2015年度「C&C賞」受賞者の決定について
~ ICTが革新する、ビッグデータ利活用の基盤技術とネットワーク仮想化技術の開発および普及促進に功績 ~
2015年10月16日
公益財団法人NEC C&C財団
公益財団法人NEC C&C財団(理事長:矢野薫 NEC取締役会長、所在地:東京都港区)は、本年度の「C&C賞」受賞者2グループ4名を決定しました。
「C&C賞」は1985年に創設された賞で、情報処理技術、通信技術、電子デバイス技術、および、これらの融合する技術分野の開拓または研究、この分野の進歩がもたらす社会科学的研究活動に関し、顕著な貢献のあった方に授与されるものです。「C&C賞」の受賞者には、賞状、賞牌および賞金(各グループ1,000万円)が贈られます。
本年度の受賞者は、重要な社会課題の解決に対しICT(情報通信技術)として大きな変革をもたらす、ビッグデータ利活用の基盤技術とネットワーク仮想化技術の研究開発を牽引し、普及促進に功績があった2つのグループに決定しました。
1つは、大規模デジタル情報時代を見据えたデータベースの高速化技術の開発とともに、世界的なビッグデータ利活用の潮流に先駆けて産官学のプロジェクトを立ち上げ、同分野の国内の研究開発を牽引した1名です。
もう1つは、既存のIPネットワークの抱える制約を解決し、クラウドやIoT時代に向けた柔軟性と効率性を備えたネットワークを実現するSDN(Software-Defined Networking)技術を開発、普及に対して功績があった3名です。
表彰式典は、12月21日(月)午後3時00分からANAインターコンチネンタルホテル東京(東京都港区)において開催します。同式典では、贈呈式に引き続き、受賞者の記念講演が行われます。
喜連川 優 教授
マーティン・カサド 博士
ニック・マッケオン 教授
スコット・シェンカー 教授
2015年度「C&C賞」受賞者
グループA(1名)
氏名 | 喜連川 優 教授 |
現職 | 東京大学 生産技術研究所 教授 国立情報学研究所 所長 |
業績
大規模デジタル情報時代に向けた先進的なIT基盤技術に関わる研究開発への先駆的・主導的な貢献
受賞理由
ソーシャルメディアの普及拡大やインターネットをかいした動画の流通など様々な情報が爆発的に拡大する現在、その多様かつ膨大な情報を利活用するいわゆるビッグデータ分析が社会課題の解決に有効と言われています。
喜連川教授は、そのような社会の進展に対応し、データベースシステムの高性能化の研究を一貫して進め、並列処理方式、高速データベースエンジンや演算ハードウェア、高機能ストレージ等の技術発展を国際的に牽引すると共に、実システムの構築を通じてその性能や有効性を実証するなど、データ工学分野での先駆的かつ顕著な研究業績をあげてきました。
また、「情報爆発」とも呼べる大規模デジタル情報時代に顕在化する技術面や制度面の課題を広く予見し、時代の到来に先駆けその解決に向けた産官学のプロジェクトを立ち上げ、同領域の研究開発や産業応用の発展に多大な貢献を果たしてきた国内の代表者でもあります。それらの先駆的・先導的な取り組みは、情報通信技術のみならず我が国の経済や産業界の発展においても多大な貢献を果たすものであり、C&C賞に相応しい業績と考えます。
グループB(3名)
氏名 | マーティン・カサド 博士 |
現職 | ヴイエムウェア フェロー、シニアバイスプレジデント |
氏名 | ニック・マッケオン 教授 |
現職 | スタンフォード大学 教授 |
氏名 | スコット・シェンカー 教授 |
現職 | カリフォルニア大学バークレイ校 教授 |
業績
ネットワーク技術を進化させた先駆的研究とSoftware-Defined Networkingの開発推進における卓越した貢献
受賞理由
今やあらゆる社会活動の根幹であるICTには、社会的要請として、利用環境の変化や要望に迅速に対応する柔軟性や効率性が求められますが、現状のネットワークでは通信装置に物理的な制約が大きいため、これら要求の実現を難しくしています。SDN(Software-Defined Networking)は、データ転送と経路制御の分離によって通信装置のもつ制約を解放し、ソフトウェアによりネットワーク全体の振る舞いを制御する技術やコンセプトの総称です。
SDNは、今日のICTに求められる社会的期待に応え、サーバが多数収容される大規模データセンタにおける低コストで効率的な運用などへの適用を皮切りに、多様で膨大なデータを安全・安定的に流通させるIoT時代のネットワークとして今後の社会インフラの変革をリードする重要な基盤技術となっています。
マーティン・カサド博士、ニック・マッケオン教授、スコット・シェンカー教授の3氏は、SDNの提唱者であり、その実現に係る初期の重要な構成技術の一つである、OpenFlowの発明者でもあります。3名はチームとして、様々なソフトウェアプラットフォームやツールを開発すると共に、オープンソースや研究開発のコミュニティ活動を先導し、大学・研究機関、機器ベンダ、通信キャリア、サービスプロバイダを巻き込んだエコシステムを早期から構築・運営し、SDNの実用化と普及に成功しました。以上3氏の研究活動と普及に至る業績は、既存のIPネットワークが抱える限界を打破するICTインフラのイノベーションであり、C&C賞に相応しいものと考えます。
各受賞者の業績の詳細と略歴、および当財団の活動と表彰式の概要については、別紙ならびにNEC C&C財団ウェブサイト(http://www.candc.or.jp/)をご参照ください。
【別紙1】 2015年度C&C賞受賞者 業績と略歴
【別紙2】 公益財団法人NEC C&C財団の活動概要
【別紙3】 2015年度C&C賞 表彰式典概要
以上
受賞式典への参加申し込み先
本件に関するお客様からのお問い合わせ先
公益財団法人NEC C&C財団 橋本
TEL: 03-3457-7711
お問い合わせ
NECは、社会ソリューション事業を推進する
ブランドメッセージ「Orchestrating a brighter world」のもと、
今後の世界の大きな変化(メガトレンド)に対応する
様々な課題解決や社会価値創造に貢献していきます。
詳細はこちらをご覧ください。
http://jpn.nec.com/profile/solutionsforsociety/index.html