまざまな取り組みを行っていますが、そのひとつに国立がん研究センター様と共同で進めているリアルタイム内視鏡診断サポートシステムの研究・開発があります。これは、NEC独自のAI技術を用いて画像を解析し、内視鏡の動画から大腸がんの予兆となるポリープを発見するというもので、ディープラーニングにより98%の発見率で病変箇所を表示します。

医療にまつわる別の課題としては、医療従事者にかかる負担の大きさがあります。OECDの調査によると、日本では人口あたりの病床数、患者1人あたりの年間受診回数が世界平均より多いにも関わらず、人口あたりの医師数は下回っています。このことは医師にかかる負担の大きさを物語っており、これは看護師などを含めた医療従事者全体にも言えることです。

こうした課題を解決する一策として、東京都八王子市にある医療法人社団KNI様と技術実証を進めている不穏予兆検知システムを紹介します。これは患者のバイタル情報をAIを用いて分析することによって、平均40分前に71%の精度で不穏行動の予兆を検知するというものです。これにより、医師や看護師の負担を大幅に軽減することが可能になります。

デジタルの力でひとりひとりが輝く社会「Digital Inclusion」の実現へ

デジタル技術は、それまで当たり前のように考えていたものを大きく変えるパラダイムシフトを起こします。例えば、車の自動運転、シェアリングエコノミー、ブロックチェーンなどの新技術は、既存のしくみや常識を覆しつつあります。近い将来、このようなデジタル技術は社会や生活の隅々にまで浸透し、人はそれを無意識に使うようになるでしょう。

NECはこれらデジタル技術を活用し、「社会」に対しては実世界を「見える化/分析/対処」することで、先ほどご紹介した需給最適化プラットフォームのように、全体最適の観点からさまざまな無駄を省くなどして、あらゆるものを高度化させてゆきます。

一方、「人」の観点からは、性別・年齢・人種・障害の有無といったことに関係なく、全ての人がデジタルのチカラによって、個々人が保有する多様な能力が発揮できるとともに、それを活かせる機会や場が得られるようになります。NECはデジタルが浸透した「Digital Inclusion」な社会で、安全・安心、効率・公平の価値を提供し、「人が生きる、豊かに生きる」社会を実現します。

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