いのちのまなざし~Look of Life~

椰子と海草のロテ島 ~インドネシア~

(写真/文 小松 義夫)

東西に約5000kmにわたって伸びるインドネシア、島の数は1万4000前後といわれている。面積は日本の約5倍、人口は約2憶5000万人の大国だ。ロテ島はその最南端にあり、オーストラリア大陸に近い位置にある。

ティモール島のクパンの港から南西のロテ島の港まで高速フェリーがほぼ毎日運航され、オーストラリア人や欧米人がサーフィンをするために集まってくる。近年は珊瑚礁の内側に海草のアガルアガル養殖のための綱が張り巡らされ、それを除けて外海に出るのに苦労するということだ。アガルアガルは寒天(テングサ)のことだが(表紙参照)、日本にも輸入され、肌をしっとりさせる化粧品や薬のカプセルをはじめ、食品にも使われている。アガルアガルの養殖は安定した収入になるので、海で生活するバジャウ族の定住策として奨励されてきた。

島にはロンタール椰子がいたるところに生えている。島民は椰子のことを「生命の泉」と言って大事にしている。ロンタール椰子の葉の付け根周辺に房がいくつもついていて、それを削るとトゥアックという甘い樹液が出てくる。葉でつくったンバオックという容器をカゴで包んでぶら下げ、トゥアックを採取する。それがロテ島の人たちの主食だと言われている。トゥアックからつくった椰子砂糖は美容や健康にも良いので人気上昇中だ。

島を歩きながら道端の小屋をのぞくと、ロンタール椰子の葉でンバオックをつくっている人の姿が見えた。また日陰では単一電池を耳から下げながらトランプに興じている青年たちがいる。なぜ単一電池なのか? 南の島は分らないことがあってなんだか面白い。

ロンタール椰子からつくった円形の砂糖は健康に良いので、人気上昇中。市場にて
耳から重い単一電池を下げてトランプをする。耳と電池の関係は謎だ
ロンタール椰子の葉でンバオックという容器をつくる。これで椰子の樹液を採取する。
ロンタール椰子で葺かれた屋根の下で集う

(コンセンサス 2018年7月-8月号 掲載)