いのちのまなざし~Look of Life~

秋の色に囲まれて ~中国~

(写真/文 小松 義夫)

四川省の成都からバスで東チベットの谷を目指した。途中、標高4400mの峠を越え、徐々に下って丹巴(ダンバ)に着いた。成都から約9時間、ここは標高1800mくらいだ。

丹巴はギャロンチベット族という人たちの土地で、美人が多いことで知られている。しかしそのほとんどは大都会に働きに出ているので、なかなかお目にかかれない。

谷に沿って細長く伸びる丹巴の町は5つの川の合流点にある。その川の一つ、小金川沿いの道を9キロほど遡り、右に折れて山を登った。この地方に多い十数メートルの石積みの塔を見たかったからだ。目的の中路(チョンルー)は山の斜面の開けたところにあり、塔がある家が数多くある。塔は外敵が来たときに、そこに籠って弓矢や鉄砲などで応戦するためのものだった。

中路を歩いていると農作業を終えたと思われる婦人たちとすれ違った。昔の日本の田舎に迷い込んだような懐かしさを感じる。

道に面した家の屋上で誰かが作業していたので、手を振って屋上に上げてもらえるかと伝えた。上がってこい、との身ぶりだったので家の中の階段を上り、屋上に出た。女性が収穫作業で刈り取ったソバをたたいて実を落としていた。見回すと、いたるところにトウモロコシが干してあって黄金色だ。そこに赤いアクセントのようにトウガラシも並べられている。秋の色に囲まれて、視界いっぱいに秋を満喫した。

少し歩いて塔がある家に行くと、住人が出てきて塔に上らせてくれた。数えてみたら十数メートルの塔の屋上は9階だった。塔の上から下界を眺め、秋の空気を胸いっぱいに吸った。

屋上に干されているトウモロコシとトウガラシ。黄金色に包まれる秋のひととき
いくつもの階段を上って屋上に出た。ここで9階だ。昔、襲ってくる敵を弓矢、鉄砲などで防いだ
中路には塔がある家が多い
道ですれ違った、頭飾りが美しい婦人たち

(コンセンサス 2017年11月-12月号 掲載)