いのちのまなざし~Look of Life~

部族とふれあう ~パプアニューギニア~

(写真/文 小松 義夫)

日本からパプアニューギニアのポートモレスビーまで直行便がある。空港に着くと強烈で印象深い部族の絵に迎えられた。そこで国内線に乗り換えて高原のマウントハーゲンに向かう。空港に着いたがタクシーもバスもない。仕方なく帰宅途中の空港警察官の車になかば強引に乗り込んだ。警官にホテルを紹介してもらったところ非常に高い。ここは世界でも指折りの物価の高い国なのだ。そこで、新しくできたという素朴な宿を探してもらった。雑貨屋の二階にある簡素だが清潔な部屋だった。

パプアニューギニアは部族主義が強く、かかわった人が属する部族内で行動しないと他部族と強い摩擦を呼ぶ。日本や欧米などの合理的な考えだけで行動するといろいろと不都合なことが起きる。そのため、近くの市場に行くだけでも、宿の経営者と同じ部族の誰かが同行を申し出る。断っても、一緒に歩いてくれる。ありがたいが、鬱陶しくなるときもある。

宿の経営者に案内され、部族の酋長に引き合わされた。彼は跳びはねて喜び、肩と肩をぶつけあう挨拶をした。話を聞くと、酋長が少年の時、日本軍の飛行機が飛んできて爆弾を一つ落として飛び去ったという。そのおかげでニワトリが6羽ほど死んだ。爆弾が落とされた場所は、それ以後「ボンバ」という地名となり今にいたっているという。酋長は約70年間、爆弾を落とした日本人とはどういう人間なのだろう、と考え続けてきたらしい。ようやく今ここに日本人を目の前にして、長い間の謎が解けたと幸せそうに笑った。数日後、日本に帰るというと酋長が「思い出に頭に飾る極楽鳥を持って行け」という。ワシントン条約でそれを日本に持ち込めないことを説明するのに苦労した。

日本から直行便で到着すると様々な顔がお出迎え。ポートモレスビーの空港にて
高原の町、マウントハーゲンの天気は変わりやすい
市場にはピーナツ、ミカンなどが並ぶ
頭に付ける極楽鳥はパプアニューギニアの国鳥だ。ワシントン条約で日本へは持ち込めない

(コンセンサス 2017年5月-6月号 掲載)