いのちのまなざし~Look of Life~

「埋もれた宝石」とカルパチア山脈 ~ウクライナ~

(写真/文 小松 義夫)

バスで国境を越えてウクライナ西部の都市リヴィウに着いた。インターネットで予約していたゲストルームに電話を入れる。部屋は古いビルの一室なので入口がわかりにくく、近くのホテル前でオーナーと合流した。彼らは若いカップルで少し日本語を話す。学校で日本語コースをとったからだという。1991年まで続いた長い社会主義時代そのままの、少々荒れた外観のビルの階段を上り、部屋に案内された。外観とは違い、部屋は壁紙も新しく、非常にきれいに改装されていた。台所にはすべてがそろい、冷蔵庫、洗濯機なども完備されている。彼らは「日本人をお泊めするのは初めてです」と言って鍵を渡してくれた。

外に出て歴史地区のリノック広場を散策した。世界遺産に指定されている旧市街は「埋もれた宝石」といわれるだけあって、通り過ぎた歴史の断片が各所に残る。各宗派の教会や建物、バーやカフェなども歴史ある店が多い。ここは以前、ポーランドやオーストリア・ハンガリー帝国領だったので、町角には本場ウィーンをしのぐ品格のカフェもある。美味しいケーキやコーヒーがある町はとても居心地が良い。

広場の案内所で小旅行に良い場所を聞くと、スコーレというカルパチア山脈の麓の町を紹介された。汽車に乗り、2時間弱で田舎町に着く。小さなホテルにチェックインし、これといって特徴のない町を散策した。ホテルの主人にこのあたりの見どころを教えてもらい、車を準備してもらった。車はカルパチア山脈の濃密な森の中を行き、聖なる泉や滝を案内された。滝に続く道には薪で焼く串焼きの店が立ち並んでいた。若い女性の笑顔につられてポテトの串焼きを1本買ってしまった。

世界中のコーヒーを集めて焙煎する店。カフェも併設されている
少々大げさだけれど馬車で石畳の道を行くのは豪勢な気分だろう
笑顔につられて薪で焼くポテトの串焼きを買ってしまった
カルパチア山脈の森から流れ出る水と清涼感あふれる滝

(コンセンサス 2018年5月-6月号 掲載)