2013年8月13日
日本電気株式会社
NECは、インターネットやモバイルネットワーク(3G、LTE)の通信速度を瞬時に推定する通信速度推定技術を開発しました。本技術により、通信速度に応じた質の高いサービスの提供が可能になります。
現在、インターネットやモバイルネットワークを介したサービスでは、通信量の大きいWebページや動画などが普及しており、今後も通信量の増加が見込まれています。一方、スマートフォンなどのモバイル端末においては、電波状況や他の利用者の通信状況によって通信速度が時々刻々と変動するため、Webページや動画の閲覧に時間がかかるケースや、IP電話での通話が途切れるケースがあります。
通信事業者やコンテンツ配信事業者がユーザーにとってより快適なサービスを提供するためには、データを配信する直前に測定した最新の通信速度に合わせて通信量を調整するといったきめ細かな制御が有効です。しかし、一般的な通信速度の測定方法では、大容量のデータを転送する必要があり、測定に大きな通信負荷と長い時間がかかるといった課題がありました。
このたび開発した通信速度推定技術は、わずかなデータ量(従来の1/180)の転送で通信速度を1秒以内に推定でき、最新の通信速度に合わせたデータ制御が可能になります。
本技術を用いることで、例えば通信事業者は、端末の通信速度の変動を低負荷でモニタリングすることが可能となり、IP電話サービスなどの品質向上につながります。また、映像配信やWebサービスを提供するコンテンツ配信事業者は、映像配信の画質を通信速度の変動に追随させ、途切れのない安定した動画の提供や、通信速度に合わせて配信するデータのサイズを最適化することで、応答性能が高いWebサービスの提供が可能となります。
さらに、通信事業者やコンテンツプロバイダーが本技術をアプリケーションとして提供することで、スマートフォンなどのモバイル端末では、画面に通信速度の変動をリアルタイムに表示する「見える化」が可能となります。また、モバイル端末の利用者が、モバイルネットワークと無線LANのうち通信速度が速い回線をサービス利用前に選択することなども実現します。
このたび開発した技術の特長は、次のとおりです。
- わずか1秒以内で通信速度を高精度に推定
パケットサイズが異なる複数のパケットを、サイズの順に等間隔で送信し、受信側で各パケットの受信間隔が広がり始める位置を調べ、その位置とパケットサイズを基に通信速度を推定する手法を開発。モバイルネットワークを用いた評価実験で、わずか1秒以内に80%以上の精度で推定できることを実証。一般的なデータ転送による測定方法(注)と比較して、推定時間を40分の1に短縮。最新の通信速度をサービス提供の直前に推定でき、コンテンツ配信制御のパラメータ設定などが可能。
- ネットワークにかかる負荷を180分の1に軽減
推定に用いるパケットサイズの合計は数十キロバイトであり、一般的なデータ転送による測定方法に比べネットワークにかかる通信負荷を180分の1に軽減。ネットワークにほとんど負荷をかけないため、通信速度を繰り返し推定することが可能。
NECでは今後、ネットワークのモニタリングシステムやサーバ等に本技術の適用を進めることで、動画配信やIP電話サービスの品質向上に貢献します。
【別紙】 説明資料
以上
(注) 多くのスピード測定サイトで利用されている測定方法。
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「人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現する
グローバルリーディングカンパニー」を目指しています。
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