2014年5月29日
日本電気株式会社
NECは、名古屋市立大学病院(所在地:名古屋市瑞穂区、病院長:城 卓志)に、SDN(注1)を活用した新たなネットワーク基盤を納入しました。 新たなネットワーク基盤は、SDNを実現するNECの「UNIVERGE PFシリーズ」を活用したもので、従来、部門やシステムごとに構築されていた複数のネットワークを物理的に統合し可視化することで、一元的な管理が可能になりました。また、目的によって論理的にネットワークを分けることで、医療現場の安全性・利便性とネットワークのセキュリティを両立しています。
NECは、独自の技術・製品・サービスとパートナーの製品等を組み合わせた「NEC SDN Solutions」を軸として、SDNを活用したソリューションを提供することで、ビジネスや暮らし、社会に貢献するシステムを支えていきます。 |
導入の経緯と新たなネットワーク基盤の概要
名古屋都市圏の中核医療機関として、地域医療を支える名古屋市立大学病院は、「笑顔と感動にあふれる病院」を経営理念として掲げ、高度先進医療の推進、信頼される医療人の育成に力を注いでいます。また、医療ITの活用に積極的に取り組み、ITインフラの柔軟性の向上と迅速な提供を目指し、いち早くサーバの仮想化や、SOA(
注2)による共通連携基盤を構築しました。
一方、ネットワーク領域では、各診療部門で使用する医療機器の専門性や、セキュリティの観点から、部門やシステムごとに個別のネットワークが構築・運用されていました。その結果、部門ごとに個別に最適化されたネットワークが乱立、構成が複雑化し、病院情報システム部門の運用管理者が正確な状態を把握することが困難になっていました。
さらに昨今、ネットワークに接続する医療機器や移動して利用する機器の増加や、頻繁に発生するネットワークの設定変更、誤接続のリスクなど、医療技術の進歩にネットワークが追従できていないという課題がありました。
新たなネットワーク基盤は、SDNを採用することで、ネットワーク全体を可視化し、統合管理を可能にするとともに、運用効率の向上や、ハードウェアと収納スペースの削減も実現します。また、ネットワーク仮想化を活用した無線LANとの連携により、医療機器や電子カルテ端末に加え、スマートフォンなどの各種デバイスを、最新医療に即応したサービスとして提供できる院内ネットワークインフラを実現します。
特長
- 目的別に論理ネットワークを設定し、安全性・利便性とセキュリティを両立
新たなネットワーク基盤では、従来、部門ごとに構築されてきた複数のネットワークを物理的に統合し、このなかに電子カルテ、医療機器、スマートフォンなどの、目的別に分離された論理ネットワークを構成しています。これにより、目的別システムごとにデータのセキュリティを確保した安全な運用ができるとともに、無線LANに対応した最新型の生体情報モニターの導入や、病室や手術室内でスマートフォンにより撮影された記録写真を即座に転送し電子カルテに登録できるといった、新たな医療サービスも導入されました。
- ネットワーク管理の可視化により、運用効率が向上
運用管理画面では、物理ネットワークと論理ネットワークを同時に可視化できるため、一元的に管理・制御することができます。これにより、ネットワーク全体の構成やデータの流れを把握できるとともに、従来、設定作業に多くの工数がかかっていた、機器の追加や新しい医療システムの追加などの際の設定変更も容易になります。これらにより、ネットワークの運用効率の向上とともに、管理の適正化やコスト削減にも貢献します。
- 統合化により機器設置スペースを削減
各部門やフロアに配置された合計40台以上の従来技術のスイッチでルーティングしていましたが、SDNに対応した新たなネットワーク基盤では、1000台以上のデスクトップ仮想化によって大幅に増加した4000を超えるIPアドレスを一か所に集約した8台のSDNスイッチでルーティングしています。また、サーバの仮想化と合わせて、機器収納ラックを17台から6台に、設置面積を65%削減しました。さらに、機器に必要な電力等のコストも低減させることで、省エネルギー化にも貢献します。
NECグループは、「2015中期経営計画」をもとに、人が豊かに生きるための安全・安心・効率的・公平な社会の実現に向け、ICTを活用した高度な社会インフラを提供する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進し、「社会価値創造型企業」として、社会の様々な課題解決に貢献していきます。
参考
「UNIVERGE PFシリーズ」の特長 UNIVERGE PFシリーズは、SDNを実現する技術であるOpenFlow(
注3)に対応した世界初の製品として、2011年3月に発売しました。ネットワークを「仮想化」、「可視化」、「シンプル化」するという特長があります。
- ネットワークを仮想化:
単一の物理ネットワーク上に複数の仮想ネットワーク(Virtual Tenant Network、以下VTN)を構築することができます。これにより、従来ネットワークでのVLAN数の制約に縛られることなく、独立した仮想ネットワークを構築できます。
- ネットワークを可視化:
通信経路、統計情報などを、物理ネットワークとVTNの両方で視覚的に把握することが可能です。これにより、ネットワークの運用状況が容易に把握でき、メンテナンス時や障害時などに迅速な対応をとることができます。
- ネットワークをシンプル化:
ファイアウォールなどのアプライアンス機器をプール化しておき、必要に応じて追加・削除できるため、ネットワークをシンプルにすることができ、効率的な運用と、設置スペースや消費電力の削減が可能です。
- ネットワークの運用管理負荷を低減:
以上の特長に加えて、コントローラからネットワークを集中管理することで、機器の追加や構成変更が容易です。また障害発生時には、通信経路を自動的に切り替えることができます。
以上
(注1) Software-Defined Networking ネットワークをソフトウェアで制御する概念
(注2) 大規模システムを「サービス」の集まりとして構築する設計手法のこと。業務の変化に対応するシステムをいち早く立ち上げるといったニーズに応えるもの。
(注3) ネットワーク制御機能をスイッチから分離し、コントローラに集約することで、ネットワークを集中制御できる方式の標準でSDNを実現する技術の一つ。NECはOpenFlowの非営利標準化団体であるOpen Networking Foundation (ONF)の設立メンバー。
本件に関する製品情報
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グローバルリーディングカンパニー」を目指しています。
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