2013年3月1日
日本電気株式会社
NECは、東京大学生産技術研究所 荻本和彦 特任教授 と共同で、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)に搭載された蓄電池を、電力の需給バランス調整に活用するデマンドレスポンス(DR、
注)技術を開発しました。
昨今、持続可能なエネルギーシステム実現のために、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及が推進されています。しかし、再生可能エネルギーのうち、天候に依存する自然エネルギーによる発電は、発電量に合わせて需給バランスを調整する必要があります。現在は主に、火力発電の発電量を増減することでバランスを調整していますが、欧州をはじめ、自然エネルギーの導入が進んでいる地域では調整が困難になっています。このため、需給バランスの新しい調整方法として、消費者の電力消費量(需要)をコントロールするDRの導入が検討されています。
このたび開発した技術は、多数台のEV/PHEVが搭載する蓄電池(100万台で発電所一基程度に相当)の充電タイミングを調整しDRに活用するものです。電力の需給予測と利用できるEV/PHEVの台数や時間などの情報を基に、EV/PHEVを充電する前日に充電タイミングの目標を立て、充電当日は、目標に合わせて実際に利用できるEV/PHEVを充電していきます。これらにより、EV/PHEVユーザーの使い勝手を損なうことなく、多数の蓄電池を電力の需給量に合わせて最適なタイミングで充電でき、低炭素で安定な電力システムの実現に貢献します。
このたび開発した技術の特長は、次のとおりです。
- 電力会社からの電力総需給量に対応した、簡易なDR制御方法を開発
充電前日に、「DRを実施する時間(コア時間)」と「制御する総充電量」を決定し、コア時間外は総充電量(消費電力量)に制約を課さない制御方法を開発。これにより、コア時間内における電力会社からの電力需要を満たしながら、充電量の不足分はコア時間外に充電することで、EV/PHEVユーザーが必要とする充電量を確実に充電することが可能。
- 大量のEV/PHEV情報から、制御可能な総充電量を把握する推定技術を開発
利用できる大量のEV/PHEVの台数や時間などの情報を基に充電パターンのすべての組み合せを計算しなくても、全EV/PHEVの充電可否の状態を制約要件として加味しながら、一度の解析でコア時間内の総充電量を推定する方法を開発。これにより、コア時間に確実に制御できる様々な総充電量パターンを簡単に見出すことが可能。
NECは今後も、スマートグリッドに適用する新技術を開発し、事業への展開を目指します。
【別紙】 電気自動車やプラグインハイブリッド車に搭載された蓄電池を用いた、次世代デマンドレスポンス技術を開発
以上
(注) 需給逼迫の予想されるピーク時間帯に価格が高くなるような料金設定により、ピーク需要の削減を促し、電力供給の効率を高めようとする試み。ここでは広く捉え、電力供給の効率を高めることを目的に、消費者の電力消費量(需要)を調整すること。
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