NEC、大量の映像から特定のパターンで出現する対象を高速に検索できる技術「時空間データ横断プロファイリング」を開発
~ 街中・駅・観光地での防犯やおもてなしサービスなどに適用 ~
2015年11月11日
日本電気株式会社
NECは、複数の場所で撮影された長時間の映像データから、特定のパターン(時間・場所・動作)で出現する人物を高速に分類・検索する技術「時空間データ横断プロファイリング」を開発しました。本技術は、顔認証技術などと組み合わせることで、人工知能(AI)として利用可能です。
本技術は、大量の映像データから顔の「類似度」をもとにグループ化し、特定の出現パターンにあった対象の発見が可能なアルゴリズム(手法)です。本技術により、顔が類似しており同一人物と見なせる出現パターンを分類し、出現時間・場所・回数等での検索を行うことが可能となります。
例えば、カメラ映像中の「同じ場所で頻繁に出現する人物」や「複数の場所に現れた人物」を発見し、防犯や犯罪捜査など、従来人手ではできなかった新たな知見や気づきを見出す高度な解析を実現します。
今回、街角に設置されたカメラ映像中ののべ100万件(注1)の顔データを本技術で解析し、同じ場所に長時間・頻繁に現れる人物の検索・抽出を10秒と短時間で実現しました。
NECは本技術を2016年度中に実用化し、今後、道に迷った観光客へのおもてなしや、振る舞い・表情から心情を理解するマーケティングなどへも展開予定です。さらに、音声やテキストなど様々なデータにも適用していきます。
NECは社会ソリューション事業に注力し、中核領域であるセーフティ事業およびビッグデータ事業を強化しています。今後もこれらの分析技術やソリューションを強化し、お客様の新たなビジネス創出や企業価値向上に貢献します。
背景
昨今、カメラから集まる映像データは増大し、人手による解析が困難になってきています。例えば、複数箇所に設置されたカメラの映像では、人の目による確認作業に多くの時間が必要で、同じ場所に何度も出現する、あるいは複数の場所に出現する人物などの検索は、非常に困難でした。
また、別のシーンに現れた人物が同一人物と見なせるかどうかは、顔認証技術を用いて十分に顔が似ているかどうかで判断できますが、既存技術では、これを全てのシーンに映っている全ての人に対して行わなければならないため、膨大な数の照合が必要となり、非常に長い時間がかかっていました。
今回、類似度に基づく新たな検索技術を開発すると共に、これまでNECが培ってきた高度な認証技術と融合することで、人手や顔認証だけではできなかった高速な検索を実現します。
新技術の特長
- 大量なデータを類似度に基づきツリー構造で管理、抽出を高速化
検索対象となる大量なデータを「類似度」でグループ化し、ツリー構造で管理。下層になるほどより類似するデータが集まるデータ構造を開発しました。
本構造により、各グループに設定された類似度の閾値を参照するだけで、類似したデータの高速な抽出を可能にしました。
類似するグループを階層化したツリー構造
- 新規データのリアルタイムな分析を実現
新しいデータを追加する際、類似度でまとめたグループのどれに属するかを瞬時に判断・分類し、分析するアルゴリズムを開発しました。
データ追加時には、各グループの代表的なデータのみと比較することで、リアルタイム性の高い高速な追加・分析を実現します。これにより、カメラ映像を対象とした場合、撮影直後のデータについても検索可能になります。
なお、NECは、今回の成果を、NECグループが開催する「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2015」(会期:11/12(木)~11/13(金)、会場:東京国際フォーラム(東京都千代田区))にて、展示します。
NECグループは、「2015中期経営計画」のもと、安全・安心・効率・公平という社会価値を提供する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進しています。当社は、先進のICTや知見を融合し、人々がより明るく豊かに生きる、効率的で洗練された社会を実現していきます。
以上
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