いのちのまなざし~Look of Life~

花と布の町と空中温泉 ~グアテマラ~

(写真/文 小松 義夫)

首都グアテマラシティーから約140km、標高約2000mの稜線上にあるチチカステナンゴは日曜日と木曜日に市が立つことで知られている。旧市街の中心にある聖トーマス教会は16世紀にスペイン人によってマヤ系キチェ族の人々の信仰を集めていた神殿の土台の上に造られた。マヤ暦の18カ月を表す18段の石段は昔のまま使われている。古くからの土地の信仰の場所がキリスト教に置きかえられたわけだが、人々は昔の自分たちの神に対するようにキリスト、マリア、聖人に祈りを捧げるため、教会に集う。

教会前の市場には地元の人々の伝統模様を織り込んだチチカステナンゴ名物の色彩豊かな布がところ狭しと並べられている。歩いていると、売り物の布の模様と色彩の洪水に目が回りそうだ。教会の階段には、お祈りに来た人々を目当てに様々な花が売られている。教会前の雑踏のなか、花で飾られた小さな聖像を手にした祈祷師が石畳を踏みしめながら通り過ぎる。キチェ族の伝統衣装と帽子がとても印象的だ。

町を後にし、車体に模様が描かれた庶民の足、通称チキンバスに乗ってケツァルテナンゴという町に行き、そこからさらに標高約2500mの稜線上の温泉に向かった。車窓から見ると途中の山肌では大規模な畑で花を栽培している。グアテマラの人たちは本当に花が好きで彼らの生活は花と共にあるといってもおかしくない。たどり着いた山中の温泉は雲の上の空中温泉という趣で、とてもよいお湯だった。浸かっていると男性が湯を漕ぐようにしてやってきて「これは飲むと身体によいぞ」と器に入れた源泉を持ってきてくれた。それを飲みながら彼と湯舟の友となり、ゆっくり世間話をした。霧に包まれて寛いで湯に浸かるのは至福の時間だった。

聖トーマス教会の階段は、マヤの神殿時代の18段のまま使われている
標高2500mの霧に包まれたフェンテス・ヘオロヒナス空中温泉に人々が集う
「チキンバス」の通称で親しまれている装飾された大型バス。
首都グアテマラシティーからチチカステナンゴにやってきた庶民の足
教会前で色彩豊かな伝統模様の織物が売られている

(コンセンサス 2018年1月-2月号 掲載)