2013年3月1日
日本電気株式会社
NECなどが共同開発した映像符号化技術が、4K映像のインターネット配信、スーパーハイビジョン放送、フルHD映像のモバイル端末配信(
注1)において利用が期待されている次世代映像符号化方式「HEVC(High Efficiency Video Coding、
注2) 」の国際標準規格最終案に採用されました(
注3)。本方式は、本年5月ごろに正式な標準規格となる見込みです。
近年、スマートフォンの普及およびLTE (Long Term Evolution)サービスの開始に伴い、モバイル通信網で映像コンテンツを利用するユーザが増加しています。また、スマートフォンやタブレット端末などのディスプレイの高精細化に伴い、映像コンテンツの高解像度化が進んでいます。これらにより、ネットワーク上を行き交う映像データ量が大幅に増加し、配信の遅延や不達などの可能性があるため、高い圧縮率を実現した技術の開発と標準化による利用促進が求められています。
国際標準化団体であるITU-T及びISO/IECは、次世代の高解像度映像に対して高い圧縮率を実現する符号化方式を定めた国際標準「HEVC」の開発を進めてきました。HEVCは、ワンセグなどの低解像度映像から、4K映像やスーパーハイビジョンなどの高精細映像までをサポートし、現行のAVC(Advanced Video Coding)方式に比べて約2倍のデータ圧縮率を実現します。これにより、フルHD映像コンテンツのモバイル配信や、高い臨場感を実現する4K映像のインターネット配信、スーパーハイビジョン放送が可能になります。
NECはこのたび、1)画像中の細かな領域ごとに圧縮率を調整し、画質を最適化する画質調節パラメータ予測符号化技術(キヤノン株式会社、株式会社JVCケンウッド、ソニー株式会社、その他と共同開発)と、2)複雑な絵柄を含む画像に対する圧縮データ量の肥大化を防止するPCM符号化技術を開発しました。
開発した技術の特長は、次のとおりです。
- 少ないデータ量で細かい模様を表現できる画質調節パラメータ予測符号化技術
画像中の細かな領域ごとに圧縮率を調整し、圧縮データを復元する際に必要な画質調整用補助データの冗長性を排除する、画質調節パラメータ予測符号化技術を開発。これにより、従来は表現できなかった画像中の細かい模様を表現可能。
- 圧縮データ量の肥大化を防止するPCM符号化技術
画像を符号化するブロックサイズおよび表現ビット精度を調節することで、絵柄の複雑さに関わらず一定の圧縮率で符号化する技術を開発。これにより、画像中に複雑な絵柄の画像があっても、圧縮データを効率よく伝送可能。
NECは、今後も本技術に関する研究開発を進め、放送・通信事業の拡大に積極的に取り組んでまいります。
以上
(注1) 4K:3,840×2,160ピクセルの映像
スーパーハイビジョン:7,680×4,320ピクセルの映像
フルHD:1,920×1,080ピクセルの映像
(注2) 2013年1月末にISO/IECおよびITU-Tにおいて、それぞれISO/IEC 23008-2 High Efficiency Video CodingおよびITU-T Rec. H.265として、最終国際標準規格案に承認済み
(注3) HEVCは、NECを含む様々な会社によって開発されたビデオ符号化技術から構成
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