いのちのまなざし~Look of Life~

「死者の日」の賑わい ~メキシコ~

(写真/文 小松 義夫)

一年の収穫の喜びを背景に、メキシコをはじめとした中米諸国では「死者の日」が祝われる。祝祭はカトリックの「諸聖人の日」と重なる11月1日、2日に行われる。特にオアハカのそれが盛大で、よく知られている。

メキシコでは紀元前から祖先の骸骨を身近に置く習慣があった。そんなわけで「死者の日」の主役は骸骨だ。道を歩けば顔に骸骨の化粧を施した人々とすれ違う。それが最初は異様に思えたが、だんだん楽しくなってくる。日常生活から離れた明るく楽しい祝祭だ。

子どもも顔に骸骨の化粧をしてイベント会場でデビューするため路上をねり歩く。最近では日本から参加する若い女性も多くなってきた。道端の化粧屋さんに骸骨の化粧を施してもらい、大変身して町を歩き、楽しんでいる。

この祝祭の一週間ほど前から広場には死者を迎え、たたえる祭壇がつくられる。人々は一年かけてこの祭壇を準備するという。マリーゴールドの花びらで太陽の黄金色をあらわした花の絨毯に赤い花びらでアクセントが添えられている。白い米の周辺にはトウモロコシの粒や豆が散らされ、先祖を迎えて語る日に備える。

夜になると祖先と語り合うため人々は墓地に向かう。親戚や知人たちが集まってロウソクをともし、ギターに合わせて歌う。しみじみと故人を偲びつつ皆で楽しく時を過ごすのだ。

この祭りの前日に世界中で行われる「ハロウィン」も盛大な仮装のお祭りだ。一年が足早に去りゆこうとする晩秋の祭事は、年末のクリスマスの前哨戦なのかもしれない。新しい年を迎える気分が盛り上がってきた。

顔に化粧をして大通りをねり歩く子どもたち
16世紀から約100年かけて造られたメキシコ風バロック建築のサントドミンゴ教会。祭りの間は夜になると各種イベントが行われる会場になる
イベント会場にデビューする前に母親に衣装を整えてもらう
広場の祭壇は時間をかけてていねいに、マリーゴールドの黄金色を中心に花の絨毯が敷かれる

(コンセンサス 2018年12月-2019年1月号 掲載)